39 ぐるぐる。
みぢかいです。
圭一先輩や咲先輩や梓先輩や竜ちゃん先輩はムリでも、早苗先輩や栞先輩だっている。
それなのに、『何で琢磨先輩?』
だって……
圭一先輩に嫉妬してほしかったから。
圭一先輩と一緒にいることのできた咲先輩に嫉妬した。
彼女のポジションにいるのは自分なのに、憎いと思った。妬ましく感じた。
だから、他の男の人とくっついて先輩にもヤキモチをやいてほしいと思った。
そんなの無理なのに。
トイレだと告げて廊下に出る。そのまま、水道で顔を洗った。顔が冷えると共に、心と脳も冷えていった。だんだんと、冷静になってくる。
こうなったのは自分のせいなのだと。
付き合って欲しいとすがり、黙っていて欲しいと頼み、自分以外の他の女とはいないで欲しいとすがる。
「わがまま、だよね。」
すがり、頼み、またすがる。私は少女マンガの主人公では無いのだから、『分かった。君の言うとおりにしよう。』なぁんて都合のいいこと言ってもらえるはずがない。
言ってもらえるとしても、それはきっと数少ないヒロインキャラのみ、そう……咲先輩のような。
「……バカみたい。」
自分で自分の首を絞めて、思い通りに行かず、焦る。
一人芝居にすらなっていない。なんてばかばかしいのだろう。
……それでも私は、足掻くしかできない。冷静に分析したところで何も変わらない。
「……恋をするって、こういうことなの?」
また、一人つぶやく。そしてため息をついた。
どうやら、少し心に余裕がないようだ。
そうだ。頭が痛いことにして、早退させてもらおう。そして、家に帰った後、独りでゆっくりと考えよう。こんな時は、部屋に引きこもりんに限る。
そう、心に決めて部室のドアを開けた。




