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演劇部の皆さまと私の日常。  作者: 卯侑
事件とイベント、そしてその後。
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35 お昼寝デーの裏側

「そういえば、発表会的な何か、あるんですか?」


私は、寝てる人達を起こさないように、圭一先輩に耳打ちした。

今日の部活は、梓先輩が眠いと言ったことをきっかけに、お昼寝デー。咲先輩がロッカーの上に丸まって寝ていたり、早苗先輩が棚の中で寝ていたりする。そして床には屍が累々。みんな重なり合って寝てます。

でもね、梓先輩に琢磨先輩、抱き合って寝るのはやめてください。


「あ、オレも気になってました。もっとまともな活動しなくていいんですか?」


優壱が至極まともなことを尋ねた。

因みに、今起きているのはこの3人だけだったりする。(優壱は六時間目の授業中寝ていた。)


「発表会的なものは、9月の文化部発表会かな。まだまだだし、夏に強化練習するからいいんだけど……それでも、本当はちゃんと活動したほうがいいんだけど、部長達がこれだから。」


圭一先輩が少し困ったように笑った。と、ふいに後ろから声が聞こえてきた。


「本当、困ったもんだ。ついでに、俺をからかうのもいい加減に……」


「あれ?中Tってば、いつ入ってきたんですか?」


「今さっき。早苗に訪問用の台本できたか聞こうと思ったんだが……。」


あー、早苗先輩寝てますもんね。


「今日聞いたら、『まだやってないです。ってか、手さえつけてないです!』っていってましたよ?」


「あー、だろうと思ったんだよ。」


「『中Tだし、どうせ怒られても恐くないし……まだやんなくてもいっか。』とも言ってました。」


「あいつ……!!」


おぅ、完全に舐められてますね。流石(?)中T。


「まぁ、やんなくてよかったかもな。」


「どういうことですか?」


「中止になったんだよ。保育園訪問の交流会。」


「交流会?」


「あぁ、お前達は知らないか。毎年、近くの保育園に行って劇を見せていたんだよ。数年前の部員の親がそこにつとめていたから、始まったらしい。」


「でも、何で中止に……?」


「何か予定が合わないとかなんとか……。」


「先生、顧問なのに知らないんですか?」


「向こうと打ち合わせしてるのは校長先生だから、俺は基本的にノータッチ。」


「あー、なるほど。」


「じゃあ俺、職員室戻るから。」


「じゃあ、俺も行きます。清水シミズ先生に提出し忘れたレポートがあったんで。」


「気をつけて下さいね~。危ないし。」


優壱があくびをしながら言った。


「は?何にだよ。」


「廊下を走ってる陸上部とか。」


確かに危ない。


「あー、そういえば先生、前に陸上部の連中を避けようとして、壁に激突しましたよね。」


「おい、圭一!そんなことわざわざ言うんじゃねー!!」


中T……やっぱり、そういうキャラですか。

中Tと圭一先輩が居なくなると、優壱が唐突に「そういえば。」と言った。それから、なかなか言い出さない。そういえば……なにが言いたい!?


「お前と圭一先輩って付き合ってるよな?」


え、それ?今更?予想外だったのでリアクションに困った。とりあえず、王道。


「私と先輩が付き合ってること、内緒にしてね?お願いっ!」


上目遣いでお願いとかやってみる。優壱の方が背がわずかに高いということに気づいた。うん、どうでもいい。


「優李………。」


何とも言えない表情を返された。なんか虚しい。


「何?」


「襲ってあげようか?」


どんなスイッチいれてるんだよ!


「バカ?全力で遠慮します!」


何を言ってるんだコイツは、的な目で即答した。


「誰にでもそういうことやっちゃうの?マジで襲われちゃうよ?」


そういうことって上目遣い?某ネコスマイルよろしく、ニヤニヤ笑いしてやがる。絶対、ワザとだよね?おい、止めろ!もう!


「某ネコスマイル止めい!誰にでもこんなことするわけないじゃんか。アンタのこと、結構信頼してるからやったの、冗談で済む範囲でしょう?」


本当は頭をたたいてやりたいが、みんな寝てるので小さく本音を言ってやった。


「信頼してくれてんの?じゃあ、裏切っちゃおうかな~」


「は?死ね。」


「ヤダ。ジョーダンだよ。オレが裏切るワケナイじゃん。秘密は黙っててやるよ。」


「当たり前だよ。」


けらけらと笑っている優壱に、デコピンをお見舞いしてやった。


まぁ、言われたらバラしてやるってネタはあるし?むしろ、できるもんならやってみろ?(笑)


それにしても、ツカメナイヤツだ。前までの私なら確実に狸と狐の化かしあいになってたな。いったい、どこまでが冗談なんだか……。


人懐っこくって、飄々としていて、ツカメナイ。でも、お人好しで誰かに頼まれごとをされると断らず、それどころか自分から周りで起きているモンダイに飛び込んでいく。そして、当たり前のようにみんなの輪の中心に立っている。


……どこまでもアイツ・・・を見ているようだった。




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