17 ピンチ(現実)
「放して下さい。圭一先輩。」
そう、壁ドンしてきたのは、圭一先輩でした。
「やだ。ちゃんと説明するって約束したらな。」
「な、何をですか?話すことなんてありません!」
って言うより、顔が近い!私は男の子に対して耐性がないんだってば!お願いだから、その美形を近づけないで下さい!
「そんなはずはない。少なくとも、悩んでいることはあるはずだ。……そんなに話したくない内容なのか?俺じゃあダメか?」
そんな悲しそうな顔しないでください。こっちまで悲しくなってくるじゃあないですか。そして、やっぱり顔が近い。
「……悩んでいることなんてありません。」
考えている事はありますけど。
「じゃあ、なんでそんなに上の空なんだ?理由があるんだろ。」
「……。」
心配して下さっているのは分かっていても、先輩に話すことで、他のみんなにバレてしまったら……と思うと言い出せなかった。
「はぁ。いいさ、別に。しょうがない。」
解放してくれるのか!!と、顔に出たのだろう。先輩は見事に吹き出した。
「お前、おもしろいな〜。」
「は?そんなことないです!」
私が全否定すると、圭一先輩は少しばかり拗ねたように
「褒めてやってんだから、ありがたく受け取っておけよ。」
と、言った。何ですか!?ちょっと可愛いじゃないですか!先輩、男のくせに!!て、いうか。
「どうせ褒めてくださるのなら、可愛いって言って下さいよ。これでも、女の子なんですよ?」
「はいはい。かわいい、かわいい。」
「棒読みー。絶対からかってますよね?てか、いい加減放して……」
すると、先輩はふと真顔になって
「かわいいよ。」
と、耳元で囁いた。
「!!!」
……自分の顔が真っ赤に染まるのが、温度でわかった。
「うん。真っ赤な顔もかわいいよ。」
「……先輩って、そういうキャラだったんですね。」
「実はね。じゃあ、先に行くから。顔が戻ったらおいで。」
先輩は、一度部屋から出たと思っていたら
「普通は、このキャラ出さないよ。例え部活でも。」
と、意味深な言葉を残していった。
正体は、先輩でした~。意味深だし。とかいって、これは伏線だったりする。^-^




