第17話 回想
私は、crawlのメンバーでした。
crawlに入った理由は簡単――人類を救いたかったから。
先ほどお話した通り、私が入ったころのcrawlは小さな組織でした。
今でこそ多くの支部を抱えるcrawlですが、旧東京にしかなかったのです。
人材、武器集めには苦労しました。
しかし、私は特に苦に思っていなかった。
なぜなら、人類の役に立ちたかったからです。それ以上に、crawl創設者ファインクランを尊敬していたからです。そう――尊敬、していた。
結論から述べましょう。
crawlは黒です。
黒――つまり悪です。
カンジ、何でこんなことを言うか意味が分からないような顔をしていますね。
無理もありません。
crawlは人類の希望という顔をしているにもかかわらず、本当の顔は死神なのだから。
あらら、またそんな顔をする。
順を追って、説明しましょう。
人材集めを日々コツコツとしていました。
そんなある日、私は見てしまったのです。crawl創設者ファインクランの真の顔を。
彼は、人工知能のロボットと繋がっていた。比喩ではなく、物理的に繋がっていた――接続されていました。
これを見たとき、正直気持ちが悪くなりました。
だってそうでしょう?
生身の人間が電子コードでロボットと接続できるわけがないじゃないですか。
そこで何をしていたかは、大体想像がつくでしょう。
そうです。
人間側の情報を人工知能にばらしていたのです。
まあ、まだ小さな組織でしたのでそこまで多くの情報がなかったと思いますが。
残念ながら、そこで飛び込むほどの勇気は私にはありませんでした。
だから、後日聞いてみたのです。
「ファインクランさん、あの……何か隠していることはありませんか」
真剣に聞く私をファインクランが鼻で笑ったことははっきりと覚えています。
「ふっ。何のことだね。隠し事の一つや二つあって当たり前だろう」
「……」
「君もあるだろう」
「ないとは言いませんが、そういうことではなくて……」
「そういうことだ」
そういって、彼は去っていきました。
これだけでは、話は終わりません。
後日、私は私の部屋でこの人に――ファインクランに殺されそうになったのです。
考えてみれば、いきなり行方が分からなくなる隊員がいました。
ああ、私消されるんだと思いました。
けれども、わたしはこうして生きています。
あれれおかしいですね。
私の強運のためか、救世主が現れたのですよ。
あなた方は、誰だと思いますか。
あなた方もよく知っている方ですよ。
出てきませんか。
ラショウ最高司令官ですよ。
もちろん現職のね。
彼が、後ろからファインクランを打ち抜きました。拳銃で。
恐ろしかったですよ。
なぜかって?
ファインクランの頭は、というより体が機械だったのですから。
私が、ここで言いたいのは
「気をけろ。敵はすぐそばにいるかもしれない」
ということだけです。




