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イト暴走っ!! 歌子に休みをくださーーいっ!!!

 ようやく300年前の話がすっきりした!

 店の中では、見覚えのある人たちが、まだテーブルに座って残っていた。


 大人しく茶目ちゃめのある千代は、テーブルにして眠っていた。 腕に顔をあずけて、フガアフガアと派手ないびきをかいて寝ている。

 その横には、声のデカいヒノキも座っていて、何をするわけでもなくぼうっとしているみたいだ。

 さっきは店の中にはマツリの姿も見えたが、もうここにはいないようだ。 見回しても、あのボサボサ髪の姿は見えない。


 夜もけているのに店の中で過ごすなんて、よっぽどここは居心地がいいんだろう。

 そんな落ち着いたテーブルに、店のオーナーのような人が近づいてきていた。 なにか手紙のようなものが届いたらしく、手には小さな紙きれを持っている。


「ヒノキー。 ……はい、なんか届いたよ」


 どうやらこの店では、手紙の受け渡しなどもやっているらしい。 情報掲示板なんかもあるし、それと連動したシステムだったりするんだろうか。

 ぼうっとしていたヒノキは顔を上げて、メモ紙を受け取っていった。 手元に目を落として黙って読むと、すぐさま声を上げる。


「はぁっ?!」


 何か大変なことが書かれてあったんだろうか? メモ紙を読んだヒノキは顔をしかめて、ぎょっとしている。

 突然の大声を聞いて、寝ていた千代がのっそりと起き上がった。


「……何?」


 千代は、眠い目をこすっていた。 いま何時なのかは分からないが、もう相当に夜も更けているようにも思える。


「またかよ! おい、ちょっと来いっ!」

「……え、何?」


 何があったのか、ヒノキは慌てた様子で、テーブルを勢いよく立ち上がった。 起きたばかりでぼんやりしている千代の腕をつかみ、無理やり引っ張っていく。

 突然ヒノキはどうしたんだろう? なにか、変なことでもあったんだろうか。


 2人がバタバタと店の中を走って入口へと向かっていると、その場にナツミが戻ってきた。 隠し部屋を出てきて、店の2階から、階段を下りてくるのが見える。

 ヒノキは走りながらその姿を見て、大声で呼びかけた。


「おい、ナツミ! お前も、来い!」

「は? ……何?」


 階段を下りていたナツミは、きょとんとした顔で2人を見る。 しかしそんなヒノキに慣れているのか、ナツミは足を早めて階段を駆け下りてきた。 1階のフロアに下りてきて、そのまま走っている2人に合流していく。

 わけが分からないのについてくるところを見ると、この3人はよほど強いきずなで結ばれているんだろう。 200年前に東の洞穴ほらあなで、ギリギリの状態で一緒に生きていたからだろうか。 互いに深く信頼しているような感じだ。

 そろって走りだしながら、ナツミは思い出したように声を上げた。


「あっっ!! ……ねえ、千代、さっきごめん」


 そういって横を見て、千代に言う。 突然のことに、千代は眉をひそめた。 ……さっき?


「……は? 何の話?」

「え、いや……ほら、さっき、皿を片づけるとかなんとか……」


 どうやらナツミは、隠し部屋に行く前のことを話しているみたいだ。 テーブルを片づけずに席を離れようとしたのを、今になって謝る気になったんだろう。

 隠し部屋で、普段の行動を反省するようなことを言っていたから、急に思い出したんだろうか。


 しかし突然そう言われても、千代は何のことか分からないようだった。 思い返すようにそらを見上げながら、さらに眉をひそめる。


「……何? そんなこと、あった?」


 本当に何を言っているのか分からないといった様子だ。 まあ、そりゃそうかもしれない。 もう時間もたっているし、ナツミは普段からあんなことばっかしているんだろうから、いちいち覚えてられないだろう。

 とはいえ千代は、うつわが大きいのかもしれない。 どっしりと構えて、細かいことを気にしないから、ナツミともうまくやっていけるのかも。


 ナツミはせっかく気づけたのに、みたいに、げんなりした表情を浮かべた。


「えぇ……マジで……?」

「何? 何の話?」


 千代はまだ分からず、不思議そうな表情で聞き続けている。

 そんな会話をしつつ、3人は店の扉を開けて外へ出ていった。 外はまだ暗く、すずしげな風が吹いていた。




 一方で隠し部屋からは、歌子たちも出てきていた。


 歌子は部屋を出ていきながら、気持ちよさそうに、うーんと伸びをする。

 『時のはざま』の謎も解けたことだし、300年前のごちゃごちゃした話もすっきりしたっ!


 ……結局、『時のはざま』って何だったんだろう?

 そのままの意味だけでとらえるなら、あの時間が止まったような夜は、まぼろしでもなんでもなく現実だった。 でも、もっと深い意味は無いのかな。


 最初に流れたうわさの話があった。 『時のはざまの中で、殺されかけた人が今もまだ追いかけ回されてる』とかなんとかいう噂。

 街に降霊されても、自分が生きていた時代のことで苦しんでいる人というのは、たまにいる。 過去の人間関係で苦しんでいる場合もあるし、村や社会に対して不信感ふしんかんが消えていなかったりする場合なんかもある。

 でも街に降霊されていない人たちは、そもそも存在していないから、苦しむことすらできない。

 あの噂は事実とはちょっと違ったけど、『時のはざま』の中で今も苦しんでいた人たちがいたのは変わらないのかもしれない。

 そして、本当に時間が止まったような状態が、300年も続いていた……なんてね。


 ……まあ、ともかく良かった。 憶え屋に侵入した夜から、私も色んなところを走り回った。 ハナちゃんを説得して、長のところに連れていったり、街の偉い人たちに知らせたりね。

 ちょっとあわただしかったけど、でも解決したならオールOKっ! なんだかすっきりして、今はいい気分だっ!


 そんなことを考えながら歌子は一息ついていると、近くにいたイトがいきなり話しかけてきた。


「あ、そうだ、歌子。 ……私、歌子に謝りたいことがあって」


 扉を閉めた隠し部屋の前で、イトはゆっくりと近づいてくる。 まっすぐに向かってくるイトの表情は、どこか張りつめていた。

 ……あれ、もしかしたら、真面目な話なのかもしれない。 ……でも、謝りたいこと?

 歌子は何のことか分からず、きょとんとした顔を浮かべる。


「え、何? ……なんか、あったっけ?」

「私、歌子にすごく負担をかけてるの、全然気づかなくて。 ……なんか色々、連れまわしたりして……」


 イトは目の前で立ち止まると、少しかしこまった表情で話し始めた。 どうやらイトは、今まで歌子を振り回してきたことを謝っているようだ。


 今までイトは、周りのことを気にする様子は見られなかった。 悪気わるぎはなかったんだろうが、結果として無意識のうちに周りに迷惑をかけたこともあったのかもしれない。 そしてそれは、歌子に対しても同じだと言いたいんだろう。


 歌子はそらを見上げて、今までのことを思い返しているようだった。

 言葉の意味は分かったようだが、しかしイトの言いたい核心かくしんは伝わらなかったのか、首をひねる。


「あー。 ……え? 別に、いいけど」

「何の話ー?」


 真面目な会話に、超適当な声が入ってきた。 小春だ。 部屋を出てブラブラしていた小春が、2人の会話に近づいていく。

 小春は、もういつもの調子に戻っているようだった。 気にしていたことも無事に終わって、すっきりしている感じだ。 両手を頭にのせたりして、いい感じに脱力している。

 イトはそれを無視して、真剣な表情のまま続けた。


「私も、見えてる部分が狭いから、知らずに無理させてたと思って。 ……ごめん」


 イトはそう言って、さっと頭を下げて謝る。

 どうやらイトは、今まで歌子をいたわらなかったことを相当に気にしていたらしい。 後悔に背中を強く押されて、謝っているように見える。

 しかし歌子は逆にびっくりしたようで、遠慮えんりょするように手をバタバタと横に振った。


「え?! なんで、別に、いいよ」


 驚いたような顔をする歌子は、本当に気にしてないみたいに見える。

 しかし、イトは納得いかないみたいだった。 うつむいたまま、ほんの少し苦いような表情を浮かべている。

 図書館で大陸出身のヨウにキレた時もそうだったが、イトはまっすぐな性格なのかもしれない。 自分が正しいと思ったら突っ張るし、自分が悪いと思ったら謝るんだろう。


 気づくと、その場にはユメもやって来た。 店の2階に上がってきて、軽い足取りで走ってくる。 憶え屋の仕事で、伝言でもしに来たんだろうか。 この真夜中に、ずいぶん仕事熱心だ。

 その姿を見ると、イトは成敗せいばいすべき鬼が来たかのような表情になり、今度はユメに向かって突然大声を出し始めた。


「ユメも! 歌子に、謝って!」


 近づいてきたユメは思わず立ち止まると、驚いたような表情を浮かべた。 来たばかりで状況が分からず、困惑こんわくしているようだ。

 イトは一体どうしたんだろう? 同じ話の流れで、ユメに怒りたいことでもあるんだろうか。

 え?と呟いて呆然ぼうぜんとするユメに、イトはキレたように怒鳴どなり続ける。


「……え?」

「だって、石ころに口座の中身を書き込むとかやらせて、歌子がどれだけ大変だったか、知らないんじゃないの?!」


 石ころの口座……というと、石ころに口座を全部書き写して、憶え屋にわざわざ入らなくても内容をチェックできるわよっ! イェイっ!!ww の話だろうか。

 うーん、確かにそんな話もあったかもしれない。 歌子がいつも忙しいのに、こんなこと頼んでいいのかとか悩んでいたやつのことだろう。 どうやらあの後、マジでやったらしい。


「ちょっと、イト、どうしたの。 何の話よ?」


 横で話を聞いていた小春が会話に入っていこうとするが、イトは相変わらず、小春をちらりとも見ようとしない。

 無視しているというよりは、視界に入っていないんだろう。 結局イトは、どこまで行っても視野が狭いのは変わらないらしい。


 話を聞いたユメは、ようやく状況を理解した。 少しうつむいて考えを巡らせて、自分の行動を振り返っていく。

 ……あぁ、その話か。 歌子は優しいし、人からの頼みをあまり断ることをしない。 だからといって、やっぱりそれに甘えてもしょうがない。

 私や小春だったら、嫌なら断ればいいって思うし、実際断るだろう。 でも歌子は、大抵のことは断らない。


 いつも思うけど、歌子は人のためになるのが好きなのだ。 それはとっても良いことだし、私も大好きだけど……。 でも、そんなことをしていたら、歌子が自分のために動けなくなってしまう。

 もしかしたら、たまにはこっちから気を使ってあげることも必要なのかも。


「あー。 ……うん、分かってたんだけどね。 やっぱり、そうだよね。 ごめん、歌子」


 ユメは顔を上げると、歌子を見つめて、少し苦しそうな表情を浮かべて言う。

 歌子はそれでも、話がよく分からないようだった。 バタバタと手を振って、否定するように言う。


「え、なんで? ……いや、だって、私も口座の中身、そうやっていつでも確認できるわけだし……」

「あー、歌子が忙しいって話ー?」


 相変わらず適当な感じで、小春が入ってこようとする。 イトは黙って頷くと、小春はどうでもいい感じで口をとがらせた。


「ふーん。 まあそれは、仕方ないんじゃないの?」

「仕方ない、じゃない!」

「ひいっ!」


 突然イトが大声を出し、小春はビビる。 どうやらまたイトを怒らせてしまったらしい。 イトはさっと鬼のような顔になり、今度は小春に向かってキレ始めた。


「私たち、いつも自分たちで好き勝手やって、歌子のこと、何も考えてないじゃんっ!」

「ちょっと、なに。 どうしちゃったのよ、イト」


 小春は少し驚いたような顔をしつつも、相変わらず適当なノリだ。 他の人も若干引いてるし、温度差がありすぎて、誰もイトについていってないように見える。

 イトは周りの人の反応は無視して、自分のふところに手を突っ込んでいった。 大量の紙束かみたばを引っ張り出すと、今度はそれを示しながら言う。


「だから私、議会にも、休みの日をちゃんと作ろうって、言おうと思って」

「へえ?!」

「え?w ……そんなこと、するの?」


 いきなりの話に、歌子たちは半分笑いながら驚く。 議会に提出してまで、休みの日を増やす?! イトは一体、どこに行こうとしているんだろうか。

 ……でも、休みの日を作るという案自体は、意外と悪くないのかもしれない。

 実は、確かにこの街では休みの日が少ない。 昔はちゃんと取っていたらしいが、最近は忙しくて少なくなっているのだ。


 イトは、やると決めたら徹底的にやる性格みたいだ。 イトは相変わらず、一人で突っ走って話し続ける。


「そうじゃないと、本当にだめだよ。 ヨウさんの予測にもあったけど、その部分も、壊れる原因になりかねないって」

「あーまあ、そうよねえ。 ……そうなの?」


 相変わらず超適当な感じで、小春が相槌あいづちを打っていく。 納得するように頷いたかと思えば、次の瞬間には隣の歌子に聞いている。 意味が分からない。

 小春に話を振られて、歌子はうーんと首をひねった。 ……休みが少なくて街が崩壊する? そんなこと、あるんだろうか。

 当の歌子が納得していない様子だが、しかしイトには関係ないようだ。 周りの反応も全て蹴散けちらしながら、イトはそのまま話し続けていく。


「歌子は、慣れすぎなんだって。 ……私、この街が大好きなの。 だからヨウさんにも怒ったんだけど、ちゃんと崩れないように、考えられるところは考えようって決めたの」

「……え、怒ったの?」


 歌子はそういって、きょとんとした顔をする。

 ……ヨウさんに怒った? イトが? そんなことは、私には初耳だ。 『破滅はめつ的な未来』の論文について、議論でもしたんだろうか。

 というかイトがその論文に対して思っていることがあるなど、私も知らなかった。 イトはふだんから自分の思ったことをそんなに話さないから、何を考えているか実は私もよく知らないのだ。


 目の前のイトは頷く。


「うん。 だって、予測とかいって考える割には、全然回避しようという気がないんだもん、あの人」


 イトは眉毛をピクつかせて、少し苛立いらだったような表情を見せた。 歌子はそれを見て、少し笑った。

 ……たしかにそんな風にも、見えるかも。 ヨウさんは頭がいいんだろうけど、少し軽い感じがする。

 まだ知り合って少ししか経ってないから、よく分からないけど……。 周りで起きていることを、自分の気持ちとは切り離して見ているように感じるのだ。


 イトは力強い目をしたまま、続けた。


「だから、私、決めたから。 ちゃんと、休んで。 ……あ、ユメもだからね!」

「……え? 私?」


 名指しされて、黙って他人事のように話を聞いていたユメが、まぬけな声を出した。 気づけばイトは、今度はユメを見つめていた。 にらむように目を向けたかと思うと、激しい剣幕けんまくで続ける。


「ユメも、全然休んでないんじゃないの?!」


 強い口調で言いながら、ドシドシと足を踏み鳴らして詰め寄っていく。

 そんな様子を見て、小春たちは顔を見合わせた。 ……ユメって、結構休んでない? 暇を見つけては、木の根元とかでゴロゴロしてるし……。 ふらっと山に散歩に行くこともあったり、むしろ好き放題してるように見えるけど。

 そう思うが、なぜかとても言い返せる雰囲気ふんいきではない。 どうやらイトは、ユメのことも大して分かってないで突っ走っているみたいだ。


「え? いや、私は……」

「ちゃんと休まないと、だめなんだよ。 だから、ユメも変なことばっかり、考えるんだ」

「……え?」


 今度はいきなりの意味不明な悪口に、ユメはきょとんとした顔をする。

 もう、どこから突っ込んでいいのか分からない。 相変わらず視野が狭いし、憶測で突っ走るし……。 イトがここまで暴走するとは、誰も知らなかったようだ。 みんな半分(あき)れたように、ぽかんと口をあけている。

 それに、変なことを考えるのは、ユメの元々の性質ではないのか? 小春が呆れたように、笑いながらツッコミを入れていく。


「いや、それはユメの元々の、性格でさ……」

「いいから。 とりあえず、今日休もう。 私も、歴史所とか色んなところに、言って回ってくるから」


 イトは強引に話をまとめると、持っていた書類を力強くふんっ!と懐に戻した。 力が強すぎて書類がぐちゃぐちゃになっているが、それすら気にしていないみたいだ。


 休日は正式な議会を経て作ることになるだろうが、イトは待っていられないらしい。 今日すぐに、とりあえず一日休もうということのようだ。

 これから公的な施設などを回って、『休みを下さい! 歌子のために、休みをお願いしまーすっ!!』と嘆願たんがんするのか。 よーっし、みんなで行こうぜ!

 小春がそれを聞き、手をパンと叩いた。


「あっ! それは、いいわね。 ……そう、ちゃんと休まなきゃ。 それ、私も思ってたのよ。 イト、やるじゃない!」


 そういって、いつものようにポーズを決めてみせる。 小春は、完全に普段の調子に戻ったみたいだ。 元気な笑顔がはじけている。 話の文脈は全て吹っ飛ばしている気がするが、それはいつものことだ。


 話を終えると、イトはようやく気が済んだのか、その場を離れ始めた。 一人でズンズンと歩いていくイトを見て、歌子は戸惑とまどったように聞く。


「え? 歴史所、休みにするの?」

「そう! みんな、休もう!」

「あっ! そうと決まれば、私もほうぼうめぐって、かけあってくるわ」


 小春もそう言うと、床を力強く蹴ってその場から動きだした。 小春はやはり行動的だ、考えるより動くたちなんだろう。 それになんやかんや、歌子を気遣う気持ちもあるように思える。

 勢いよく走って行こうとする小春を見て、ユメが慌てて呼び止めた。


「あ、小春!」

「ん?」


 走って行きかけた小春が、立ち止まって振り返る。 ユメは走って追いついていきながら、懐からメモ紙を取り出して渡していった。


「小春、警備の仕事の説明が、来てるよ。 はい」


 やはり憶え屋の仕事でここに来ていたらしい。 小春はメモ紙を受け取ると、手元を見つめる。 メモ紙には、さっき店の中で受けた仕事の詳細が書かれているみたいだった。

 警備の仕事……第5区画の集会場にて、集まるべし! たぶん、ハナの裁判のことなんだろう。

 小春はメモ紙を見ながら、理解したように呟いた。


「あぁ、そんなのもあったわね。 じゃ、私はそっちに行かなきゃ。 レッツゴーよっ!」


 小春はくしゃっと紙をにぎりつぶすと、元気よく走りだした。 残っていた歌子とユメも、その後を追って走りだす。

 一緒に走って行きながらも、歌子はまだ納得いってないみたいだった。 首をひねりながら、後ろでユメとぼそぼそ会話している。


「……休みって、私、何すればいいの?」

「んー……とりあえず、寝たら?」

「うーん? ……まあ、いっかw 寝てみよう」


 歌子はやはりよく分からないと言った感じで首をひねったが、もうどうでもよくなったのか、楽しそうに笑った。


 一行はそのままの勢いで、店の中をけ抜けていった。

 バタンと扉を開けて、店の外へ飛び出していくと、外は明るい光が広がっていた。

 さあ、さわやかな一日の始まりだっ!!

 休み? 一日だけね。(ハル)

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