夢見酒
街の宴会で、楽しんでいた小春たち。 しばらく時間がたったようだ……。
「……うーん。 ……ん?」
気づくと、薄暗い闇があった。 物音は少なく、静かだ。 目の前には暗い影が落ちていて、地面の土が広がっているのが見える。 落ち着いた空気に包まれていて、地面に反射する炎の明かりが、ゆらゆらと揺れている。
ここ、どこだっけ? ……あぁそうだ、みんなで飲んで、話して……。
ユメは身を起こしていき、辺りの景色を見ていく。 辺りには、眠った人の体がゴロゴロと転がっていた。 テーブルの上には酒がこぼれていて、料理が少し残っている。 あぁ、さっき宴会したところだ。 火はそのまま絶やさず、ぼうぼうと燃えているが、辺りはすっかり静かになり、人々はその辺に散らばって適当に眠っている。
足元を見ると、歌子なんかも、ガアガアと派手ないびきをかいて寝ている。
……ここって確か、他の人の家じゃなかったっけ。 いつも住んでる人たちは別のはずだけど。
まあいっか、この街じゃ、こういうこともよくある。 ユメは立ち上がると、静かに歩きだし、その場を離れた。
外に出ると、街もすっかり静かになっていた。 明かりはついているが、宴会は終わったみたいだ。 道端に寝転んでる人などもその辺にいて、ぐうぐうと眠っている。
街の中には、夜半警備隊の人たちが静かに歩いて、見回っているようだ。 夜の時間だけに活動する、警察組織みたいなものだ。 変なことをしなければ、声をかけられることもないだろう。 そう思いながら、ユメはとつとつと街の中を歩いていく。
さっき宴会中に『まぼろし』の酒を飲んだからか、意識がぼんやりしている。
フラフラと体を揺らしながら、夜空を見上げて歩いていく。 手足の感覚がはっきりしないし、景色は静かで固まったようだし……。
いま、風はあるんだろうか? 幽霊の体は、あまりに鈍感だ。 そんなことすらも、分からない……。
街を出ていき、しばらく歩くと、丘に出てきた。 向こうには暗い森が見えていて、夜の闇の中に輪郭が溶け込んでいる。
土を踏みしめるように丘を上っていくと、風が吹いて、ざあっと、木々の葉っぱが揺れた。 草も、風にゆられて踊っているようだ。 ひらひらと揺れて、夜の暗さが心地よく、穏やかに時間が流れている。
やがて、巨大な大樹の足元にやって来た。
見下ろすと、きれいに整理されて並べられた土器が目に入る。 歌子とイトのお酒セットだろう。
腰を下ろしていき、ごろんと草の上に寝転がっていった。 頭の横には酒のセットがあり、酒の入った土器が目の前に見える。
あぁ、もし、これが『夢見酒』だったら……。
そう思いながら、ユメはゆっくりと目を閉じていった。




