表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/100

夢見酒

 街の宴会で、楽しんでいた小春たち。 しばらく時間がたったようだ……。

「……うーん。 ……ん?」


 気づくと、薄暗い闇があった。 物音は少なく、静かだ。 目の前には暗い影が落ちていて、地面の土が広がっているのが見える。 落ち着いた空気に包まれていて、地面に反射する炎の明かりが、ゆらゆらと揺れている。


 ここ、どこだっけ? ……あぁそうだ、みんなで飲んで、話して……。


 ユメは身を起こしていき、辺りの景色を見ていく。 辺りには、眠った人の体がゴロゴロと転がっていた。 テーブルの上には酒がこぼれていて、料理が少し残っている。 あぁ、さっき宴会したところだ。 火はそのまま絶やさず、ぼうぼうと燃えているが、辺りはすっかり静かになり、人々はその辺に散らばって適当に眠っている。

 足元を見ると、歌子なんかも、ガアガアと派手ないびきをかいて寝ている。

 ……ここって確か、他の人の家じゃなかったっけ。 いつも住んでる人たちは別のはずだけど。

 まあいっか、この街じゃ、こういうこともよくある。 ユメは立ち上がると、静かに歩きだし、その場を離れた。


 外に出ると、街もすっかり静かになっていた。 明かりはついているが、宴会は終わったみたいだ。 道端に寝転んでる人などもその辺にいて、ぐうぐうと眠っている。

 街の中には、夜半やはん警備隊の人たちが静かに歩いて、見回っているようだ。 夜の時間だけに活動する、警察組織みたいなものだ。 変なことをしなければ、声をかけられることもないだろう。 そう思いながら、ユメはとつとつと街の中を歩いていく。


 さっき宴会中に『まぼろし』の酒を飲んだからか、意識がぼんやりしている。

 フラフラと体を揺らしながら、夜空を見上げて歩いていく。 手足の感覚がはっきりしないし、景色は静かで固まったようだし……。

 いま、風はあるんだろうか? 幽霊の体は、あまりに鈍感だ。 そんなことすらも、分からない……。



 街を出ていき、しばらく歩くと、丘に出てきた。 向こうには暗い森が見えていて、夜の闇の中に輪郭りんかくが溶け込んでいる。

 土を踏みしめるように丘を上っていくと、風が吹いて、ざあっと、木々の葉っぱが揺れた。 草も、風にゆられて踊っているようだ。 ひらひらと揺れて、夜の暗さが心地よく、穏やかに時間が流れている。


 やがて、巨大な大樹の足元にやって来た。

 見下ろすと、きれいに整理されて並べられた土器が目に入る。 歌子とイトのお酒セットだろう。

 腰を下ろしていき、ごろんと草の上に寝転がっていった。 頭の横には酒のセットがあり、酒の入った土器が目の前に見える。


 あぁ、もし、これが『夢見酒』だったら……。

 そう思いながら、ユメはゆっくりと目を閉じていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ