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恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第2部  作者: トモサン


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104/106

恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第2部 104

「…いっ…一体、どういうことですか?…く…詳しく、説明して下さい…」


 私は、怒鳴った…


 大声で、怒鳴った…


 「…答えは、米倉の五井入りだ…」


 「…それが、なにか?…」


 「…正造は、米倉の五井入りに、尽力した…五井の当主、諏訪野伸明に会って、米倉の五井入りを、模索した…米倉の五井入りを懇願した…」


 「…」


 「…だが、決定権は、諏訪野伸明には、なかった…」


 「…なかった? …どういうことですか?…」


 「…諏訪野伸明は、若い…正造と同じぐらいの歳…四十代前半だ…だから、五井家当主とはいえ、決定権は、持ってない…」


 「…だったら、誰が、決定権を持っているんですか?…」


 「…五井の女帝…五井家当主、諏訪野伸明の叔母の和子だ…」


 「…和子さん?…」


 「…だから、諏訪野和子は、五井の女帝なんだ…五井の決定権を持つから、五井の女帝なんだ…」


 電話の向こう側から、新造さんが、力を込めて、言った…


 「…だから、正造は、諏訪野伸明に頼んで、五井の女帝と会った…それで、米倉の五井入りに関して、色々話し合った…その結果、条件を提示された…」


 「…条件?…」


 「…秋穂という女さ…」


 「…どういうことですか?…」


 「…正造は、諏訪野伸明と、よく行く、行きつけの店で、秋穂に会った…それで、伸明は、この秋穂さんは、妹の好子と、よく似ていると、言った…それが、すべてのきっかけだ…」


 「…きっかけ…」


 「…そう…きっかけだ…正造は、五井の女帝と、色々と、米倉の五井入りについて、話し合った…でも、当然、正造の旗色は、悪い…米倉の負債は、それなりにある…条件は、最悪だ…」


 「…」


 「…だから、正造は、世間話をしながら、根気よく、何度も、五井の女帝のところに足を運び、さまざまな条件を提示して、米倉の五井入りを模索した…その中で、話が、水野のオバサンの話になった…」


 「…春子さんの?…」


 「…そう…当たり前だが、好子は、春子の息子の透(とおる)と、離婚した…透(とおる)は、独身になった…すると、透(とおる)は、今後、どうするのだろう? …誰か、いいひとでも、いるのか? という話になったそうだ…」


 「…」


 「…そこで、高見さんの名前が出た…」


 「…エッ? …私の名前?…」


 「…実は、透(とおる)は、好子と、同じくらい好きな女がいて、透(とおる)が、好子と離婚したから、春子のオバサンも、高見さんに、興味を持っていると、言ったらしい…」


 「…エッ?…」


 「…それで、高見さんに興味が湧いた…だから、後日、五井の女帝は、高見さんに会った…どんな女か、見てみたかったからだ…」


 「…」


 「…そして、それは、あの秋穂という女も、同じ…同じだ…」


 「…どう、同じなんですか?…」


 「…秋穂の外見…高見さんや、好子と似ている…」


 「…」


 「…それを知った和子は、一計を案じた…秋穂もまた、米倉の血を引く、米倉一族だと、言えば、いいと、正造に提案した…」


 「…エーッ!…」


 「…つまり、澄子の娘だと、名乗ればいいと、正造に、持ちかけた…」


 「…どうして、そんなことを?…」


 「…春子オバサンを、困らせるためだ…」


 「…春子さんを?…」


 「…すでに、何度も言ったが、好子と、高見さんは、似ている…そして、それを、知って、五井の女帝の和子は、透(とおる)が、好子や高見さんのようなルックスの女が、好きなんじゃないかと、思ったらしい…」


 「…エッ?…」


 「…オレは、透(とおる)を、子供の頃から、知っているし、好子も、姉弟だから、当然、知っている…だから透(とおる)が、好子を好きなのは、知っているが、それだけだった…でも、他人は、そうは、思わないかも、しれない…」


 「…どういうことですか?…」


 「…透(とおる)が、好子と高見さんを、好きだった…同じ顔立ちの女を好きだった…しかも、共に小柄…姉妹と呼べるほど、似ている…だから、和子は、それを、聞いて、透(とおる)の女の好みだと、思ったらしい…」


 「…そんな…」


 「…言われてみれば、そうとも、言える…オレは、透(とおる)とも、好子とも、そして、高見さんと、近かったから、気付かなかった…」


 「…」


 「…だから、和子は、秋穂のことを、聞いて、面白いことを、考えた…その秋穂も、高見さん同様、米倉一族だと、言えば、いいと、考えた…そして、透(とおる)に接近させれば、いいと、考えた…」


 「…」


 「…つまりは、春子オバサンを、五井の女帝が、困らせようと画策したんだ…」


 「…困らせる?…」


 「…透(とおる)と、秋穂が、いい仲になれば、面白くなる…そう、思ったんだ…」


 「…」


 「…つまり、それほど、春子オバサンを憎んでいるということさ…」


 「…」


 「…そして、正造は、五井の女帝に、命じられて、あの秋穂を、うまく言いくるめて、澄子の娘だと、自分から、名乗るように、言った…そして、その秋穂を、正造は、常に監視していた…」


 「…監視していた? …どうして、監視していたんですか?…」


 「…心配だったんだろ?…」


 「…どうして、心配だったんですか?…」


 「…好子が、正造から、聞いたのは、あの秋穂には、危うさが、あったそうだ…」


 「…危うさ?…」


 「…子供に、よくあるだろ? なにか、こいつの面倒をみてあげなくちゃ、ヤバいみたいな…危なっかしさとでも言うのかな…そんな感じ…」


 「…」


 「…それで、暇な時間は、秋穂を監視していたそうだ…」


 「…でも、それで…それで、どうして、正造さんは、秋穂さんに、命を狙われて…」


 「…自分が、利用されていることに、気付いて激怒したのが、真相らしい…」


 「…エッ?…」


 「…澄子の娘だと、名乗るんだ…当然、なりすましだ…利用されていることは、わかっている…が、秋穂は、受け入れた…金が欲しかったからだ…」


 「…お金が?…」


 「…あの歳で、男相手に仕事をしている…当然、子供もいる…」


 「…エッ? …子供?…」


 「…いわゆる、シンママ…シングルマザーだ…」


 「…だから、秋穂は、正造の提案を受け入れた…金が欲しかったからだ…」


 「…」


 「…だが、その報いというか…預けていた子供が、偶然、亡くなったらしい…それで、キレた…」


 「…キレた? …どうして?…」


 「…自分の人生が、嫌になって、しまったと、聞いた…」


 「…エッ?…」


 「…これまで、苦労してきたんだろう…それが、子供が亡くなったことで、自暴自棄になった…」


 「…」


 「…そして、正造も、秋穂という女の危うさが、最初、会ったときから、わかっていたそうだ…」


 「…どうして、わかっていたんですか?…」


 「…正造は、一筋縄には、いかない男だ…」


 「…」


 「…オレも、アイツは、好きじゃないが、アイツも、それなりに、苦労は、している…

だから、同病相憐れむじゃないが、自分と、同じような心の闇を持つ相手は、すぐに、わかると、言っていた…」


 「…」


 「…だから、わかったそうだ…」


 新造さんが、言った…


 そういえば…


 そういえば、ずっと、以前、正造から、聞いた…


 自分は、子供の頃、一度、米倉の家を出た…


 そして、数年後、戻って来たときには、すでに、好子さんが、いた…


 つまりは、正造の父の平造は、好子さんの母親である、米倉の正統後継者と、結婚するために、米倉の家に、戻った…


 正統後継者である、好子さんの母親は、すでに、好子さんを産んでいた…


 いわゆる子持ちのバツイチだった…


 そのバツイチの母親と、正造の父、平造は、結婚した…


 そして、好子さんの母親も、他界…


 平造は、別の女性と結婚して、子供をもうけた…


 それが、新造さんだ…


 だから、この新造さんも、また、好子さんとは、血の繋がりがない…


 あるのは、正造と、だ…


 この新造さんと、正造は、母親が、違うが、父親が、同じ…


 共に、あの平造の子供だ…


 そして、それは、あの澄子さんも、同じ…


 つまりは、好子さんだけ、違う…


 彼女だけ、米倉本家の血を継ぐ、米倉の正統後継者…


 他の3人は、皆、平造の子供…


 米倉の分家の血を引く者に、過ぎない…


 それゆえ、好子さんだけ、特別…


 好子さんだけ、特別だ…


 それが、気に入らない澄子さんは、好子さんに反発した…


 それゆえ、好子さんをイジメた…


 私は、それを、思い出した…


 そして、そんなことを、考えていると、新造さんが、


 「…だが、その秋穂という女…米倉の一族で、間違いは、なかった…」


 と、いきなり、言った…


 私は、思わず、言葉に詰まったというか…


 「…エッ?…」


 と、絶句した…


 それから、


 「…ウソッ!…」


 と、素っ頓狂な声を上げた…


 「…ウソじゃない!…」


 新造さんが、電話の向こう側から、強い口調で、反論した…


 「…警察で、調べて、わかったそうだ…その秋穂という女も、高見さんと、同じく、5代か、6代前は、米倉一族だったらしい…いわば、嘘から出た実(まこと)…正造が、偶然、指示したウソが、ホントだったんだ…」


 「…」


 私は、その言葉を、聞いて、腰が抜けるほど、驚いた…


 まさに、まさか…


 まさに、まさか、だ…


 そんな偶然ってある?


 世の中に、そんな偶然ってある?


 そう、聞きたかった…


 が、


 真実なのだろう…


 私は、その事実を受け入れた…


 私は、その事実を受け入れるしか、なかった…



 そして、その新造さんの電話が、今回の物語の終焉…


 エピローグだった…


 要するに、私は、今回も、また、米倉に翻弄された…


 米倉の家に、翻弄された…


 それが、すべてだった…


 水野透(とおる)が、米倉好子と、離婚した…


 そして、その前哨戦というか…


 すでに、いったんは、米倉を、救済合併した、水野だったが、すぐに、社風が合わないことに、気付いた…


 このままでは、合併は、無理…


 合併は、できない…


 互いに、そう気付いたときが、この物語の発端だった…


 が、


 結婚したばかりの、透(とおる)と、好子さんは、当然、その現実を受け入れらない…


 だから、二人は、合併が白紙になることに、反対した…


 とりわけ、好子さんは、合併が白紙になることに、反対だった…


 これは、当然だ…


 その時点で、米倉と、水野の合併が白紙に戻れば、米倉は、路頭に、迷うからだ…


 だから、強行に反対した…


 が、元々、水野と米倉の合併に反対だった、透(とおる)の両親の、良平と春子は、合併が、白紙になることに、諸手を上げて、賛成だった…


 水野にとって、米倉と合併しても、なんのメリットもないからだ…


 が、


 米倉にとっては、危急存亡の秋(とき)…


 今、水野に、見捨てられれば、消滅するのが、わかっているからだ…


 それを、知った正造は、米倉の面倒を見るべき、相手を探した…


 その結果、見つけたのが、五井…


 日本を代表する企業グループだった…


 正造は、五井の若き当主、諏訪野伸明と、飲み友達だった…


 が、


 彼には、実権がなかった…


 理由は、若すぎたから…


 正造と同じ40代前半では、五井をまとめられるはずが、なかった…


 実権は、叔母の諏訪野和子が、握っていた…


 それゆえ、正造は、和子に会って、米倉の五井入りを懇願した…


 その延長で、あの秋穂の出番となった…


 私や、好子さんに似たルックスの秋穂を使って、透(とおる)に、接近させ、透(とおる)を、誘惑しようと、したのだ…


 五井の女帝、諏訪野和子と、水野の正統後継者、水野春子は、天敵…


 犬猿の仲…


 だから、息子の透(とおる)を、誘惑して、からかってやろうとしたのだ…


 そして、その手伝いを、正造は、した…


 米倉の五井入りを懇願する正造には、諏訪野和子の依頼を断ることは、できなかったからだ…


 つまり、この物語は、私、高見ちづるを、リストラさせて、どう反応するか、見てみたと、考える、水野春子と、秋穂を使って、透(とおる)を、誘惑して、どう反応するか、見てみたい、諏訪野和子…


 両者の思惑が、ほぼ、同時期に、重なった…


 それゆえ、物語が、混乱したといえる…


 が、


 その主役は、米倉正造…


 私をリストラさせようとして、松嶋を唆したのも、正造…


 秋穂を使って、透(とおる)を、誘惑させたのも、正造だからだ…


 それでも、ある意味、正造は、犠牲者だった…


 水野春子と、諏訪野和子の二人の女傑に頼まれて、やりたくもないことを、やらされた…


 犠牲者だった…


 が、


 同情は、できない…


 なぜなら、私は、金崎実業をリストラされかけた…


 なんの落ち度もないにも、かかわらず、リストラされかけた…


 それが、許せなかった…


 断じて、許せなかった…


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