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恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第2部  作者: トモサン


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100/106

恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第2部 100

が、


 仮に春子が、私を、金崎実業から、追い出そうとしたとしても、動機が、わからない…


 さっぱり、動機が、見えない…


 今も言ったように、私を金崎実業から、追い出しても、春子の得になることは、なにもないからだ…


 いや、


 一つだけ、あった…


 それは、正造の関心を私に向けさせること…


 あの正造は、春子、いわく、


 …私を好きらしい(爆笑)…


 私は、そんなことは、これっぽっちも、考えたことは、なかったが、あの春子は、そう言っていた…


 そして、これは、隣にいた好子さんも、同じだった…


 が、


 それは、どうしても、信じられない…


 正造が、私を好きになるはすがないからだ…


 が、


 とりあえず、それは、横に置いていても、仮に、あの春子が、私を、金崎実業から、追い出そうとしたのは、当然、理由が必要…


 そして、それは、おそらく、正造絡み…


 正造の行動を、封じること…


 正造の行動を制限することだ…


 だが、その米倉正造は、実家の米倉の引き取り先を必死になって探していた…


 そして、米倉が、水野から、逃げ出すことを、あの春子は、歓迎していたはずだ…


 そして、それをいえば、春子の夫の良平も同じ…


 仮に、正造の動きを知っても、止めることはないだろう…


 水野夫妻は、最初から、米倉が、水野から、離脱することを、望んでいたからだ…


 仮に、仮に、だ…


 米倉の負債が、後にちゃらになった…


 これを、知っていたと、する…


 ロシアとウクライナの戦争で、石油や天然ガスの価格が、一気に跳ね上がったためだ…


 あらかじめ、米倉の経営する大日産業の子会社が、石油や天然ガスを先物取引で、買っていたのが、ロシアとウクライナの戦争で、高騰したためだ…


 だから、その利益で、米倉の借金が、ちゃらになった…


 借金がなくなった…


 が、


 それを、事前に、春子も、良平も知ることは、できない…


 いや、


 誰も、できない…


 それを、知ったのは、米倉が、五井の傘下に入ってからだ…


 だから、あの五井にしても、米倉の借金が、ちゃらになることを、事前に、知らなかったはずだ…


 だから、それを、当然、水野夫妻も、知る由もない…


 だから、仮に、春子が、私を金崎実業から、リストラして、追い出しそうとして、米倉正造の動きを封じようとするのは、おかしい…


 むしろ、正造の動きを、推奨するはずだ…


 米倉が、水野から、出ようとする動きを、推奨するはずだ…


 米倉は、水野にとって、お荷物…


 お荷物=いらないものだからだ…


 だから、正造が、米倉の次の引き取り先を探すのを知っても、歓迎こそすれ、邪魔をすることなど、ないに違いない…


 私は、思った…


 そう、考えた…


 と、そこまで、考えて、思考が停止した…


 考えることが、あまりにも、多すぎる…


 そして、情報が、少なすぎる…


 だから、余計に、混乱する…


 が、


 やはり、キーポイントは、秋穂だろう…


 秋穂が、誰に唆されて、松嶋に、私を、金崎実業から、追い出せと、命じられたか?


 それが、最大の焦点だ…


 いや、


 と、そこまで、考えて、ふと、思った…


 正造のことを、だ…


 あの松嶋が、秋穂に頼まれて、私を、金崎実業から、追い出されようとしているのを、米倉正造は、事前に、知っていた…


 事前に、知っていて、私が、松嶋から、リストラ宣告を受けたのを、聞いて、私に電話をかけてきた…


 要するに、私の様子を探ったのだ…


 そして、そのとき、私は、たいしたことはない、と、言うような、強がりを言った…


 「…正造さんが、女に振られたのと、同じ…」


 だとも、言った…


 そして、


 「…それは、どういう意味ですか?…」


 と、尋ねる正造に、


 「…たいしたことじゃないと、いうことです…」


 と、返した…


 ホントは、リストラ宣告されたことが、ショックで、立ち直ることが、できなかったが、正造に、そんな姿を見せるのは、嫌だった…


 なぜなのかは、わからない…


 ただ、米倉正造に、そんな姿を、見せるのは、嫌だった…


 それでは、まるで、負け犬…


 負け犬だ!…


 そして、おそらく、正造に、一番知られたくなかったのは、ずばり、


 …私が、調子に乗っていた!…


 ことだった…


 あのときは、わからなかったが、私は、それまで、調子に乗っていた…


 自分では、気付かなかったが、調子に乗っていた…


 もうすぐ、34歳になる…


 営業所の女子の中では、一番の最年長…


 だから、いつ、リストラ宣告をされても、不思議はない…


 そう、いつも、心の奥底で、思っていたにも、かかわらず、リストラ宣告をされたときは、実に、ショックだった…


 そして、その理由は、ただひとつ…


 それは、私が、自分が、美人であることを、鼻にかけていたからだ…


 だから、自分は、美人だから、リストラされることは、あるまいと、心のどこかで、高をくくっていた…


 それが、裏切られた…


 ありていに言えば、


 「…オマエは、クビだ!…」


 と、言われて、慌てた…


 そういうことだ…


 が、


 それを、他人に知られるのは、恥ずかしい…


 美人と言っても、世間に広く知られた女優のような美人でも、なんでもない…


 そんな、世間に数多いる、美人の一人である、私が、そこまで、調子に乗っていた…


 それを、他人に知られるのは、恥ずかしい…


 とりわけ、あの米倉正造には、知られるのは、恥ずかしい…


 なぜだかは、わからない…


 ただ、あの正造に、自分が、そこまで、調子に乗っていた女だと、思われるのは、嫌だった…


 だから、つい、強がった…


 たいしたことじゃないように、振る舞った…


 が、


 本当は、たいしたことだった(涙)…


 とんでもなく、たいしたことだった(涙)…


 もうすぐ34歳になる、女の転職は、容易ではない…


 とりたてて、特技もなにもない、私は、転職は、できるだろうが、今の会社のレベルの会社に転職するのは、無理だろう…


 あるのは、手っ取り早く、スーパーのパートや、コンビニやドラッグストアのパートが、一番、考えやすい…


 が、


 それは、主婦…


 結婚した主婦が、大半だろう…


 まだ結婚もしていない、私が、そこで、働くのは、やはり、躊躇するものがある…


 だから、嫌だった…


 そして、それは、突き詰めれば、プライドの問題だった…


 私、高見ちづるのプライドの問題だった…


 傍から見れば、たいしたことのない、高見ちづるのプライドの問題だった…


 自分でも、笑ってしまうが、譲れないプライドの問題だった…


 そして、それを、あの米倉正造に知られるのは、嫌だった…


 どうしても、嫌だった…


 なぜなのかは、わからない…


 だが、


 どうしても、嫌だったのだ…


 

 結局、結論は、出なかった…


 いつまで経っても、結論は、出なかった…


 当たり前だ…


 答えを知る人間が、身近にいない…


 それでは、いつまで、経っても、正解を知る由もない…


 が、


 それでも、よかった…


 もはや、私は、米倉とも、水野とも、なんの関係もない…


 いや、


 元々、身分が違う…


 米倉も、水野もお金持ち…


 私は、一般人…


 その違いだった…


 だから、答えなど、知らなくてもいい…


 本気で、そう思った…


 たしかに、答えを知らないのは、歯がゆい…


 が、


 今さら知ったところで、なんになる?…


 答え合わせをするだけだ…


 なにより、この一か月、誰も私に接触しようとしなかった…


 だから、用無し…


 私は、用無し…


 あるいは、


 用済みなのだろうと、勝手に思った…


 私に用があるならば、米倉でも、水野でも、私に接触してくるはずだからだ…


 それがないのは、私が、用無し、あるいは、用済みなのだろうと、思った…


 私は、利用された…


 やはり、あのとき、米倉正造の動きを止めるのに、利用されたのだと、気付いた…


 そして、正造が、動いて、無事、米倉の五井入りが、決まった…


 無事、米倉が、生き残ることができた…


 それが、済んだから、私に用がなくなったと、いうことだろう…


 用済み…


 あるいは、


 用無し…


 悲しいが、それが、事実だった…


 今さらながら、気付いた…


 ちょうど、男が、狙った女と、セックスをする…


 男の目的は、ただひとつ…


 狙った女と、やること…


 狙った女と、セックスをすること…


 それだけ…


 だから、その目的を叶えれば、もはや、用無し…


 二度と、連絡を寄こすこともない…


 それと、似ている…


 私は、正造と、セックスをすることもなかったが、同じ…


 同じだ…


 用済みになったのは、同じ…


 それを、思えば、悔しくて、今にも、涙が、こぼれ落ちそうになったが、それは、間違っている…


 そもそも、身分違いの私が、米倉正造と、どうのこうのなると、思っていたのが、間違っている…


 これは、私が、自分を、少しばかり、美人だと、思って、金崎実業をリストラされないと、高をくくっていたのと、同じ…


 同じだ…


 自分が、少しばかり、美人だから、もしかしたら、身分違いでも、正造と結婚できるかも、しれない…


 今になって思えば、そんな下心があったことは、否定できない…


 が、


 それを、表に出すことはなかった…


 あくまで、下心…


 もっと言えば、自分でも、気付かないほどの下心…


 だから、たとえば、米倉正造が、他の女と、結婚したと、聞いて、落胆する…


 やはり、私は、心の奥底では、正造を好きだったんだな…


 と、気付く下心だからだ…


 つまり、表面には、出ない…


 自分も、気付かない…


 そんな下心…


 そして、自分でも気づかない、そんな下心だから、正造に、対して、強気になれた…


 正造に対して、媚びることも、へつらうことも、なかった…


 もっとも、これは、米倉や水野の他の人間に対しても、同じ…


 同じだ…


 なまじ、相手に取り入ろうと下手に出ると、嫌がる人間も、一定数、存在する…


 相手の、下心が、ミエミエだからだ…


 だから、辟易する…


 そういうことだ…


 私は、正造と、対等…


 一歩も引くことがなかった…


 だから、ひょっとして、正造に、気に入られたのかも、しれない…


 そして、それを、私は、誤解した…


 もしかしたら、正造と、結婚できるかもしれない、と、誤解した…


 そういうことかも、しれない…


 私は、今さらながら、思った…


 自分の心の内側に気付いた…


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