1.プロローグ
【読者の皆様へ】
本作をお手に取っていただき、誠にありがとうございます。
筆者にとって「2作目」となる小説です。
本作は、すでに第一章にあたる部分をすべて書き終えております。
そのため、エピソードが途中で途切れることなく、8月中旬には第一章の全話を皆様にお届けできる予定です。どうぞ最後まで安心してお楽しみください。
【更新スケジュールについて】
最新話のクオリティ向上のため、投稿直前まで徹底的な推敲と修正を行っております。それに伴い、誠に勝手ながら火曜日のみ更新をお休みとさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
※なお、物語の導入にあたる最初の5話ほどは、1話あたりの文字数が少なめの構成となっております。あらかじめご容赦いただけますと幸いです。
それでは、悪党たちが織り成す『モルフィの軌跡』をどうぞご覧ください!
黄金色の稲穂が揺れ、家畜の鳴き声がのどかに響く、それだけの田舎町だった。
泥にまみれ、汗を流して土を耕す。
確かにそこには、ささやかで平穏な豊かさがあった。
――あいつらが、すべてを蹂躙するまでは。
飢えた盗賊、牙を剥く魔物、そして正義を掲げるはずの国の衛兵。
彼らは一斉に押し寄せ、僕たちの命、尊厳、そして丹精込めて育てた収穫物のすべてを、文字通り根こそぎ奪い去った。
あとに残されたのは、血と灰と、絶望だけだった。
無力な僕たちが、神に祈ったところで救いなど来ない。
「神は死んだ。だが、悪魔はいた」
だから、俺は「悪魔」に魂を売った。
俺がすべてを奪い返すための武器として、僕たちが選んだのは武器ではない。
この世界を、決して抗えない甘美な「お菓子」で底なし沼に沈めてやることだ。
大丈夫、俺らならやれる。
いや、必ずやり遂げてみせる。
正義も秩序も機能していないこのクソみたいな世の中で、地を這う虫ケラだった俺たちが、奈落の底から成り上がってやるんだ。
そして、俺たちだけの汚れなき楽園を築こう。
俺たちを虐げたあとの人間どもは、その薬物に溺れさせ、死ぬまで僕たちの足元で這いつくばる奴隷にでもしてさ。
この世は金と強さで決まる。
「……まずは、この国からだ」
モルフィは、手の中にある粗末な麻袋を見つめた。
隙間から覗く白い粉末は、まるでこれから世界を包み込む、死の雪のようだった。
掴んだ指先に力を込めながら、彼は胸の奥で、これから始まる破滅と歓喜の序曲に、昏い期待を膨らませていた。




