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ゼノマギア  作者: ささみ
第2章 なぜ彼は魔法少女であれるのか
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第55話 救助

 開いた扉の先、そこにいた2つの人影のうちの片方であるアクセラの名を叫ぶ。


「あら?そんな大声を出さずとも聞こえてるわよ?」

「あれ、まだ難聴じゃなかったのか……」

「はぁ!?そんなに歳とってないわよ!」

「え、そんな見た目で?」

「こいつ……!」


 アクセラが煽ってきたので煽り返す。

 正直なところ外見だけだと少女にしか見えないが、前に部隊の隊長をしていると言っていたのでそれなりに年を食ってるだろうと適当に言ってみたのだが、どうやら当たりだったらしい。

 あからさまにイライラしている。


「隊長落ち着いて、今こっちには人質もいるんだから有利なのはこっち、相手のペースに乗っちゃダメ」

「……そうね、ありがとうシャクヤク、少し落ち着くわ」

「ちっ……」


 適当に煽って有利を崩そうと思ってたのに、アクセラの後ろに立っていたシャクヤクというらしい少女がそれを諫めてしまった。

 多分これ以上煽ったところで意味はなさそうだな。

 そう判断した俺は本題に移ることにした。


「お前ら人質はどうした!」

「安心なさい、今はまだ無事よ、今はだけどね」


 今は無事か……

 これからについて明言しないのがイラっとくるな……


「それが本当かどうかこの目で見ない限りわからないけどな」

「あら?疑うのかしら?なら特別に人質の姿を見せてあげるわ」

「は?」


 アクセラがそう言うとその隣の床が開き、そこから白衣を着た女性が現れた。

 椅子にだらりと座った状態で意識があるようには見えない。

 椅子の背もたれに両手が回されており、おそらく椅子に後ろ手で拘束されているのだろう。


「真司さん!」

「おっと、そう簡単に近づけさせるとでも?」

「っ!」


 拘束されている白衣の彼女にルナが走り出したが、アクセラの土の剣が喉元に突き付けられ制止する。

 ルナが反応したあたり彼女が真司さんで間違いないようだ。

 しかし、なぜ人質をわざわざ俺たちに見せたんだ?

 人質を失うリスクが高くなるだけであまり意味があるようには見えないが……


「退いてください!」

「悪いけどそれは無理な話ね」

「なら無理やりにでも!」


 ルナがナイフでアクセラに攻撃を仕掛ける。

 しかしアクセラにその攻撃が命中することはなく、たやすく対処されてしまっている。

 やはりルナ一人でアクセラに対処するのは無理そうだ。

 なら……!


「おいおい、ここにいるのはルナだけじゃないんだぜ?」

「あぁ、私たちもいる」

「4対1で何とかなるとでも?」

「ぐっ、さすがに4対1は無理があるわね、シャクヤク!」

「了解!」


 ルナとアクセラの戦いに俺たちとシャクヤクも参加する。

 アクセラの土の剣による攻撃を俺が弾き、シャクヤクのファイアボールをアクセラがバリアで受け止める。

 そして余裕のあるルナとオルフェンがどんどんと攻撃を仕掛けていく。

 4対2という俺たちの有利な戦況であるため、当然俺たちのほうがどんどんと追い詰めていった。

 このままいけば真司さんの救出も容易いだろう。

 だが……


「……」

「うおっ!?おいゼア!ちゃんと土の剣の対処をしてくれ!」

「あ、ごめん」


 つい考え込んでしまい対処しきれなかった土の剣による攻撃をシントリエがバリアで防いでくれた。

 どうやら今この場で考え込むのは危険そうだ。

 今は戦闘に集中しよう。


「そこです!」

「なっ!?しまった!」


 しばらく戦闘が続き、全員が戦闘に集中しきっている中、ルナがワイヤーを真司さんのいる方向に放ちそのままその方向へ高速で引っ張られていく。

 いきなりの行動だったためアクセラはその対処が間に合わず、ルナは真司さんのもとへとたどり着いた。

 よし、これで真司さんの救助は完りょ……!?


 その瞬間俺の目はアクセラの口角がわずかに高くなったのを捉えた。

 なぜ今口角が上がった?

 ……!?

 もしかして……!


「ルナ!」

「え?」


 俺は飛行魔法に大量のマナをつぎ込み、瞬時にルナのもとまで移動する。

 急激な加速による衝撃で意識が遠のきそうになるが、俺は気合でそれを耐えてそのままルナを押し倒した。

 そしてその直後、バンッという乾いた音が部屋中に響き、そして俺の首元を何かが掠めていく。


「え……?どうして……?」

「……やっぱりか」


 ルナと俺、いや、部屋にいた全員がその音の発生源のほうを見る。

 するとそこにはうつろな目で椅子に座りながら拳銃を握っている真司さんの姿があった。

 そう、さっきの音は銃声で、俺の首を掠めたのは真司さんが放った弾丸だったのだ。


「ちっ、残念、外れちゃったわね、どうして私たちが人質を洗脳してるってわかったのかしら?」

「3割の予測と7割の勘かな、お前らの行動にはいろいろと違和感があったから動いてみただけだ」

「そう、勘ね、私の嫌いな言葉だわ」


 アクセラの口角が上がった瞬間俺の頭にはこれが罠である可能性がよぎった。

 そしてその直後に思い出した数々の違和感が俺に動くよう訴えてくれた。


 まず最初の違和感はこの部屋にアクセラとシャクヤクしかいなかったことだ。

 あっちはこの場所を指定してきた側なんだからいくらでも魔物だったりを準備できたはず、なのに二人しかいないのはいくらなんでもおかしい。


 そして次の違和感は人質を俺たちの前に出したこと。

 俺たちに人質を見せるためだとしてもそれはカメラで撮った映像でもいいはずだ。

 にもかかわらずわざわざ俺たちの前に出すのはおかしい。


 そして最後の違和感はシャクヤクの使った魔法だ。

 シャクヤクが使った魔法はファイアボール、つまり基本魔法だ。

 アクセラの発言的にシャクヤクはアクセラの部隊の一員だ。

 なら持っている固有魔法は当然攻撃性の高いものになるはず。

 にもかかわらず戦闘中に使ってくる気配はない。


 この3つから俺はアクセラがわざと俺たちに人質である真司さんを救出させようとしているのではないかという結論を出した。

 若干飛躍した推理ではあったけど、信じて行動したのは正解だった。

 ただ、俺は慌てて行動したため1つミスを犯してしまったが……


「……あれ、なんかゼアさんが光って……!?」


『Are you ready? ザザッ、ザーーー』


 その言葉とともに俺の体は全身真っ白な姿、ゼアオリジンになってしまった。


「……まぁ、ルナを救えた対価としては安いか」

「ぜ、ゼアさん......その姿は……」


 真司さんが放った弾丸は確かに俺の首を掠めただけで済んだ、ただ俺の首にはとある大事なアイテムがあった。

 そう、ヘッドホン型変身ガジェットのことだ。

 真司さんの弾丸は見事にこれに命中し、その結果ヘッドホンの機能が停止したのだ。

 ……アクセラ達相手に基本魔法しか使えないゼアオリジンか。


「まぁ、やるしかないよな!行くぞみんな!ここからがクライマックスだ!」

小話

真司さんが撃った弾丸にはマナゼリーが入っているため、急所に当たれば魔法少女でも重症になる可能性が高い


ゼアオリジンになったのでポイント乞食します。ポイントください。

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