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ゼノマギア  作者: ささみ
第1章 なぜ彼は魔法少女となったのか
21/50

第20話 生きて

なんで主人公不在で最終決戦みたいなことになってるんだ?

 私は倒れこんだ清華ちゃんに声をかけ続ける。

 けれど清華ちゃんは何も反応を示さなかった。


「はぁ、そんな妖精なんか庇わなければ死なずに済んだのにね」

「っ、お前!!」


 私の口から思わずらしくない言葉が出る。

 それぐらい今の言葉には苛立ちを隠せなかった。

 私はその感情のまま、あの魔法少女に立ち向かおうとする。


『待つのだ!』


 だが、それはアクアに止められてしまった


「っ、なんで止めるのさ!だってあいつは清華ちゃんを!!」

『まだ生きてる!』

「っえ……」


 まだ生きている。

 そのアクアの言葉で私の荒れていた心が落ち着いていく。


「本当に……、まだ生きてるの……?」

『あぁ、だがそれは魔法少女でいる間だけだ、だから魔法少女から戻ってしまう前に適切な処置をする必要がある』


 魔法少女から戻るまで……

 魔物との戦いに使ったマナの量を考えると多分10分ぐらい。

 それぐらいなら私が本気で走ればまだ間に合うはずだ。


「おいおい、私の目の前でそんなことが許されるとでも思ってんのか?」

「どいて!清華ちゃんはまだ助かるんだから!!」

「ふ~ん?まぁ条件次第ではどいてやってもいい」

「はぁ?」

「そのアクアとかいう妖精はここに残れ」

「っ!?」


 シントリエとかいう魔法少女が出した条件はそんなふざけたものだった。

 そんな条件飲めるわけ……!


『わかった、我は残る、だからこの二人は行かせてくれなのだ』

「アクア!?」

「へぇ、いい度胸してるじゃん」


 だが、アクアにとってそれは飲んでしまえる程度のものだったらしい。

 けどそんなことを私は認めるわけにはいかない。

 だって……


「駄目だよアクア!」

『……ヒメツバキ、我にとってお前たち二人は命に代えても……』

「それじゃああなたを庇った清華ちゃんの意思はどうなるのさ!!!」

『っ!?』


 ここでアクアが死んだら、清華ちゃんの行動は無駄になる!

 命を懸けて行った行動の意味が消えてしまう!!

 そんなことを許すわけにはいかないの!!!


「アクアも生きて清華ちゃんも助ける!そうじゃないと意味がなくなっちゃう!」

『……あぁ、そうだな、確かに我は清華の意思を無視してしまうところだった。ありがとう、ヒメツバキ』

「ううん、いいんだよアクア」


 私とアクアはお互いに必ず生きて清華ちゃんを助ける覚悟を決め、シントリエのほうに向きなおす。


「おいおい、結局やるのかよ、お前が私に勝てるとでも?」

「勝ち負けの話じゃないんだよ、私は押し通らないといけないの、あなたを倒してでもね」

「そうかよ!」


 シントリエが新しく生成したアクアスピアを握り、こっちに走りこんでくる。

 私も同じように炎の剣を生成し、シントリエへと走る。


「ふっ!」

「チッ、アクアスピアじゃ無理か」


 炎の剣とアクアスピアがぶつかり合い、一瞬の拮抗の後炎の剣がアクアスピアを蒸発させた。

 しかしシントリエはその瞬間体を反り、炎の剣を躱し、私の腹をそのまま蹴って距離を取られてしまった。


「となるとグミ打ちだな」

「っ!」


 シントリエは無数のアクアバレットを生成し、放ってくる。

 もちろんそれに対し私はバリアを張る。

 いくつかは貫通してしまうが、そのたびにバリアを張りなおしエアバレットを耐える。


 チャンスだ。

 私はそう思った。

 エアバレットとはいえこんな大量に生成すればすぐにマナは切れてしまう。

 これを続ければ続けるほどむしろ私は有利に……


「有利になる……、とでも思ってる顔だな?」

「え……」


 分かっているのならどうしてこんなことを?

 その疑問はシントリエの次の言葉で解消された。


「私のマナは普通の魔法少女の10倍以上ある。このまま続けて有利になるのはどっちだろうな?」

「!?」


 10倍以上!?

 となるとこれを続けても私が有利になることはない。

 むしろ10分というタイムリミットがある以上私のほうが圧倒的に不利だ。


「マナの回復手段でも持ってるなら別だが……、その顔を見るともってなさそうだな?……じゃああいつは何だったんだ?」

「?」


 なにかシントリエがしゃべっていたような気がするが、バリアとエアバレットがぶつかり合う音でよく聞こえなかった。

 そんなことよりも今のままだと時間切れで清華ちゃんが死んでしまう。

 どうしたらいい?

 一か八かで突進?

 いや、ほぼ間違いなくシントリエにたどり着く前にぼろぼろになる。

 けどそれ以外に方法はない!


 私は土魔法で剣を作り出し、決死の覚悟でシントリエへと走り出す。

 後ろで私が離れたことでバリアが消滅したことを感じつつ、私に向かってくるエアバレットを可能な限り弾き、前に進む。


「いい度胸だ、けどそれがいつまで続く?」

「お前にたどり着くまでに決まってるでしょ!」

「はっ、まぁそうだろうな」


 エアバレットが肌をどんどん切り裂いていく、けれど足を止めるわけにはいかない。

 私は少しづつ前に進み、やっとの思いでシントリエの前へとたどり着いた。

 するとどうやらエアバレットを止めたらしく、あたりに一瞬静寂が広がった。


「ずいぶんボロボロじゃねぇか、どうした?」

「来る途中で蚊柱に突っ込んじゃってね」

「へぇ、じゃあ今から気にならないようにしてやるよ、もっとでかい傷を作ってな!」

「傷ができるのはどっちだろうね!」


 シントリエが再びアクアバレットを手に持ち、私に突きを放つ。

 私はそれを小さめのバリアで防ぎ、手に持った土の剣で薙ぎ払いを……!?

 シントリエがアクアバレットを防がれた瞬間身を屈める。

 すると、シントリエが背中で生成したのだろう大きな炎の玉、ファイアボールがあった。


「っ!」

「させねぇよ」


 私は慌てて横に避けようとするが、シントリエがバリアを生成し、それが壁となって進めなくなってしまった。

 それで焦ってしまったのだろう、バリアを張ればいいということに気が付いたころには、すでにファイアボールは私に命中していた。


「カヒュッ!?」

「終わりだ」


 ファイアボールで吹き飛ばされた私に、とどめとばかりにソイルニードルが飛んでくる。

 それを気合で握っていた土の剣で弾くが、それで剣を落としてしまった。


 吹き飛ばされた私はちょうど清華ちゃんが倒れこんでるるところで止まる。

 何とか立ち上がろうとするが、うまく力が入らない。


「はぁ、さっきので終わりだと思ったのに案外粘るなお前」

「ケホッ、ま、まだ負けるわけには……」

「悪いけど終わりだよ」


 倒れこんでいる私にシントリエが少しずつ近づいてくる。

 逃げようとしてもうまく動けない

 ついにすぐ近くまで来たシントリエがアクアスピアを生成し、私に突き立てる。


 アクアスピアが私を貫く、そう思った。


「させ......ない……!」

「っ!?お前!」


 私とアクアスピアの間に氷の壁が生み出され、アクアスピアを防いでくれた。

 まさか……!


「清華ちゃん……!」

「今の姿は……ビオラだって……」


 そこにはふらふらと立っている清華ちゃんがいた。


「それ以上しゃべっちゃダメ!」


 清華ちゃんがしゃべるたびにその口から血が吐かれる。

 当り前だ、だって清華ちゃんは肺が貫通しているんだから。


「大丈夫だよ……あさみ......ゲホッ」

「せ、清華ちゃん?」


 清華ちゃんが氷のハンマーを生成し、シントリエへと大きく振り払う。


「ぐっ!?」


 シントリエはバリアで防ごうとしたが、ハンマーに大量のマナが込められていたのだろう、バリアは砕かれ、そのままシントリエは吹き飛ばされる。


「ケホッ、ゲホッ」

「清華ちゃん!!」


 シントリエを吹き飛ばしたハンマーはその後すぐに消滅し、清華ちゃんは血を吐き出す。


「あさみ......私ができるのはここまで……ゲホッ」

「え……」


 な、何その言い方……

 まるでもう二度と会えないみたいな……


 清華ちゃんは吐血するのも気にせず言葉を紡ぎ続ける。


「もう......私のことはいいから……ケホッ……」

「もう、もういいから清華ちゃん!それ以上は!」

「アクアを連れて……あさみは……ゲホッ」

「清華ちゃん!!!」


 私が何度名前を呼んでも清華ちゃんはしゃべるのをやめてくれない。

 そして清華ちゃんはついに......


「生きて……!」

「ぁ……」


 その言葉を最後に再び清華ちゃんは倒れた。

 開かれたままの目に光は入っていない。


「はぁ、火事場の馬鹿力ってやつは案外侮れないな」

「お前!」


 シントリエが清華ちゃんの前に立っていた。


「まぁ、それもこれで終わりだ、お前の頑張りもこれで全部無駄になる」

「なっ!?」


 シントリエがアクアスピアを清華ちゃんに突き立てた。

 …………!!!!!!


「シントリエェェェェェェ!!!」


 私は全身の震えを無理やり抑え込みシントリエへと殴り掛かる。


「はっ、怒ったところで何になる、何も変わらない」

「お前!お前!!!」

「さっきからお前お前うるせぇよ」

「ぐっ!」


 シントリエに何度殴り掛かってもそのたびにバリアで防がれ、殴り返される。


 だが倒れるわけにはいかない。

 清華ちゃんの仇を取るまで倒れられない。


「うぜぇ」

「がふっ!」


 シントリエに殴られ吹き飛ばされる。

 その衝撃で意識が朦朧とする。

 そしてふと、さっきの清華ちゃんの姿がフラッシュバックした。


『生きて……!』


 その言葉が頭の中で何度も繰り返される。


 あぁ、そうだ、私は生きないといけない。


 ふと、清華ちゃんのほうを見る。

 すると突き刺さったアクアスピアと清華ちゃんの服の隙間からなにか蛇のようなものが見えた。

 あれは……アクア......?

 なんであんなところに……いや、そうじゃない……

 アクアがあそこにいるってことはアクアスピアを防いでくれたんじゃないか?


 そんなあまりにも希望的観測すぎる発想が頭によぎる。

 そして再びあの言葉が聞こえた気がした。


 あぁ、そうだ、私は生きないといけない。


「清華ちゃんとアクアも一緒に!!!」


 その時、不思議なことが起こった。


「あ?なんだ?急に空が暗く……!?」


 空に雲が集まり、その雲から雷が私とシントリエの間に落ちてくる。


「な……、お前の体いったいどうなって……」


 私の体にバチバチとイナズマが走る。

 なんとなく私にはわかった。

 この現象は私の固有魔法によるものだと。


「っ、何かやばいぞ、早く片付けないと!」


 シントリエが私に向かって走ってくる。

 それを見た私は手を前にかざし、大量のイナズマを放出する。


「がっ!?」


 シントリエはバリアで防ごうとするが、一瞬で破壊し、シントリエに命中させる。


「この感じ……、まさかあのタイプの魔法か!くそっ、ここはいったん逃げる!」

「っ!待て!」

『待つのはあさみだ!清華をここに置いて行く気か!?』

「!……くっ」


 シントリエをここで倒したい。

 その気持ちを私はぐっと抑える。


「清華ちゃんは生きてるんだよね!?」

『あぁ、最後の一撃は我が何とか防いだ』

「じゃあ早く病院に行かなきゃ!」

『待て!ここからなら魔法少女機関のほうが近い、あそこにも十分な医療機器があるはずだ!』

「なら早く魔法少女機関に行くよ!」

『あぁ!』


 私の出した雷やシントリエもことなど、他のすべての気になることを今は捨て、清華ちゃんのことだけを考えて魔法少女機関へと私は走り出した。

今回の使用魔法紹介


魔法名

ニチアサ

攻撃力A

スピードA

使いやすさA

射程距離A

汎用性A

魔力消費 0

概要

とある分類の魔法の一種

あさみが使う奇跡を起こすことのできる魔法で、諦めない限り永遠に新しい力に覚醒し、負けることはない。

またその効果の一部が仲間にも伝染する。

尚この魔法の効果にあさみが気付くことは永遠にない。


小話

実はあさみがバリアを使ったのは今回が初めて、そのためとっさの判断でバリアを使うことができなかった。


作中最強クラスの固有魔法が出てきたのでポイント乞食します。ポイントください。

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