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┗【アニエスの報告書 その5】

【バジリスクに関する報告】

 物見遊山で魔物を探しに来た者が、石になって発見された。

 場所は隣街の山中。自業自得であるが、ついに恐れていたことが起きたことに緊張が高まる。


【バジリスクに関する報告 その2】

 サンドラに訊くと、あの被害者たちは始まりに過ぎないとのこと。

 実際は四件あり、この街に向かっているようだ。死者は一人、寺院の寄付金を奪おうとした奴であるらしい。この世界の神、イイネ!(賛辞の言葉らしい)


【バジリスクに関する報告 その3】

 誰かが人の食い物を与えたおそれがあり、それを求めて山を下りている。被害の遭った場所は畑が多く、作物を狙っている可能性がある。とのことだ。

 奴は肉食のはずなのだが……何故だ? しかし人の食い物を求めてウロウロするとは、何とも意地汚い。


【バジリスクに関する報告 その4】

 五件目の被害者が出たことで、サンドラは街に厳戒令を出した。

 だが、学び舎の職員などは『祭典がある』と反発する。

 バジリスクが嫌う雄鶏やイタチを、主要な場所に置く措置を執った。

 リミットは三日もないだろう。私にもそれまでに片付けて、別件に取りかかりたいのだが……期間が延長されないものだろうか。


【バジリスクに関する報告 その5】

 奴はどうして作物を狙うのか。山に調査に向かった兄上がそれを突き止めた。

 簡潔に述べると、奴の毒腺が切られている可能性があるとのことだ。毒のブレスで獣を仕留めるのだが、それが出来ないのだ。石は食えぬ、だから奴は作物を狙っている。


【バジリスクに関する報告 その6】

 こんな方法を取るのはパメラ隊しかいない。決定的な証拠を得た兄上は、『一度戻る』とサンドラの下へと向かった。その際、サキコに『忘れる方がいい』と伝言を残したけれど……この所サキコは、深く考え込むような顔をし、時おり腹を撫でているのだ。

 兄上。〈寄生バチ〉ではないのですから、種を残して去って行くようなことは……。


【バジリスクに関する報告 その6】

 サンドラが学校の裏山に、バジリスクのものと思われる這い跡を見つける。

 私もすぐに向かった。


【バジリスクの討伐報告】

 私はルネケラズの兵舎にてこれを綴っている。

 バジリスクはユウゴの畑を狙って学び舎を襲った。その結果は、私が生きていることで察して欲しい。サンドラも無事だ。

 毒のブレスがないとは言え、バジリスクには〈石化の目〉がある。私とサンドラは、真っ向からバジリスクに突っ込み、生き残ったどちらかが奴の目を潰す作戦でいた。今思えば、冷静さを欠いた無謀な策だ。

 どうしてそうなったのか。

 それは、襲撃を受けた折、マサカが石にされてしまっていたからである。逃げられたのに惚れた男の畑を守るため、挑んだようだ。破壊されなかったのは、彼女がイタチの臭いが染みこんだ布を腰に下げていたからだ。

 ユウゴもそこで気付いたのかもしれない。


※実のところ、畑を襲わせるよう我らが仕向けた。

 学び舎には“飼育部”とやらが飼う雄鶏やイタチの檻が各所に置かれている。学び舎という檻に閉じ込めるつもりでいたのだが、まさかの被害者が出てしまった。


 さて、どうやって無事にバジリスクを倒したのかと言うと、それはユウゴが考えた作戦である。


・雄鶏の鳴く声がする“めざまし”を持った、ファントムの憑依人形

・ユウゴの学友が、バジリスクの目を潰す薬剤の開発

・“どろーん”と呼ばれる、浮遊物体でそれを運ぶ

・我々が突っ込む


 簡単に説明するとこんな感じだ。

 頼るべき者を頼り、使うべき者を使い、護るべきもの護る――己の立場を弁え、誰一人とて死者を出さなかったこと彼の機転と行動を讃えたい。


【ユウゴとマサカについて】

 サンドラが隠し持っていた〈媚香〉を部屋に置いて背を押したのだろう。

 これで何もなければ、もうユウゴの玉を蹴り潰すしかない。


【ニホンに残る魔物について】

 あの街に留まらず、国内に魔物が広まりつつあるだろう。増える要因は様々だ。

 サンドラのことなので、これに便乗した商いをするに違いない。

 私も兄上と“ある計画”を進めている。


【この後について】

 此度のパメラ隊らの企てを暴いたことで、私の汚名を晴らすことができた。

 ジェラルド殿より『私は未だ誰も娶っていません』との頼りが届いたのだが、先日、私は『もうしばらく、独身で居てもらえませぬか』と返してしまう。

 約三ヶ月も屋敷で暮らしておいてと言われそうだが、しばらく休暇を取ることにしたのだ。

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