第5話:「耐久値ゼロのデス・リゾート」
▲ 異世界・常夏の南国ビーチ(快晴・まばゆい砂浜)
波の音が心地よく響く、完璧なリゾートエリア。
……なのだが、砂浜の真ん中に、ヤメタロウ(伊間柄 八女太郎)が前世の緊急セキュリティ対策本部のときのような悲壮な顔で、巨大なブルーシートとガムテープを抱えて立っている。
リカちん(ギャル):
「水着回キターー☆ 露出高めでマジ映え〜! ヤメタロウ見て見て、ウチのビキニ超かわいくね?」
ヤメタロウ:
「喜ぶなリカちん! 鏡を見ろ! このエリア一帯の仕様書をハッキングしたら、とんでもないバグが見つかったんだよ!」
ヤメタロウが空中に展開した画面には、赤文字で恐ろしいシステムエラーが明滅している。
【 警告:エリア限定バグを検知 】
【 仕様:当エリア内において、全装備(水着含む)の耐久値ベースが『常にゼロ』に固定されます。1歩動く(アクションを起こす)たびに、1/2の確率で装備が全損(衣服崩壊)します 】
セナ(青髪女騎士):
「耐久値ゼロ……! つまり、1歩でも動けば2分の1の確率で全裸、ということですか!?」
ヤメタロウ:
「そうだ! いわば『情報漏洩(露出)』のデスゲームエリアだ! 前世で言えば、セキュリティパッチが当たってない状態で全社員の個人情報をサーバーに放置してるようなもんだぞ!!」
ノア(白髪聖女):
「そ、そんな……。私は座標固定バグのせいで空中浮遊したまま動けませんが、どうすれば……(すでに不運1/2を引く予感で震えている)」
メル(ピンク髪):
「問題ありません。服が消滅しても、物理(杖)でデバッグします」
ヤメタロウ:
「問題大ありだろ!! コンプライアンスって言葉を知れ! だが安心しろ……前世で何件もの情報漏洩インシデントを未然に防いできたこの俺が、このクソ仕様を完璧に『隔離』してやる!!」
ヤメタロウはガムテープを歯で引きちぎり、全員に向かって叫ぶ。
ヤメタロウ:
「全員、その場から動くな! 今から俺が前世の『情報セキュリティ研修』の意地を見せてやる! リカちん、セナ、メル、そして動けないノア! 全員まとめてこのブルーシートで包み込み、ガムテープで物理的に固定(暗号化)する!!」
▲ 南国ビーチ・ヤシの木の陰(中)
ヤメタロウの神速の手際により、ブルーシートでぐるぐる巻きにされ、まるで「動く青いキャタピラー」のようになったヒロイン4人(+ヤメタロウの影を踏むココ)。
リカちん:
「ちょ、マジ待ってww ウチラ完全にブルーシートの芋虫なんだけど! 映えなさすぎてウケる〜☆」
ヤメタロウ:
「うるさい、これぞ完璧な物理ファイアウォールだ! これなら1歩動いて水着が破れても、外からは1ミリも見えない! コンプライアンスは守られた!」
セナ:
「さすがヤメタロウ様! 鉄壁の防御(プライバシー保護)です!」
ノア:
「でも……なんかガムテープがキツくて……身動きが……あ」
ピシッ、と不穏なシステム音がブルーシートの中から響く。
【 エラー:摩擦による過負荷を検知。1/2の衣服崩壊バグが適用されました 】
【 対象:全員(一斉連鎖エラー) 】
ブルーシートの中で、全員の防具(水着)が一斉に弾け飛ぶ。
リカちん:
「ギャハハ! 芋虫の中で全員全裸キターー☆」
ヤメタロウ:
「バカ野郎! 喜ぶな! 処理が連鎖(クラスター感染)したじゃねえか!!」
その時、砂浜の奥から「シャーーー!」と不気味な声を上げて、凶悪な「ビーチ・クラーケン(触手モンスター)」が触手を激しくのたうち回らせながら、ブルーシートの芋虫目掛けて突進してくる!
セナ:
「ヤメタロウ様、敵です! 私が全裸のまま、ブルーシートを突き破ってガード周回を――」
ヤメタロウ:
「出るなァァァ! 出たら放送事故だろ!! よし、こうなったら前世の『目隠しブラインドタッチ』の技術を応用する! 俺が完全に目を瞑ったまま、お前たちブルーシート芋虫を丸ごと抱えて、ノー目視でクラーケンを叩き潰してやる!!」
メル:
「了解。メルも目を瞑ったまま、物理ダマンテ(杖)の全方位ブラインド・スイングを敢行します」
ヤメタロウ:
「お前は場外乱闘になるから大人しくしてろーーー!!」




