第12話:「結局今からも辞められないヤメタロウ」
▲ 魔王城・最深部・メインサーバー室(中)
「ドゴォォォォォン!」というメルの最大出力『ダマンテ』の大爆発から、徐々に煙が晴れていく。
そこには、跡形もなくデバッグ(消滅)された暴走裏ボスのポリゴン。
そして、確率1/2の連鎖エラーに見事(?)負けて、全員が布切れ一枚のようなインナー姿になって真っ赤になっているセナ、ノア、リカちん、メガネ魔法使い、ダークエルフたちの姿があった。
ヤメタロウ(伊間柄 八女太郎):
「はぁ……はぁ……、やった、のか……?」
キィィィン……と、部屋の中心にある巨大なクリスタルが黄金の光を放つ。
次の瞬間、ヤメタロウのチート画面の文字化けが完全に修復され、最前面に見たこともないほど神々しく輝く「大きな四角いボタン」がポップアップした。
画面【 現代の実家への帰還ボタン(ロック解除完了) 】
ヤメタロウ:
「……ついにキタ。ロックが解除された……! これを押せば、俺の退職届が神のサーバーに受理されて、現代のあの平穏な実家ライフに戻れる……!」
ヤメタロウ、感動のあまり膝をつき、大粒の涙を流す。前世の残業150時間の記憶、異世界での理不尽なバグまみれの労働が、走馬灯のように頭を駆け巡る。
ヤメタロウ:
「……ついにキタ。ロックが解除された……! これを押せば、俺の退職届が神のサーバーに受理されて、現代のあの平穏な実家ライフに戻れる……!」
ココ:
「勇者様……もう、行ってしまうのですか?」(ヤメタロウの影をぎゅっと踏みしめながら、うるうるした瞳で見上げる)
セナ(青髪女騎士):
「ヤメタロウ様! 貴方が現代へ帰還されるというのなら、私はこの半裸のまま、次元の壁を突き破って実家の敷地内を24時間高速周回ガードいたします!」
リカちん(ギャル):
「マジそれ! ウチラ全員でヤメタロウの実家に逆転生チェックインとか、マジ沸くレベル超えて天変地異なんだけど〜☆」
ヤメタロウ:
「来るな狭い実家が物理的に崩壊するわ!! ……だが、お前たち。バグだらけで、話が一切通じなくて、毎日毎日服を破いて……本当に、最高に最悪で、めんどくさい部下(仲間)たちだったよ」
ヤメタロウは立ち上がり、穏やかな笑顔でみんなを振り返る。
ヤメタロウ:
「有能な中間管理職として、お前たちの引き継ぎ業務はすべて完璧に終わらせた。……じゃあなみんな。短い間だったが、お前らの上司になれて、ちょっとだけ楽しかったよ。ぽちっとな――」
その瞬間だった。部屋の隅で、1発撃ってMPがマイナス1万になり、白目を剥いて地面に倒れ込んでいたピンク髪のメルの杖の先から、「プスン……」と小さな黒い煙が上がった。
『ダマンテ』の最大出力による、遅れてきた「バックポア(残留バグの爆風)」のエフェクトだ。
その小さな爆風の火花が、パチパチパチ……と不意味な軌道を描いて、ヤメタロウの目の前の「帰還ボタンのサーバー基盤」へと吸い込まれていく。
ヤメタロウ:
「……え? おいメル、今なんか残留バグのログが流れたんだけど、何した?」
メル:
「メルです。ダマンテの遅延エラー報告(バグ報告)を検知しました」(白目を剥いたまま棒読み)
次の瞬間。ピキ、ピキピキピキ……! とクリスタルにヒビが入り――
パキィィィン!!!!(帰還スイッチ、目の前で物理的に粉々に砕け散る)
ヤメタロウの目の前の画面が【 接続が切断されました(エラーコード:500) 】となり、煙のように消え去った。
静まり返る魔王城。
ヤメタロウ:
「…………………………………………え?」
ココ:
「わぁ! 勇者様、また明日から一緒に旅ができますね!」(うるうるした瞳がパッと輝く)
セナ:
「さすがヤメタロウ様! 世界のシステムを破壊してまで、私たちとの『永久固定』を選ばれるとは、真の勇者です!」
リカちん:
「帰還スイッチが物理的に大破するとか、ヤメタロウの不憫さマジ神がかってて草超えてアマゾン川なんだけど〜☆ 2期決定あざまーす☆」
ヤメタロウ:
「選んでねえよ!!! スイッチが遅れてきたダマンテで物理破壊されただけだろォォォ!!! 壊したの誰だメルお前かァァァ!!!」
メル:
「来期(2期)も、物理(杖)で業務改善がんばります」(親指を立てながら力尽きる)
画面がどんどん引きの絵になり、魔王城のてっぺんから、世界中に響き渡るヤメタロウの魂の叫びがこだまする。
ヤメタロウ:
「結局今からも辞められないじゃねえかァァァァァァァァァーーーーーーー!!!!!(絶望)」
ひとまず(完)
ひとまず(完)です!2期は反応があれば考えたいと思います(*´˘`)(✽-ᴗ-)ウンウン♡




