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第83話 勇者を作ろう2

アースノートさんのレクチャーはその後もしばらく続いた。

汎用性が高いらしく、わたしのイメージ次第でいろいろな効果が出せるそうだ。


「もともとあなた専用の武器で、成長とともに強さを増すものだったのですわ。しばらくいじれなかっのですが、急にロックが外れたみたいで」


顔を上気させ、うっとりと説明をつづけるアースノートさん。


「纏わりつき邪魔をしていた漆黒の魔力が消えたのですわ。とても複雑な術式が組み込まれていて……はあはあはあ、うっとりしましたわ♡」


(あ、いつものアースノートさんだ…)


なんか少しほっとした。


「茜、後これも使ってみてくださる?」


アースノートはいくつかの魔石をちりばめた白銀の細いブレスレットを差し出した。


なんか最近見たことあるやつが出てきた。

この前のはピンクだったけど。


……デジャブが茜を襲う。



「イヤです」

「うんそれはね……えっ?」


茜はにっこり笑う。


「イヤです」


「あの…」

「イヤです」


二人の間に気まずい沈黙が流れる。

みるみるアースノートが涙目になってプルプル震えだした。


「な、泣き落としは通用しないんだからね!この前のこと忘れてないよ!?…ほんとに死ぬほど恥ずかしかったんだからっ!!」



おもむろにぐるぐる眼鏡をはずし、一瞬でクマを消し、髪の毛を整え。

両腕を軽くグーの形にしてあごのところに持ってきて顔を赤く染め。


ウルウルおめめ&上目づかいで茜を見つめてきた。


コミュ障おたくの解析能力は半端ない。

完璧な擬態だ。


(くっ、メチャクチャ可愛い?!なにこれ私女の子だよ?)


でも……

くはっ!?


超絶美少女フェイスでの、おねだり乙女攻撃は茜にかなりのダメージを与えた。


……今わかった。


(アルテミリスさんに変な入れ知恵したのコイツだ!)



「ぐすっ、酷いですわ…今回のは、ヒック、ちゃんと…ぐすっ…」


さらに激しい攻撃が茜を襲う!


遂に茜のヒットポイントはゼロになった。

恐るべしアースノートの精神攻撃。



(………光喜さんが夢中になるわけだ)



※※※※※



「……はああ、わかりました。もう。…でもちゃんと試してから!いきなりは絶対使わないし、この前みたいに恥ずかしいのは絶対にダメだからね!」


確かのこの前のような、おちょくるような感情は伝わってこない。


何より真摯な瞳。

それが真直ぐ私を射抜く。


でも。


「……前のやつみたいに、一度付けたら外れない呪いとかないよね?」


真核にリンクし取り外せない変身のブレスレット。

すでに視認できなくなっていた。


何故か横を向くアースノート。

ジト目で睨む茜。


「……外すから……お願いですわ……」


流石天才十重二十重。

抜け目がない。




茜は脱着自由を勝ち取った。



※※※※※



驚いた。


(まさか…こんなことになるなんて!)


茜は呆然と、目の前の凶悪なアンデッドを見つめる。

悪意を纏った超高レベルの魔物、その死骸が浄化され消えていくところを。


「すごい!…これなら光喜さんの役に立てる!…すごいよ、アースノートさん」


右手に琥珀色の鮮烈な輝きを放つ緑色の魔力を纏う剣を携え。

輝く白を基調とした白銀のアーマーを身に纏う茜から魔力が吹き上がる。


肩から見える白銀の可変式の折り重なった小さな翼。

その後ろを守るように浮いている4本の魔導兵器を従えて――



「封印」


茜がつぶやくと、剣は右の中指のエメラルドの指輪になり、装備一式は左手の手首を覆ういくつかの魔石をちりばめた白銀の細いブレスレットになった。


あり得ないほどの高性能に、茜は思わず武者震いをする。

ついに手にした漆黒を纏う悪意を撃ち滅ぼす切り札。



勇者、茜。


ここに誕生した。

心振るわす歓喜と――


全てを守る決意、そして。


「やっと――光喜さんの役に立てる!」


溢れる喜びは、茜の誇りを満たしていったんだ。



※※※※※



――ギルガンギルの塔――


久しぶりに俺は隠れ家で、皆が対応した幾つかの事案をまとめた書類に目を通していた。


先日から続く、よくわからない悩みにもやもやは消えない。

だが神々の俺への対応も、俺からの態度も、大きくは変わらないまま数日が経過していた。


心配していたダニーとエリスも問題なく回復。

俺は心の底から大きな安堵に包まれたことに、ため息をついていた。


(…少しはましな創造主に…戻れたかな…)


想いにふける俺。

愛おしい声が俺の意識を引き戻す。


「ノアーナ様、少しお休みになられてはいかがですか?紅茶をご用意いたしました」


ニコニコしながら俺の腕にたおやかな腕を絡ませるネル。


彼女も何かあったらしいが。

俺に告げることなく、相変わらず可愛いままでいてくれていた。


「ああ、ありがとうネル。いただこうかな」


立ち上がり自然にキスをする。

ネルの顔が赤く染まる。


その表情に触発され、俺は思わず強く抱きしめた。


刹那。

空間が引き裂かれ、激しい激情の波動を伴った漆黒の魔力を噴き上げながらジト目の茜が現れた。


「っ!!!??」


固まる二人。

そして呆れと怒りの感情を込めた声で報告する茜。


「お楽しみのところ失礼しますノアーナ様。まだ明るい時間ですが目が悪いのかな?本日新装備の実戦訓練を行ったので報告に来ました。良いですよね?いいよね?良いんですよね?」


「あ、ああ…その…おつかれさま?……ああっと…」



ネルはまっすぐに茜を見つめていた。



※※※※※



大きくため息をつく茜。

魔力を揺蕩らせ、キーワードを口にする。


「封印解除」


茜を琥珀を纏う鮮烈な緑が包む。

神話級の装備に身を包む茜が立っていた。


俺の背中に冷や汗が流れる。


(っ!?…俺を殺せる装備だ…)


おれは魔神眼を発動させた。


◆◆


【茜】

【種族】亜神

【性別】女性

【年齢】20歳/制限撤廃

【職業】勇者

【保有色】(琥珀・緑)・(漆黒・白銀)・(※※※※※)

【存在値】61,559/500,000(装備効果+20,000)

【経験値】6,155,930/6,156,000


【特殊スキル】

『※※※※※※※※』『※※※※※※』『変身』『神器装着』


【固有スキル】

『※※※※』『究極浄化』

『聖魔法8/10』『愛の衝撃』


【保持スキル】

『物理耐性10/10』『魔法耐性10/10』

『精神耐性10/10』『基礎魔法10/10』

『格闘術10/10』『物理魔力回復』

『念話10/10』『ストレージ10/10』


【称号】

魔を払うもの・※※※※※※※


◆◆


「なっ…その力は…」


思わずつばを飲み込む。

俺の背に冷たいものが流れ落ちる。


茜は頭を数度降り、まっすぐ俺を見つめた。


とても魅力的な顔で。



「ノアーナ様の力になれる資格を得ました。これからもずっとお守りいたします」



その様子を見ていたネル。

不安そうにしていることに俺は気づかなかった。


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