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第120話 純粋過ぎる赤子のようなもう一人の俺

かつて極帝の魔王ノアーナは、世界を創造するために恐ろしいほどの試行錯誤を繰り返していた。


何度失敗したか判らない。


だが最終的に太陽を創造。

いくつかの惑星を作り、いわゆる地球のような惑星を作り上げた。


そう『ファルスーノルン星』だ。


そして彼は考えた。


「昼を太陽が照らすなら、夜は当然月だよな」


――月も創造していた。


残念ながら、もとはただの中学2年生。

当然天才でも何でもないし、むしろ勉強は苦手だ。


そんな彼が大した知識もなく。

莫大なトライアンドエラーの末に奇跡的にたどり着く。


衛星のように安定した軌道で回り続ける――月の創造に成功していた。



いらん事を、多くのロマンとして実装をつづけた彼。

当然月にも仕掛けを行っていた。



かつてムクと話しているときの禁忌地の1つ。

『俺しか知らないし行けない』と話した、月宮大宮殿。


無駄にでかい、『建物しかないもの』を作っていた。


禁忌地とした理由は『何となくロマンだし格好いいな』という下らない理由だった。

そしてシステムの方に時間を取られ、放置の結果――


彼は完全に忘れていた。


しかしそうはいっても万が一これが原因でファルスーノルン星が滅びたとなってはたまらないと、以前の彼はいくつかの仕掛けを施してあった。


その一つが時間軸の湾曲。

つまりファルスーノルン星よりも早い時間が流れる仕掛けだった。


どうしてそんなことができたのかは当時のノアーナでもわからない。

様々な概念をこねくり回した結果そうなってしまっていた。


そしてもう一つ。


自分と同じ色の魔力しか入れないと数十万年前に組み込んでいた。

つまり琥珀に緑が混ざった今のノアーナは入ることすらできなくなっていた。


そんな中起こった欠片事件。


奇跡的な配合でたまたま仕掛けを作ったときと同じ濃度になった漆黒の一つの欠片がここにたどり着いていた。


時間の進み方はおよそ30倍。

つまりファルスーノルン星での1日が、この月での30日。


どういうわけか結界のようなものが遮り、力すら届かない場所で。

欠片はあまりにも遅い速度でその力を蓄えていた。


星の力や違う次元の力すら届かず。

無人の月には悪意すらない状況。


生み出された元は悪意ではあるが、まだわだかまりをあまり抱えていなかった頃のノアーナの心を宿した、あまりにも純粋な力が生まれていた。


欠片事件から4年と8か月。

ここではすでに146年の月日が流れた。


当然悪意の影は、ここの存在に気が付いていた。

そして何度もアプローチを続けていたが、


もともと悪意が薄く、反応しない。


そして遂に。

――目覚めの時を迎えた。


しかし、目覚めた欠片はあまりに純粋過ぎた。


殆ど赤子と変わらない程に彼の心は真っ白だった。

そして自然の流れで求めるのは母の愛。


温かい親愛の心だった。


彼は求めるも。

ここには存在しないことにただ涙を流し、そしてまた眠りについた。


だが。

この欠片はいずれノアーナを見つける。


そしてそれが大きく運命を変えることに。

今は誰も気付いていなかった。



※※※※※



くそっ、だめだ。

起きたくせに……


ただ泣くだけだ。


俺の力も届かない。

中に入ることすらできない…


まあいい。

もうすぐ戦争が始まる……


くくっ、今度はどんな顔をして


どんなうまい感情を吐き出すんだろうなあ?

ああ、楽しみだ


…………


だが、

なんだこの満たされない感じは……


くそっ、嫌いなはずなのに………

俺は俺の本体がとても気になっていた。


分からない。


ただ…………


俺は俺のやりたいようにしかできないから。


……


もうすぐ悪意の種が生み出される。


俺たちの色を使わない、

違う次元の悪意だ………


ハハハ、知らない悪意に飲まれろ


飲まれろ


飲まれろ


……



絶望を――俺に見せろ…


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