第103話 影のアウトサイダー
――俺はいつの間にか存在していた。
どうやら俺には実体がないらしい。
黒っぽい靄のようだ。
存在値は1しかない。
まあゴミだ。
だが思考は働く。
何かのスキルがあるのだろう。
取り敢えず確認してみた。
◆◆
【悪意の陰】
【種族】特殊レイス
【性別】男性
【年齢】概念なし
【職業】思考するもの・間諜・伝達者
【保有色】(漆黒)
【存在値】1/1
【経験値】概念なし
【特殊スキル】
『隠蔽・極』『伝達・極』『同族感応』
【固有スキル】
『魔法5/10』『悪意貯蔵放出』
『運命操作・弱』
【状態】
憎悪
◆◆
確認した。
気が付いたら狂いそうになるほど濃厚な憎悪に包まれていた。
そしていくつもの声が俺に届くようになった。
最初は変な一団に、呪いを作る方法を教えてやった。
無垢な子供を犠牲にする呪い、そしてばら撒くオーブ。
――ククク、最高じゃないか!
――暗い感情がたくさん集まる。
(――ああ、満たされる……)
「……!?…違う星の悪意だ…」
知らない悪意が集まってくる。
俺はますます憎しみ囚われていく。
(もっと欲しい………もっと、もっと――もっと、もっともっと…)
そうだ――沢山死ねばいい。
戦争なんかいいだろ?
欲深い奴の背中を押してやった。
ハハハ、もうすぐ動き出す。
(っ!………仲間だ……)
俺は飛んだ。
どこかの祭壇に、たくさんの俺がいた。
寝ているようだ。
俺はスキルを使って『空腹』を伝達してやった。
多分すぐに起きるだろう。
ああ、楽しい。
………大きな反応がある。
でもこいつは――嫌だ。
明るい感情に包まれている。
でも………コイツの暗い感情は俺を満たしてくれそうだ。
どんな嫌がらせをしてやろうか?
考えただけで楽しくなる。
しばらくしたら祭壇のやつがとても小さくなっていた。
誰かに封印されているらしい。
(…これで封印したつもりか?)
ククク、まあいい。
俺が細工をしてやろう。
これがだめでも……
まだあそこにいるから………
(くくっ、楽しい……俺の中の憎悪が、どんどん膨らんでいく――ああっ!)
――そうだ。
仕掛けをしてやろう。
ハハハッ、きっと面白い事が起こるぞ。
スキルの運命操作を付与してやろう。
悲しみ、絶望したエルフに――
(あああ、楽しみだ)
っ!………違い世界のやつが何かしている………
ああ、邪魔するアイツを消したいのか……
はは、まだだよ。
慌てるな………
俺は今溜まっている悪意を送ってやった。
そして送られてくる違う世界の濃密な悪意………
くくく。
ハハハハハ。
ああ、楽しい……
まだまだまだまだまだまだまだ……………
(――全然足りないなあああ!!!)
※※※※※
そしてそれは消えていった
誰も見つけることはできない。
余りにも存在値が小さすぎる。
コイツは絶対表には――出ないのだから。




