第13章外伝 ラーズ家の過去
ギネヴィア・ラーズ
彼女の過去に迫る。
ギネヴィア・ラーズは、没落貴族ラーズ家の四姉妹の末っ子として生まれたのである。
彼女の過去は、こんなことがあったのだ。
「お父ちゃん、嫌だよ」
彼女が5才の頃、父親を病で亡くしてしまったのであった。しかし、ラーズ家に起きた悲劇は、この出来事が初めてではなかったのだ。
ギネヴィアが生まれて間もない頃、母親を事故で亡くしてしまうという事があったのだ。
この事故は、ラーズ家全員が列車に乗っていいたころであった。列車にトラブルが起きてしまい、ブレーキが効かず脱線してしまった事故だった。
彼女の長姉メイベルは、事故の直後自力で脱出することが出来て、助けを求めた。
メイベルが、「誰か助けて。列車の脱線事故が起こったの」と、いったのである。
列車に乗った客42人が死亡した事故、ラーズ家の中で唯一犠牲になった母親。
最初に救助されたのは、ギネヴィアの双子の姉たちである。
その後、父親が救助され、最後に救助されたのは、ギネヴィアである。
彼女は、救助されたときには息をしていなかった。
人々は必死で、ギネヴィアを蘇生しようとして、あれこれ、やってみたが、うまく行かず、絶望の淵に立たされていた。
助かる命を失ってしまうと、諦めかけたその時、ギネヴィアが息を吹き返したのであった。
奇跡的に助かった彼女は、ラーズ家の希望として、称賛された。
それから5年後のこと、父親が突如倒れた。
「私、決めた。聖騎士団に入る」と、メイベルが言うと、ギネヴィアが、「お姉ちゃんどうして?」と、心配そうに言った。
「これも、ラーズ家の一族のためよ。止めないで欲しい」と、メイベルは、下の妹3人に言った。
「私は、どうすればいいの?」と、双子の姉エリンシアが言うと。
「あなた達双子でしょ。ギネヴィアは、幼いから、2人でギネヴィアの面倒を見るのよ」と、言ったのであった。
「エリン姉は、あたしと一緒じゃなきゃだめなの」と双子の妹ジュリエットが、言った。
「そうね。私たち双子だから、やるしかないのよ」
ラーズ家四姉妹は、父親の兄であるフィリップ・ラーズの所で居候することになった。
「フィリップ伯父さん」
「どうしたのだ? 儂の姪っ子達」
「うちらの親戚で、頼れるのは伯父さんだけなの」
「そうかね? えーと、1,2,3ってあれ? 1人足りないが」
「メイ姉さんは、しばらく、伯父さんの所に帰ってこないの」
「そうか、聖騎士団に入ると言われてたようだ」
ラーズ家の長女メイベルは、幼いギネヴィアと双子の姉妹を、本家の元で預け、フィリップ・ラーズは、ラーズ姉妹を実の子同様に育てるのであった。
彼女の姉達は、後にケント達と、出会うことになる。




