第87章 百鬼夜行祭
ケント達は、ガロンを倒した。
和の異国でお祭りが行われる。
百鬼夜行祭の3日前、ソウマの弟キョウ葬式が行われた。喪主は兄であるソウマ。
ケント達は、礼服を身に纏い、参列した。
和尚は、「それでは、吉浜キョウの通夜を行います」と、言いました。
キョウの遺体が棺に入れられた。
「キョウ、俺を庇うように死んでしまうとは」と、ソウマは涙目でキョウに寄り添った。
ケントは言う。「ソウマ、お前の弟だけじゃない。これまでに死んだ人たちの悲しみを乗り越えてこそ、生きてる証が今ここにあるんだてことを」
和尚がお経を読むと、ケント達は、葬式の礼儀正しく行った。
次の日、和尚が、「それでは、吉浜キョウの葬儀告別式を行います」と、言う。
「キョウ。俺を置いてこの世を去るなんて、悲しくて辛いよ」と、ソウマは悲哀の表情で、キョウに寄り添った。
キョウの遺体は火葬され、魂は天に召され、遺骨は吉浜家の墓に入れられた。
葬式を終えた夜、ソウマは弟を失ったことを理由に眠れずにいた。
『兄様』と、何者かがソウマに声をかける。
「キョウ? 本当にキョウなのか?」
『そうだよ。僕だよ』
「キョウ、お前を失って、寂しくなった。俺は天涯孤独になってしまったよ」
『違うよ。兄様は寂しくなんかないんだ。僕は死んでも兄様の傍に居るから。あと、もうそろそろ僕は、爺ちゃんの所に行かなきゃならない』
ソウマは、弟キョウの幻覚を見た。
百鬼夜行祭を明日に控え、街の人達は、準備していた。
ソウマの家では、葬式の後片付けを終えたところだった。
「ソウマ、どうしたんだ? その顔」
「ケント、俺は弟を失って以来、何もかも誰一人話し合えなくて」
「そうか。お前にとってお前の弟は大事な家族の一員だったんだな。だが、慰められてこそ、悲しみは乗り越えることが出来る」
「お兄ちゃんの言う通り。これ以上、ソウマ君の大切なものを失わせはしない」
「ありがとう」
フレイザー兄妹は、ソウマの弟キョウの死を教訓に、聖騎士としての使命を遂行しなければならない。
ケント達が街を歩くと、「おぉ、結構いいところだな」「お祭りか。学校にいたとき以来だな」「楽しみね」と、お祭りが今にも行われようとしている所をみる。
「ケント、お祭りは今夜始まるけど」
「今夜は盛り上がりそうだ」
百鬼夜行祭りは、元々人との共存と厄払いの祭りであったが、「死神」の魔王ガロンによって、禁じられてしまい、人々は妖怪を信じなくなった。
ケント達によって、ガロンは倒されたことによりお祭りは復活した。
街には妖怪たちが現れ、賑わいを見せた。
縁日屋台では、街の人が歓喜に騒ぐ。
「妖怪幕府が倒された。恐怖支配から自由になった」と言う祭り節が作られた。
フレイザー兄妹は和の異国の文化を知らないが、祭りには参加した。
百鬼夜行祭を楽しんだケント達は、次の旅へ向かうのであった。