49、いつかとはいつか
「あうう……」
まとまらない意見。
定まらない方針。
その渦中に存在するニャメスから何とも言えない声が漏れ出る。
「大丈夫大丈夫っ」
それにジーナが何も心配はいらないとニャメスの背中を再びさする。
だがそこからは本当に何も心配していないような不可思議な違和感が感じられた。
「ジーナ」
そこで平行線を辿る話をあえて脱線させてみることにする。
「何か当てでもあるのかい?」
本来ならばこの状況で落ち着いていられること自体、異常と言えなくも無いわけだが、それを可能としているのは経験からか、そうではない別の何かがあるからなのか。
ましてやジーナのことだ。
単に事態を楽観視しているというわけではないであろう。
考えるまでも無く、打開策に近い何かを手中に収めているであろうことは想像に難くない。
「んーっ……えっと、リンは何でそう思ったのかなっ?」
「いつもと違う気がする。余裕があるのはそうだけど、裏付けされたものに見えるよ」
「あー……そっか。ごめんっ。ぼくは別にそういうつもりじゃなかったんだけど……」
「言いにくい?」
「んーんっ。ただなんていうかさっ。恥ずかしい、かなっ」
「そっか」
「あっ、でもでもっ、別に言葉にするのがイヤってわけじゃないんだよっ?」
「うん」
「そのっ……さっ」
「うん」
「ぼく結構リンのこと理解してるつもりだよっ?」
「ありがとう」
「ふふっ、そういうところだよねっ」
「ん?」
「リンは何でも受け入れちゃうし、相手を否定しないってこともないけど、あからさまに肯定もしないよねっ?」
「それは、どうだろう」
思い返してもそれを判断するのは自分では無いような気がして、そういうのならそうなのかもしれないなと勝手に納得する。
いや、そう思わせているのか、そう思われているのか。
どちらにせよ自身の印象というのはそういうものなのだろうか。
自分にはどうにも分からない。
「ほらっ、今だってそうでしょ?」
「そういわれればそうかも、うん」
「ほらねっ?」
ジーナは笑う。
何かに浸るように。
「そんなことは今はどうでもいいでしょ。それよりも今重要なのはこれから私たちがどうするか、でしょ?」
流石に長々とし過ぎたせいか、今する話ではないと正論をその手にサラスが割って入る。
「サラスっ、それは違うよ。今、だからこそしてるんだよっ?」
「アンタ……それって……」
サラスの脳裏に過ぎる予感。
それをこちらも同時に感じ取る。
「ジーナ、どうしてそうなる、いや、そうすると思う?」
「だって、もう手遅れだよ。たぶん、最初からそういうつもりなんじゃなかったのかなっ?」
ジーナの笑顔は崩れない。
しかし、その奥に感じる不穏な空気。
「ジーナ」
「……どういうことですか?」
「マリア」
「そういうことよ」
「サラス」
「もう助からないよ、ぼくたち……」
ジーナの言葉に合わせる様にして、その答えが出る。
「あい……」
ニャメスが一声。
申し訳なさそうに鳴く。
そして、何事も成せぬままに、再び世界はその扉を閉じた。




