俺が行く
ダルグ、カウル、ガイアの3人が同時にため息をつく。
「アンタ、本当に大丈夫なんだろうね?」
心配よりも呆れが勝ってるよ、と言わんばかりのカウルの声。
「大丈夫。このリーダーの、俺が行く」
「あっそ。もういい、好きにしな」
もはやカウルに止める意思は残っていなかった。
「本当に、気をつけろってヤツだぜ」
ガイアには心配が残っているようだった。
──村長も言っていたが、あくまで偵察だ。この棍棒があのマンモスにどれだけ効くのか、それを確かめるため。
しかし、これは他言してはならない。村長にもだ。もしそうしたら俺はあの時のおぞましい目に何されるか分からない。──
ダルグは怪しまれないようにする為、
「俺は思いついたんだ。火もダメ、毒もダメ。そうなると次は?そう、水だ!水に溺れさせればもしかしたら……」
と、適当に作戦を言った。
「はいはい、そうですか。ハア、これがうちのリーダーとはね……」
カウルはこっちを見ていない。ガイアはあからさまに怪訝な反応をする。
「な!?これ、結構良くない!?」
ダルグはショックを受けたフリをする
「まあまあ、やってみなきゃ分からないもんじゃからの。行ってきなさい、行ってきなさい」
バヌトゥは笑顔で言う。
ダルグは深呼吸をする。これから、1人で旅に出るのだ。
今まではガイアだったりごくごく稀にゴルドーだったりと一緒だが、1人は何気に初めてだ。
そしてダルグは集会所を飛び出していった。振り返りはしない。リーダーだっぽく堂々としなければ。
やがて、ダルグはラングが潜む山の鞍部に着いた。そこにはラング以外にもマンモスがたくさんいる。
その中の内、一体のマンモスがこちらに向かって走ってきた。周りのマンモスがぶつかり転ぶが、そんなことは気にしていない。
ダルグはうおっ、と言いながら避けた。そして突撃してきたマンモスを見ると、そこにはダルグの身長の4倍程の大きな肉の壁があった。
ラング•ナーズだ。
「待て待て待て、いきなりかよ!?」
ダルグは棍棒で上がった身体能力でふわりと跳び、ラングから距離を取った。周りのマンモスも距離を取り始める。
ラングはさっき転ばせたマンモスを踏みにじり、周りの木を倒しながらこっちにゆっくり向かい、威嚇する。
「クッ、一発はこの棍棒を喰らわせてやりたいな。ええい、もうやっちまえ!」
ダルグはラングに特攻していく。するとその時、ラングは目の前から姿を消した。
「なっ、消えた!?」
その刹那、いきなり背中に大木が当たった。思わず一瞬後ろを振り返る。それはラングの鼻だった。
「グホァッ!」
地面に思い切り体を叩きつけられた。まるで全身をアリが這いずり回るような感覚の痛みが直にくる。
──なんだこれは?アイツ、あの一瞬で俺の後ろに回り込んだのか?ありえない、強すぎる。カウルとガイアはアレを生き残ったのか?──
ダルグは痛みのあまり棍棒を手放してしまう。
手を伸ばした。だが届かなかった。いや、そもそも手を伸ばしたのかも怪しい。
右腕から、脇腹から、頬から、膝から、冷気が襲ってきた。冷気から赤い……もの……
意識も朦朧とし、考えることすらもままならない。
この冷たさ、だんだんと体が死にゆく冷たさだ。
ああ、死ぬのか。俺はこのまま倒れてるだけなんだ。
ダルグは死の迎えを感じながら、意識を失った。
そりゃそうなる




