勝利の味
『勝者、シロ!!』
『スゲェェェェェェ!!』
『見た目は白兎なのに、やるじゃねぇか!!』
『↑何様w』
『木の枝で核を貫かれるという死に方よ……』
『スライムぅ……』
スライムとの戦いの後、そうコメントする視聴者達。
……何とか勝てたとはいえ、体力を半分持っていかれるとは思わなかったな。
〈個体名シロはレベル2に上がりました〉
「お!!レベルアップか!!」
レベルアップしたってことは……強くなった、のか?
そう思いながら、ステータスを確認してみると
個体名:シロ
種族:白兎
レベル:2
体力:14/14(+4)
魔力:12/12(+2)
攻撃力:3(+2)
器用さ:2(+1)
持久力:5(+4)
瞬発力:6(+2)
知力:2(+1)
スキル:【二足歩行】【ノックバックⅠ】
それぞれの欄に、ステータスポイントが振り分けられていた。
「本当に強くなってる……」
持久力が上がったのは、助かるな。
「あ、ドロップアイテムのことを忘れてたわ」
そう言った後、その場にあったドロップアイテムを回収する俺。
アイテム名:【スライムゼリー】
レアリティ:★☆☆☆☆
概要:スライムを倒した時に落とすアイテム。スライムと同じようにプルプルしている
『相変わらず、スライムゼリーのレアリティ低いな〜』
『ぶっちゃけ言うと、白兎のドロップアイテムの方が高く売れるんだよな』
白兎のドロップアイテムが高く売れるってことは……
「俺を狙う輩も出てくるってことか!?」
『白兎の見た目をしてたら、狩る奴は出てくるだろうな』
「うわぁぁぁぁぁ!?それだけは嫌だぁぁぁぁぁ!!」
視聴者のコメントを見た後、そう叫ぶ俺。
そして、改めて自分の立ち位置がいかにヤバいのかを、理解するのだった。
「何としても、毛皮オチだけは避けねば…」
『毛皮オチw』
『本当に実現しそうで草』
「ぐぬぬぬ…」
レベル2になったとは言え、まだまだ弱いことは事実。
ゲームオーバーにならないためにも、レベル上げをしないとな。
「にしても………戦ったからなのか、腹が減ったな」
ゲームの世界でも、空腹感はあるんだよな。
しかも、草の苦味を感じる程度の味覚もあるし……一体、どうなっているんだ?
「…食べてみるか」
スライムゼリー自体は、食用であるかどうかは明言されていたなかったから、今まで食べなかったけど……生き残るためなら、話は別だ。
そう思った後、スライムゼリーを口に入れる俺。
そして、口の中に広がったのは……爽やかなラムネの味だった。
「美味っ!?」
正直言って、そこら辺の草よりかは美味い!!
というか、マジで美味しい!!
『スライムゼリーって、そんなに美味いのか?』
「あぁ!!めちゃくちゃ美味い!!こんなに美味いゼリーは初めて食べたかもしれない!!」
『マジか!!』
『【速報】スライムゼリー、食べられることが発覚する』
『というか、ドロップアイテムを食べる勇気がある主が凄いわ』
「そう……なのか?」
視聴者のコメントに対し、そう呟いていると
〈個体名シロはスキル【スライムボディ】を獲得しました〉
「へ?」
俺は、どういうわけかスキルを獲得するのだった。
『またスキルゲットしてるぅ!?』
『今度はどんなスキルだ?』
スキル:【スライムボディ】
能力:ダメージを20%カットする
獲得条件:スライムゼリーを食べること
「防御系のスキル……だと!?」
スライムゼリーを食べただけなのに、スキルを獲得するとは……【Re:Fantasy】のシステムは凄いな〜。
と思っていたら
『今度はダメージカット系のスキルかよ!?』
『初配信で見たことのないスキルを獲得するシロさん凄いな』
『そもそも、【スライムボディ】なんてスキルはあったのか?』
『掲示板とかでは、真偽不明の噂として扱われていたからな』
言われてみれば……前世の頃にプレイしてた時には、【スライムボディ】なんてスキルは、聞いたこともなければ、見たこともなかったんだよな。
「とにかく……スライムとの戦いに勝てて良かったな」
スライムとの戦いを振り返りながら、そう呟く俺。
そして、画面の方を向くと
「とまぁ、そういうわけで………今日の配信はここまで!!ありがとな!!」
そう言った後、俺は配信を終了するのだった。