第四話「設計図」
こんばんわ、今回は第四話となります!前回に続いてストーリーが大きく動く回なので読んでみてください!
2026年9月4日午後4時15分、俺は未来の妻である卯月と共に神奈川県藤沢市へと向かう電車に乗っていた。卯月の話ではそこにタイムマシンの研究所があるという。
「あと40分くらいで着くわね」
川崎市に入ったあたりで卯月が口を開いた。
「それじゃあ今からあっちに着いたあとの計画を説明するわね。研究所があるとされる住所に到着してまずすべきことはこの時代でどれだけタイムマシンの研究が進んでいたのかの確認よ、もしだんな様が殺されたのがタイムマシン関連である場合、こちらの存在には気付かれたくないからできるだけ隠密にね。」
「それって不法侵入とかになるんじゃ...」
「ちょっとくらい平気よ、自分の命がかかってるんだから法の一つや二つ破ったってバチは当たらないわ。それに私も、研究所のことを何も知らずに来たわけじゃないから」
まぁアニメや漫画のように派手に破壊したり戦闘したりするわけではないし大丈夫だとは思うが一応心配なのだ。
「でも何かあって逮捕されて退学みたいになったら君と出会って結婚するって未来も変わっちゃうんじゃない?」
「そう簡単に未来は変わらないわよ、それこそ今の私みたいに根本的な原因を潰そうとしない限りね。だから安心してやらかしていいわよ。」
いや、最大限やらかさないように努力するが...そもそも安心してやらかすってなんだ?意味がわからん。
「俺は高校生活の大半を気配を消すことに特化させてきたんだ、やらかさないこと、波風立て無いことには自信がある。」
「入学初日にやらかしたのはどこの誰だったかしら?」
...さて、ラノベの続きでも読むことにするか。現実とは逃避するためにある。
全400ページも終盤に差し掛かったところ藤沢駅到着の車内アナウンスが流れ始めた。
「思ってたより栄えてるね、もっと緑豊かな感じだと思ってた」
「この辺りは駅も大きいし観光地に近いから人も案外多いのよ」
ますますこの辺にタイムマシンの研究所があるのか怪しくなってきた、そもそもタイムマシンなんてのはどっかの国の闇の組織が管理してるもんなんじゃないのか。
「着いたわ、ここよ」
駅から二十分ほど住宅街を歩いてようやく目的地に着いた。
「え、ここ?」
俺がそう思ったのも無理はない、なぜならそこは普通の民家で研究所にも見えなければタイムマシンと関連しているとはとても思えないからだ。なんなら2階のベランダに洗濯物まで干してある、これがカモフラージュなのか?
「さ、早速入りましょ。早くしないと今日中に帰れなくなっちゃう」
卯月は鍵のかかっていないドアを勝手に開けると靴も脱がずに中に入り始めた。とんでもない度胸の持ち主だ。いくら未来から来て色々知っているとはいえ少しは躊躇するものだろう、卯月にはそれが一切ない。それを見習い俺も中に入る。
「普通の家だな。なぁ、ほんとにここが研究所なの?」
「さっきから言ってるでしょ、ここで間違いないわ。こっちよ、早く来て」
卯月はそう言うと和室らしき部屋に向かっていき、ふすまを開けた。冷たい風がふすまの奥から部屋へ流れ込んでくる。この先になにか空間がある。俺と卯月は四つん這いになり押し入れの一段目をくぐった。
「まさか、ここが研究所?マジであったんだ」
押し入れをくぐり抜けた先はいかにも研究所らしい機材と書類が積まれた部屋があった。
「だからさっきから言ってたじゃない、そんなことよりだんな様はタイムマシンぽい図の書かれた書類とかそれっぽい機材を探してきて」
なんともだんなの扱いが雑である。まぁ美少女に雑に扱われるのは嫌いじゃないが、今の俺にはなんの知識も計画もないのだ、もう少し優しくしてほしいというのが本音である。
「そんなこと言ったってなぁ、この書類、聞き慣れない単語ばっかでなんも理解できないし」
「じゃあだんな様はこっちの設計図みたいなやつの中からそれっぽいのを探して、見つけたら私に報告してくれたらいいから」
そういうと卯月は大きな機械の前に行ってなにやらメモを取り始めた。一応自分の命がかかっているわけだし、それっぽいものを見つけるくらいなら俺にもできる、たまには頑張ってみるか。
三十分ほど経っただろうか、こっちは未だに収穫はゼロ、タイムマシンというより便利アイテムの発明みたいなものばかりだ。卯月の方もめぼしいものは何も無いらしい。
「お腹へったな、」
そういえば世間はもう夕飯の時間だ、調査はまだ続きそうだしなにか腹に入れて置いたほうが良さそうだ。確かバッグはそのへんに...
「あ、やべ」
食べ物のことしか頭になくてぼーっとしていて床の書類につまずいてしまった。未整理の書類が床に散らばる。また便利アイテムの設計図だろう
「何やってるのよだんな様、隠密行動って言ったでしょ。」
「ごめんって、いま片付けるから。...ってあれ?ねぇ、ちょっとこれ見て」
「なに?便利アイテムの設計図なら後回しに...」
瞬間、卯月のメモをとる手が止まり硬直した、その顔には疑問の念がありありと見て取れる。
「これって、タイムマシンの設計図?」
俺が書類の山の中から見つけ出したそれは、卯月が未来から乗ってきたタイムマシンにあまりに似ていた。難しい数式などはわからないが、各部品の形や全体の雰囲気が他の設計図とは明らかに違う。
「そんなはず無いわ!だってタイムマシンを完成させたのは私とだんな様で、義父様はその仕組を発見しただけだもの...」
卯月は自分に言い聞かせるように言葉を続ける。
俺が彼女を落ち着かせようと近づいたその時、ガチャン...というドアが閉まる音がした。誰かがこの家に入ってきたのだ。おそらくは父か父の仲間が、
「誰か来た!早くここから出よう。」
だがその呼びかけに卯月は応じない、完全に設計図しか見えていないのだ。
俺は卯月の肩を掴み視線を設計図から引き剥がした。ドアが閉まった音に続いて何者かが廊下を歩く音が近づいてくる。
「設計図は置いていくんだ、とにかく未来を大きく変えずに逃げることを優先しよう」
「ごめんなさい、混乱してたわ。だんな様の言うとおりね、今は逃げましょう」
急いで窓の鍵を開ける、潮の匂いと共に生ぬるい風が入り込んでくる。背後ではすぐ近くに足音が迫ってきている。
俺達は振り返ることなく外へ出て敷地の外に出て走り始めた。
「はぁ..はぁ、逃げ切った。見られてはないよな?」
「はぁ、...な、なんとか..姿は見られてないはずよ...」
なんとか研究所から脱出して帰路に着く、
「さっきはありがとだんな様、あと少し遅れていたら姿を見られて通報されてたかもしれないわ。あの程度なら誰かが鍵を閉め忘れた程度で済むでしょ。それより気になるのは...」
「あのタイムマシンの設計図?」
「そう、この時代じゃせいぜい時間軸に干渉できる方法を見つけた程度なのよ。それが人を乗せて自由に時間軸を移動できるタイムマシン、ましてやその設計図なんて存在しないはずなの。」
「でも実際に設計図はあったんだ、もしかしたら何かしらの理由で未来の俺達まで届かなかったんじゃないか?」
「何かしらの理由って?」
「ほら、よくあるだろ?タイムマシンは禁じられた研究でそれに気づいた闇の組織が研究所を潰すみたいなやつ」
正直よくあるかどうかはわからないがタイムマシンが登場する作品では定番なんじゃないだろうか。
「闇の組織云々はほっといて、何かしらのトラブルがあったのはまず間違いなさそうね...。まぁ、まだこっちに来て二日目だしとりあえず今日のところは帰りましょうか。」
「それがいい、とにかく今日はゆっくり寝たい」
卯月が現れてから二日目の夜。俺達は帰りの電車の切符を買い、駅の三番ホームへと歩きだした...。
ここまで読んでいただいてありがとうございます!もしこの作品を楽しめたよって方はぜひ評価とブックマークよろしくお願いします!次回更新は土日を挟んで3~4日後になります。楽しみにお待ちください。




