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King & Queen   作者: 悠鬼由宇
第5章
138/550

梅雨曇 その1


 箱根から戻って最初の出勤日だ。昨日の日曜日から本格的な梅雨入りらしい。しとしと雨が街を湿らせ、我が家もじめっとした感じだ。


 空を見上げると一昨日とはうってかわって重苦しい灰色の空である。折り畳みではなく、去年の父の日に葵から貰った紳士用の黒い傘をさして家を出る。


 殆どの人が、特にサラリーマンは、梅雨が嫌いであろう。蒸し暑さの中駅にたどり着く頃には、シャツはベッタリねっとりだ。満員電車に乗ると他人のそれを否が応でも感じてしまう。たまに体臭のキツい人の横に立つだけで、その日一日を呪いたくなる。まあ俺は重役出勤のため、そこまでの思いはしていないのだが。


 俺も普通に梅雨の季節が好きではないが、今日はジメジメした空気もワイシャツが背中に張り付くねっとり感も殆ど気にならない。更に言えば、今隣に立っている筋肉質の男の発する加齢臭プラスワキガ臭も全くどうでもいい。


 梅雨入りの月曜の朝から一人ハイテンションなのである。



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