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King & Queen   作者: 悠鬼由宇
第4章
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はじまり その12


「じゃ。また来いよ」


「ああ」


「明日もやってっぞ」


「四日連チャンになるのか? 遠慮しとくわ。って、へ? この店定休日、何曜だよ?」


 クイーンは俺の顎の真下で、近いって…


「ん? 休みは盆暮れ正月だけだな、そー言えば」


 …そんなに? ブラック過ぎねえか? まぁ、客もそんな入ってねえから、そんなもんか。


「だから明日もやってっぞ」


 少し照れながら、しかも思いっきり視線を下に向けながら… ヤバい。可愛いじゃないか… なので、思わず、


「この店、もっと美味かったらしょっちゅう来るんだけどな。そうだ、美味い深川メシでも食わせてくれりゃ、毎晩来てもいいぞ!」


 クイーンは顔を上げ、首を傾げながら


「深川、メシ? って、あのアサリご飯かぁ、美味ぇかそんなに?」


「美味えよ、大好きだよ」


「よぉし。明日にでも忍に作らせっか。だから、明日も……」


 またクイーンが下を向いてお地蔵さんになってしまう。


 俺もその姿の可愛さにかなり胸がキュンとなってしまい、つい


「お、おお。考えとくわ」


 なぞと、前向きな発言をしてしまう。



「じゃ、行くわ。今日は、あんがとな」


「昨日だし」


 二人のお地蔵は照れながら下を向く。


「おお、もう明日か。じゃ、じゃあな」


「ああ、そんじゃ、またな」


 そう言い合って見つめ合うこと三十秒。


 は、早く帰りたい… だけどパッと振り返って歩き出すのが、何だか申し訳ない。クイーンが背中を向けてくれればいいのだが、じっと俺を見上げているもんだから、こっちも背中を向けれない……


 仕方ないので、一歩ずつ向き合ったまま後ろに下がっていくことにする。十歩も下がれば、クイーンは背中を向けて店に入って行くだろう。


 十歩。下がったが、ずっと手を振ってニコニコしてやがる…… 意外に粘着質なオンナじゃねえか…


 もう十歩下がる。それでもまだ手を振ってくれている。恥ずかしい、照れっぱなしである。


 さすがにこれ以上下がると、頭の上に輪っかが浮かぶか背中に羽が生えてしまうので、角を曲がって家に向かった。


 これから二人。どうなるのだろう。ふと空を見上げると、珍しく星が瞬いていた。



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