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調和の守護者 リリィ&コピ第五部  作者: マスター


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第156話 夜に鳴る古い畝

第155話では、根渡しの前に村の畑を休ませました。


黒い土問い石が沈み、土に細い割れ目が出ていました。


そこでリリィたちは、水を入れず、畑息も開けず、低い日よけである休み影を置きます。


さらに、畑の周りから荷物や家畜を遠ざけ、余計な重さを減らしました。


その結果、黒い土問い石の沈下は止まり、割れ目も広がりません。


しかし、畑の外縁に古い畝の反響が戻ります。


台帳には、こうありました。


土が休めば、古い畝が返る。

古い畝を掘るな。

そこに、土読みが残した曲がり道あり。

根をまっすぐ呼ぶな。


第156話では、夜に鳴る古い畝と、根渡しのための曲がり道を調べます。

夜の畑は、昼より静かだった。


風車の音も遠い。


砂の音も小さい。


けれど、土の下からだけ、低い音が返っていた。


こむ。


こむ。


ナジは紙風車を胸に抱いたまま、畑の外に立っている。


「風じゃないね」


セナが頷いた。


「土の音」


オルガが畑の周りを見た。


「中には入らない。割れ目も踏まない。紙風車も投げない」


ナジがむっとした。


「投げないよ」


「確認大事」


ラサは台帳を開いた。


「古い畝を掘るな。

曲がり道は、土が冷えた夜に鳴る。

まっすぐ聞くな。

三つ曲がって、根へ返せ」


オルガが首を傾げる。


「三つ曲がる?」


セナは土問い石を出した。


「畑息を直接通すと、根が焼ける。だから曲げる」


コピが地図を表示する。


「畑外縁に、蛇行する浅い空隙反応があります。三か所で折れています」


ナジが小さく言う。


「本当に三つ曲がってる」


ガル老人が低く答えた。


「土読みは、風を弱めてから土へ渡した」


セナは畑の外縁に白、赤、黒の土問い石を置いた。


押し込まない。


投げない。


ただ置く。


そして、木杖を乾き草の上にそっと乗せる。


こん。


土が返す。


こむ。


セナは目を閉じた。


「一つ目は、生きてる」


コピが確認する。


「第一曲がり、空隙あり。熱は低いです」


二つ目。


こん。


返りが少し遅い。


「少し詰まってる」


コピが頷く。


「第二曲がりに乾いた細根と硬化砂。完全閉塞ではありません」


三つ目。


こん。


返らない。


ナジが息をのむ。


「鳴らない」


セナの顔が硬くなる。


「三つ目が止まってる」


ラサが記録する。


古い畝。第一曲がり生存。第二曲がり半閉塞。第三曲がり反響なし。


麦倉の男が小さく聞いた。


「そこを開ければ、根渡しできるのか」


セナが即答した。


「急がない」


男はすぐ口を閉じた。


オルガが少し笑った。


「学習してる」


リリィは三つ目の位置を見た。


畑の端。


休み影のさらに外側。


そこには、古い石の欠片が並んでいた。


畝の跡だと思っていたものは、ただの畑の線ではなかった。


空気と湿りを曲げる、小さな道。


「三つ目はどうしますか」


リリィが聞く。


セナは少し考えた。


「開けない。まず、呼び草を置く」


ナジが首を傾げる。


「呼び草?」


「根を呼ぶんじゃない。土の隙間を思い出させる草」


コピが補足する。


「乾いた繊維を浅く置き、表面の温度差と微細な湿りを誘導する方法と考えられます」


セナはコピを見る。


「今のは、まあ分かる」


コピが少し間を置いた。


「改善しています」


オルガが笑った。


呼び草は、果樹園の落ち葉と乾き草を混ぜて作った。


厚くしない。


水もかけない。


三つ目の曲がりの外側に、細く置くだけ。


セナが言う。


「まっすぐ置かない。曲げる」


ナジが手伝おうとして止まる。


「僕は見習いだから、見る」


オルガが頷いた。


「今日は百二十点」


ナジの顔が明るくなった。


呼び草を置いて、待つ。


夜風が少し動いた。


風車が遠くで、ぎい、と鳴る。


南の灰受けも静か。


西の砂落としも荒れていない。


中央井戸も落ち着いている。


やがて、三つ目の曲がりから小さな音が返った。


こ。


それだけ。


でも、返った。


セナが息を吐く。


「起きた」


コピが確認する。


「第三曲がりに微弱反響。閉塞部の外側に湿度変化」


ラサが記録する。


呼び草設置。第三曲がり、微弱反響回復。掘削なし。水入れなし。


麦倉の男が小さく言った。


「掘らずに、戻るものなんだな」


セナは彼を見た。


「少しだけ」


「それでも、戻った」


セナは何も言わなかった。


けれど、表情は少し柔らかくなった。


リリィは地図を見た。


曲がり道は、三つの反響を取り戻した。


これで根渡しの準備が一つ進んだ。


だが、コピの表示に新しい線が出る。


「確認。曲がり道の終端が、仮畑ではありません」


オルガが顔を上げる。


「え?」


セナも眉を寄せた。


「どういうこと」


コピが地図を広げる。


古い畝の曲がり道は、仮畑の外縁を通り過ぎている。


その先は、村のさらに南東。


今は使われていない、平らな乾いた土地だった。


ガル老人の顔が変わる。


「そこは……」


ラサが尋ねる。


「何ですか」


ガルは低く答えた。


「古い共同畑だ」


ナジが首を傾げる。


「共同畑?」


セナが地図を見つめる。


「土読みの畑……」


ラサが台帳をめくる。


指が止まった。


「ありました」


声が少し震える。


根渡しは、個の畑へ急がすな。

まず共同畑へ渡せ。

一人の畑が先に受ければ、村はまた割れる。


麦倉の男が息をのむ。


井戸番も、ミナも、村人たちも黙った。


リリィは古い共同畑の方を見た。


根渡しは、村の畑を助けるだけではなかった。


誰の畑を先に助けるのか。


その問題まで、土読みは見ていた。


夜の古い畝が、もう一度鳴った。


こむ。


曲がり道の先は、仮畑ではない。


村が忘れていた共同畑へ向かっていた。

第156話では、夜に鳴る古い畝を調べました。


台帳には、


古い畝を掘るな。

そこに、土読みが残した曲がり道あり。

根をまっすぐ呼ぶな。


とありました。


セナは土問い石と木杖で、畑の外縁に残る三つの曲がりを確認します。


第一曲がりは生きており、第二曲がりは半分詰まり、第三曲がりは鳴りませんでした。


そこで掘らず、水も入れず、果樹園の落ち葉と乾き草を混ぜた呼び草を置きます。


その結果、第三曲がりから微弱な反響が返りました。


小さな成功です。


しかし、曲がり道の終端は仮畑ではありませんでした。


その先は、今は使われていない古い共同畑でした。


台帳には、


根渡しは、個の畑へ急がすな。

まず共同畑へ渡せ。

一人の畑が先に受ければ、村はまた割れる。


とあります。


次回は、忘れられた共同畑と、誰の畑へ先に水と根を渡すのかという村の判断を追います。


原案・構想:マスター

物語構成・本文作成・文体調整:G(ChatGPT)

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