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調和の守護者 リリィ&コピ第五部  作者: マスター


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第152話 根の影はどこから来たか

第151話では、風車が一瞬止まったため、台帳に従って種ではなく井戸を優先しました。


中央井戸では、底の白耳石が欠け、井戸床の気流が乱れていました。


しかし、今は底を触る時ではありません。


リリィたちは、水面に浮き枝と仮耳を置き、井戸を乱さずに揺れを静めます。


その結果、風車は安定を取り戻しました。


しかし終盤、北の祠で眠り布の下に細い根のような影が見つかります。


台帳には、こうありました。


根が外から来るなら、土は呼んでいる。

根が内から来るなら、種は待てない。


第152話では、その根の影がどこから来たのかを調べます。

北の祠の前に、全員が集まった。


眠り布は、静かにかかっている。


乾き輪もずれていない。


石耳の音も、荒れていない。


けれど、その布の下に、細い影が見えた。


根のような影。


ナジは紙風車を胸に抱いた。


「動いてる?」


オルガがすぐ言う。


「近づきすぎない」


「分かってる」


「布をめくらない」


「分かってる」


「影をつつかない」


「それは怖いからしない」


ラサは台帳を開いた。


「根が外から来るなら、土は呼んでいる。

根が内から来るなら、種は待てない」


ミナが不安そうに祠を見る。


「封印壺は、開けませんね」


リリィは頷いた。


「開けません。影だけを見ます」


コピが測定する。


「根状の影は、眠り布の下縁付近にあります。熱反応は弱く、急速な成長は確認できません」


セナが土問い石を持って、祠のまわりを見た。


「まず、土を見る」


ガル老人が頷く。


「北の土か」


「壺を見る前に、土」


セナは短く言った。


「順番を間違えると、また種のせいにする」


ラサはその言葉を記録した。


根の影。壺を見る前に土を見る。


祠の外縁に、土問い石を置く。


白。

赤。

黒。


セナは土を掘らない。


押さない。


ただ置いて、待つ。


ナジが小声で聞いた。


「どう?」


セナは石を見たまま答える。


「北側の土だけ、少し柔らかい」


「いいこと?」


「分からない。柔らかい理由による」


コピが測定する。


「北祠の外側に、細い地下根反応があります。封印壺内部からではなく、外部の古い根が祠下へ伸びている可能性があります」


ミナが息を吐いた。


「壺の中からではない?」


「現時点では、外部由来の可能性が高いです」


ナジの顔が明るくなる。


「じゃあ、種はまだ待てる?」


ガルがすぐ言った。


「まだ決めるな」


ラサも頷く。


「台帳の続きがあります」


彼女は読み上げた。


外根なら、切るな。

内根なら、開けるな。

外根は土の便り。

内根は種の焦り。


オルガが眉を上げる。


「外からの根なら、いい知らせ?」


セナが答えた。


「土が完全に死んでいないという知らせ」


リリィは祠のまわりを見た。


北の風穴。


封印壺。


眠り布。


その外側に、細い根が伸びている。


乾いた土地の中で、何かがまだ生きている。


「どの木の根ですか」


セナは村の外れを見た。


「たぶん、果樹園」


ナジが驚く。


「セナのところから?」


コピが地図を重ねる。


「北祠と乾いた果樹園の地下に、弱い連続反応があります。古い根系、または土中空隙でつながっている可能性があります」


ガル老人が目を伏せた。


「昔は、北の種と果樹園はつながっていた」


ラサがすぐ見る。


「それも知っていたのですか」


ガルは苦い顔をした。


「少しだけだ」


オルガが小声で言う。


「その“少しだけ”が毎回大きい」


ナジは真剣に頷いた。


ラサは台帳をめくった。


「ありました」


北の種は、北だけで眠らせるな。

果樹の根が土を問う。

畑の土が風を問う。

井戸の水が村を問う。

三つそろわず、種を開くな。


ミナが小さく言った。


「三つ……」


リリィが確認する。


「果樹の根。畑の土。井戸の水」


セナは表情を硬くした。


「仮畑だけじゃ足りない」


コピが頷く。


「乾き年の種を判断するには、北祠周辺だけでなく、果樹園、畑、井戸の三点確認が必要と考えられます」


麦倉の男が焦った声を出す。


「また確認か。種は待てるのか?」


ラサがすぐ言った。


「止めます」


声は、前より自然だった。


「確認が増えたのではありません。必要な順番が分かったのです」


男は口を閉じた。


セナはラサをちらりと見た。


少しだけ、信頼するような目だった。


リリィは祠へ視線を戻す。


「根を切らずに、向きを見ます」


コピが細い光を眠り布の下へ当てる。


布はめくらない。


影だけを見る。


根の影は、祠の外側から内側へ向かっていた。


だが、封印壺に触れてはいない。


眠り布の下で止まっている。


「根は外部から祠方向へ伸びています。封印壺から出たものではありません」


コピが告げた。


ミナが胸に手を当てる。


「よかった……」


ナジも息を吐いた。


「種、焦ってない?」


セナが首を横に振る。


「焦っているのは、村の方」


広場が静かになる。


その言葉は、厳しい。


でも、正しかった。


種は開けていない。


動いたように見えたのは、外の土が祠へ便りを送っていたから。


先に急いでいたのは、人間だった。


ラサは記録した。


根は外根。封印壺由来ではない。

土が祠を呼んでいる。

種を急がせていたのは村の判断。


ガル老人が深く息を吐く。


「土が先に呼んでいたのか」


セナは頷いた。


「果樹園の根が、まだ生きてる。畑の土も、完全には死んでいない。だから種が返事をした」


ミナが聞く。


「では、種を起こしてもいいのですか」


セナは即答した。


「まだ」


オルガが少し笑う。


「そこは早い」


「早く止めることもある」


ラサが頷いた。


「止め役として、同意します」


ナジが紙風車を見た。


「次は何を見るの?」


リリィは地図を指した。


「三つです。果樹の根、仮畑の土、中央井戸の水」


コピが補足する。


「三点が安定してから、封印壺の判断に進むべきです」


その時、中央井戸から通信が入った。


井戸番の女性の声だった。


『水面の仮耳が、北を向いています』


リリィが顔を上げる。


「北を?」


『はい。浮き枝も、少し北へ流れています』


コピが井戸データを確認する。


「中央井戸の底層流が北方向へ偏っています。果樹園と北祠の地下根反応に呼応している可能性があります」


ナジが紙風車を見る。


紙風車も、ゆっくり北を向いた。


くる。


くる。


ガルが低く言う。


「井戸の水も、土を聞きに行っている」


ラサが台帳をめくる。


「続きがあります」


声が、少し硬くなる。


水が北を向く時、井戸を汲むな。

根が水を呼ぶ。

水を奪えば、土は閉じる。


オルガが井戸の方を見た。


「また井戸を使えない?」


コピが答える。


「大量の汲み上げは避けるべきです。北方向の微細流を乱す可能性があります」


麦倉の男が苦い顔をする。


「水も待つ。種も待つ。畑も待つ……」


セナが言った。


「待てるようにするのが、今の仕事」


リリィは頷いた。


「次は、井戸と根をつなぐ流れを見ます」


北の祠の根は、封印壺から出たものではなかった。


土が先に呼んでいた。


だが今度は、井戸の水まで北を向き始めている。


水を使うか。


根に渡すか。


村は、また選ばなければならない。

第152話では、北の祠に現れた根の影を調べました。


封印壺を開けず、眠り布もめくらず、外側の土と影だけを見ます。


その結果、根の影は封印壺の内側から出たものではなく、外部から祠へ向かって伸びている古い根である可能性が高いと分かりました。


つまり、種が焦って芽を出したのではなく、土の側が種へ便りを送っていたのです。


台帳には、


北の種は、北だけで眠らせるな。

果樹の根が土を問う。

畑の土が風を問う。

井戸の水が村を問う。

三つそろわず、種を開くな。


とありました。


乾き年の種を判断するには、北祠だけではなく、果樹園、仮畑、中央井戸の三つを見る必要があります。


終盤では、中央井戸の仮耳と浮き枝が北を向き始めました。


台帳には、


水が北を向く時、井戸を汲むな。

根が水を呼ぶ。

水を奪えば、土は閉じる。


とあります。


次回は、中央井戸の水が北を向く意味と、村が水を使うか、土へ渡すかの判断を追います。


原案・構想:マスター

物語構成・本文作成・文体調整:G(ChatGPT)

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