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アータヴァカ/関口 陽(ひなた) (7)

 入院中の病院に付属してる露天風呂。

 けど、あたしが向かってるのは、その中でも……。

 まだ小学生かそこらだった頃……今は火山灰で埋まってる「本当の関東」に居た頃の朧げな記憶だと……何か九州(こっち)の日の出・日の入りの時刻は関東(あっち)と結構ズレが有るような気がする。

 7時ごろ、ようやく太陽が東の空から顔を出す。

 あたしは露天風呂の滝に入る。

 ただし、露天風呂と言っても流れてるのは水。

 冷たさを言い表すのに「肌を切るような」って言い方をする理由が良く判る。

 太陽が少しづつ上ると共に……あたしも深呼吸。

 時代がかった滝行だけど……。

 やったか……。

 あたしの肌に触れた冷たい水が湯気へと変る。

 気の補給は十分……下手したら、ここに来る前より力は上がっている。

 この病院が有るのは、中国あたりの風水で言う「龍穴」「龍脈」に当る場所らしい。溢れ出す大地の気を十分に取り込めたようだ。

 とは言え、それは、今回の事件の元凶も同じ事。

 そして、5日間では……流石に新しい術を身に付けるのは無理だったようだ。

 何かが足りない……。あと、2〜3歩で何かに辿り着ける……なのに、どの方向に2〜3歩進めばいいか、さっぱり判らない。

 自室に戻り電話。

「朝っぱらからすまねえ。奴は昨日退院したようだ」

『判った。もう行動を開始してる可能性は有るが……』

「お前の予想通りでも、どこでやらかすかまでは判んねえか」

『いや、不十分だが情報は有る』

「何だ?」

『例の「魔薬」の原料の栽培地が判った。熊本の八代の山の中。この前の「龍虎興業」の下部組織が仕切ってるらしい。どうも、関東難民が奴隷労働をさせられてるようだな』

「やな話だな。あたしも、こんな力が無けりゃ、そいつらと一緒にコキ使われてた可能性も有る訳か……」

『お前も、今日、退院だったか?』

「ああ……」

『場合によっては、一気に奴らの農場も潰す』

「こっちは、体調は元通りだ。いつでもいける」

 ……と言っても……一抹の不安は有るが……。

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