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アータヴァカ/関口 陽(ひなた) (1)

 退院手続が終ったと後方支援要員の権藤さんに連絡した途端、何故か、タクシーで最寄り駅のまで行った後に、更に3つぐらい先の駅で下りて、近くに有る駐車場に向かえ、との指示。

 もちろん、足が付かないようにタクシー代は現金払い。

 早速、何かが起きたらしいが……。

 タクシーの運ちゃんのおしゃべりは寝たフリして無視……って、ん?

 一緒に入院してた対異能力犯罪広域警察(レコンキスタ)のレンジャー隊の隊員達の車も……えっ? サイレン?

「どうしたとかねえ……?」

 運ちゃんの質問には寝たフリして……。

 最寄り駅についても、現金で切符買って、電車に乗り、更に指示された駅で下りて……。

 駐車場には……鹿児島と宮崎と熊本市のナンバーのトラックが各1台……ん?

「よう、待ってたぞ」

「えっ?」

 そこに居たのは……「工房」の副責任者。コードネーム「副店長」。

「どうした?」

「あの……工房って、たしか、北九州じゃ……」

 あたしは、トラックのナンバープレートを指差して訊く。

「足が付かないようにするのも大変でな……で、退院早々悪いが、早速、仕事だ」

 副店長が、トラックのコンテナの扉を開くと……。

「おお……」

「注文通り、バイクには、ちゃんとペイントしてた」

 瀾にブッ壊されたバイクと同じモノが、そこに有った。

 ちゃんと、あいつが何故か嫌ってるファイアーパターンのペイントまで再現。

 そして……。

 新しい強化装甲服(パワードスーツ)「水城」。

 インナーの色は白になり、装甲にはファイアーパターンと、更に炎にも見えるデザインの梵字。

 その横には、あたしの愛用の大型ハンマー。

「開発中の人命救助(レスキュー)仕様の試作機を更に改良した。パワーは、それほど上ってないが、稼働時間は2〜3割増し。防御魔法も前のより強化されてる。あと、ハンマーの方も完全に浄化してもらった。まぁ、『魔法使い』系の後方支援要員には散々文句を言われたがな」

「すげ……」

「鎧の方は追加装備を取り付ければ、ある程度は、N(放射線) B(有害微生物) C(有害化学物質)汚染地帯でも活動は可能だ……と言っても、そっち系の性能は一から対NBC用に設計されたモデルには劣るし、今回は多分不要だろうけどな。あと、こっちも使わないだろうけど、火事場なんかでの消防活動も行なえる追加装備も有る」

「何か、前のよりイケてますよ、これ」

「ついでに、制御AIは護国軍鬼4号鬼に使われてるモノを改良した。前回みたいな事が予想される場合は、装着者が『先読み』機能を切れる。もちろん、射撃補正その他の戦闘用の追加プログラム(プラグイン)もインストール済みだ」

「わかりました」

「あと、お前の古巣から贈り物だ」

「へっ?」

「お前の師匠だか育ての親だかの形見だとか言って届いたんだが……」

 そう言って、副店長は布に包まれた何かを、あたしに渡す。

 強い霊力が込められた……それは……。

 あたしを育てた親類の叔父さんが使ってた「焦点具」。

 柄や鞘はコンバットナイフ風だが、中の刀身は……経文が刻まれた脇差。

『慈悲忿怒(じひとふんぬは) 譬如車輪《たとえばしゃりんのごとし》』

『闕一輪時(いちりんをかくとき) 不得人度(ひとをどするをえず)』

『意荒時(こころ あらぶるとき) 三宝荒神』

『意寂時(こころ しずまるとき) 本有如来』

 死んだ、その叔父さんが……あたしが「本当の力」を引き出す鍵になるだろうと言っていた言葉だった。

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