表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
荒神録 ─ Demonic Divinity Saga ─:毒戰寒流  作者: HasumiChouji
第五章:The Good, the Bad, the Weird
52/89

アータヴァカ/関口 陽(ひなた) (4)

「慈悲と忿怒は譬えば車輪の如し。一輪を()く時、人を度するを得ず。荒神の君は、(これ)、如来の権身にして、仏法を保たんが為に仮に明神と称す」

「なに、それ?」

 親代わりだった親類の叔父さんは、あたしにそう言った。

「『仏説大荒神施与福徳円満陀羅尼経』というお経の一節だ。と言っても、インドから伝わったお経じゃなくて、日本でデッチ上げられたお経らしいがな」

「嘘って事?」

 思えば、あの頃は生意気盛りだった。大人をやりこめたくて仕方なかった年頃だ。

「ぶっちゃけて言えばな。とは言え、昔の俺達の同業者の経験則なのは確かだ」

 ああ……そうだ。この叔父さんは……あたしが今まで出会った「魔法使い」系の中でも有数の理論派だった。

 「魔法使い」系に知力が必要なんてのはファンタジーRPGだけの話だ。

 「魔法使い」系の多くは……魔法の原理について良く知らないか、嘘(くせ)え阿呆なオカルト理論を信じてる。

 人体についてのクソ小難しい科学理論を知らなくても……知ってた方が良いかも知れないにせよ……一流のスポーツ選手に成れるし、何だったら、歴史に名を残す名監督・名コーチにだって成れるかも知れねえ……。

 魔法やら密教やら陰陽道やらってのも、それと同じよ〜なモノだ。

 学問よりも武術なんかに近い。訓練・修行のノウハウみて〜なモノは有るが、理屈は良く判ってねえ。

 判ってるとしても「感覚的」に判ってる奴らがほとんどだ。あたしが今まで会った中で、概ね正しい気がするその手の理屈を()()()()()出来た人は……この叔父さんと、あとは3〜4人しか知らねえし、その3〜4人も、この叔父さんに比べりゃ、SNS上に掃いて捨てる程居るよ〜な、他人を罵るにもネットミームとやらを使ってばかりの脳味噌の代りに頭にロクに手入れしてねえ蛆が湧いた糠味噌でも詰ってるよ〜な自分をマヌケと気付いてねえレベルの底抜けのマヌケどもと、独創的な罵詈雑言が次から次へと口から出て来る、あたしの今の相棒ほどの差が有った。

「経験則?」

「『明王』を守護尊とする術者は、怒りで力を増す。しかし、怒りだけでは真の力は得られない。怒りと慈悲を同時に心に抱いた時こそが、『明王』を守護尊とする術者が真価を発揮出来る時だと言われている」

「何か無理そうじゃない、それって? 怒ってて、しかも、怒ってちゃいけないなんて、意味判んないよ」

「ああ……俺はお前の3倍ぐらいは生きてきた。でも……その境地に達する事が出来たのは……」

「出来たの?」

「出来た……と思う。でも、『明王』を守護尊とする術者は多いが、死ぬまで、その境地に達する事が出来ない者がほとんどだ」

「じゃ、叔父さんは超天才って事?」

「偶然だった。もう1回やれと言われても……死ぬまでに、そのたった1回が出来そうな気がしない」

「で、叔父さんは……その……」

「1回だけだ。小学校の頃に修行を始めて、四十過ぎた今まで……1回だけ。人生八十年として、残りの半分で、もう1回やるのは……諦めてる」

「あたしも無理って事?」

「わからん……だが……お前の守護尊である金剛蔵王権現についての伝説にそのヒントは有る」

「もったいぶってないで、教えてよ」

「そうだな……金剛蔵王権現を守護尊とする者は……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。それが、俺達の一族の歴史で1人か2人しか出なかった金剛蔵王権現を守護尊とする術者についての記録から推測出来る事だ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ