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荒神録 ─ Demonic Divinity Saga ─:毒戰寒流  作者: HasumiChouji
第五章:The Good, the Bad, the Weird
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ニルリティ/高木 瀾(らん) (2)

「大丈夫?」

「私は大丈夫だが……こいつは、すぐに『魔法使い』系が居る医療チームに引き渡して精密検査だ」

 応援の水神(ヴァルナ)金翅鳥(ガルーダ)が到着。

 麻薬ならぬ魔薬の売人は口封じで殺され……と言っても、奴も擬似ゾンビ化していたらしいので、どこまで情報を引き出せたかは不明だが……更に実行犯は悠々と逃走。

 残されたのは、死体だらけの警察署と……ゾンビ達が放つ「邪気」とやらに汚染されたせいでグロッキーになってる相棒とレンジャー隊。

「ところで、何で、そんなモノを持ち出してる?」

 金翅鳥(ガルーダ)は私が署内から持ち出した機動隊用の盾の山を指差す。

「爆風を防ぐ為だ」

「何でだ?」

「ところで、ゲロしていい? マジで気分悪いんだけど……」

 その時、相棒の割り込み。

「ああ……レンジャー隊の連中に顔を見られないような角度でな。マスク外すの手伝うか?」

「頼む」

「軽口を叩く気力さえ無いのだけは理解した」

 私は相棒の向きを変え、強化装甲服(パワード・スーツ)水城(みずき)」のガスマスクを外す。

「普通の水と、経口補水液、あとブドウ糖の錠剤と護符薬を持って来てくれ」

了解(Affirm)

 金翅鳥(ガルーダ)がそう答え、ここまで乗って来たバイクに向う。

「あれ……まだ生きてんの?」

 水神(ヴァルナ)が指差したのは相棒が潰したゾンビ達の群。まだ、ピクピクと動いていた。

「何をやりたいかは想像が付くが……念の為、こいつが多少は回復してからにしてくれ」

「おい……まだ働かせる気かよ……」

「ああ、悪い。邪気とやらの検知は、まだ可能か?」

「何とかな……」

「このまま放っておけば、どうなる?」

「辺り一帯、Jホラー映画みたいな事が頻発する心霊スポットになる。あと、立ち入った一般人はゾンビ化。さらに、そのゾンビどもが心霊スポットを広げていく」

「浄化するには、どの程度の人員・期間が必要だ」

「激甘に見積って、あたしクラスの奴が二〇人以上で一週間……いや一〇日(とうか)は必要だな」

「激甘?」

「有り得ねえレベルで途中で何も失敗も問題も起きなかったとして、って事」

 相棒は吐いた後、うがいをする。

 その後、金翅鳥(ガルーダ)が持って来たブドウ糖の錠剤と護符薬を経口補水液で飲ませる。

 護符薬は、ある日蓮宗の寺で作られている……経文が書かれ「気」が込められたオブラートを丸めたもので、多少は体内の邪気を浄化する効果が有るらしい。

「同じモノを向こうにも配ってくれ」

 私は、レンジャー隊の方を指差して金翅鳥(ガルーダ)に指示。

了解(Affirm)

水神(ヴァルナ)、試しにあいつらを凍らせてくれ」

 続いて、私は、潰れてるゾンビの群を指差しそう言った。

「おっしゃ、了解(Affirm)

「マズいぞ……邪気の量が増してる」

 ゾンビの群が凍結した途端に、相棒から指摘。

「どうなってんの?」

「クソ……あいつらが傷付けば……その傷が異界への門と化す。そして、凍結による細胞や筋肉・内臓・血管なんかの損傷も……異界への門となる傷に含まれるらしい」

「まさか、こうなるのを予想してた?」

「万が一が有るかと思って実験したが……実験失敗、状況は悪化したようだ」

「おい、どうする気だ?」

 金翅鳥(ガルーダ)の声はビミョ〜に不安気。

「あんたの力で浄化してくれ」

「あのな、私の力だと『魔法使い』系と違って爆発が起きるぞ」

「こっちの準備が終ったら、少しづつ爆破しろ」

「浄化だ。爆発は、あくまで望ましくない副作用だ」

 金翅鳥(ガルーダ)の愚痴を聞きながら、私は、軍刀で路面を無理矢理、一直線に斬り裂く。

 そして、続いて、生き残ったレンジャー隊員達を安全な場所まで引き摺り……って、安全な場所って、この場合どこだ?

 ともかく、警察署からある程度引き離し……。

 爆音。

「おい、何で私がやる前から爆発した?」

「すまん、こいつの依頼で地下に爆薬を仕掛けてた」

 私は金翅鳥(ガルーダ)の当然の疑問に対して、レンジャー隊の隊長(レッド)を指差しながら答えた。

「いや、待てよ。何で、所属先(カイシャ)が違うかも知れないけど……警官が警察署に爆弾を仕掛ける必要が有るんだ?」

「さあ? お役所仕事って奴は、堅気の人間には謎だらけだ」

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