♥ 国境砦を目指して 6 / トランプゲーム 2
セロロ
「 確かにそうかもね。
使い魔達にも覚えさせようかな。
メグムはどう思う? 」
茜梶 惠
「 ぼくは賛成だよ!!
大勢で遊ぶと盛り上がるし楽しめるもん! 」
セロロ
「 うん。
メグムが賛成してくれるなら、そうしようか 」
茜梶 惠
「 使い魔さん達とトランプゲームが出来るようになる日が楽しみだよ 」
セロロ
「 そうだね。
ワタシも楽しみかな 」
ワタシの手の中には、ワタシの目の前でメグムが初めて作ったトランプカードがある。
何度も何度も何度も何度も────数えきれない程、ワタシはメグムと共にこのトランプカードを使って遊んだ。
メグムから教えてもらったゲームは13種類。
ワタシは全てを鮮明に覚えている。
瞼を閉じれば、まるで昨日の事のように思い出す。
あの頃が何よりも楽しかった。
異界人であるメグムをワタシの家族にした事は間違いではなかったと今でもワタシは思っている。
セロロ
「 メグム… 」
ワタシは使い過ぎて少しだけ古びたトランプカードの上に右手を重ねた。
メグムは──、もう居ない。
何処にも居ない。
この世界の何処にも……存在しない。
?
「 主殿──、そろそろ… 」
セロロ
「 うん?
あぁ……そうだね…。
そろそろ始めようか。
忌まわしい人類を根絶やしにする為に──。
1人残らず──虐殺しよう。
人類を絶滅させる為に── 」
ワタシからメグムを奪った人類等、生きている価値もない。
?
「 主殿よ、今宵は──虐殺皇神の復活祭となりますな 」
?
「 実にめでたい日に御座います 」
セロロ
「 今宵は慈悲も──、情けも──、無用。
今宵は冷酷に──、残虐に──、無惨に──、宴遊に酔いしれよう。
一切の容赦もなく、人類を蹂躙せよ 」
?
「「「「「 ──御意!! 」」」」」
?
「「「「「 仰せのままに── 」」」」」
セロロが呼び出した靄状の使い魔は、返事をするや否やセロロの前から姿を消した。
セロロは憂いに満ちた瞳で静かに満月を見上げたまま佇んでいた。
そんなセロロの背後に1体の使い魔が立ち尽くしている。
使い魔
「 主殿……。
御乱心なされたか… 」
セロロ
「 うん?
ワタシは正気だよ。
…………心に…穴が空いてしまったようでね…。
深くて深くて……とても深くて……埋まらないんだ… 」
使い魔
「 主殿……人類を蹂躙し、虐殺し、絶滅させたとしても──心に空いた穴は埋まりますまい 」
セロロ
「 うん…。
そんな事は初めから分かっている。
どんなに多くの命を奪っても、メグムはワタシの腕の中には戻って来ない…。
メグムには会えない……。
メグムを抱きしめる事も出来ない……。
メグムの声も聞けない……。
メグムはワタシの思い出の中にしか居ない…。
何をしても……メグムには………… 」
使い魔
「 主殿……。
それ程迄に御執心されておられたのですな… 」
セロロ
「 御執心……ふふふ…。
そうなのかな?
ワタシは独占欲の塊だよ。
ワタシはね、許せないだけ。
ワタシの所有物に危害を加えて壊した不届きな無礼者達をね。
ワタシだけの玩具だったのに……。
奪った代償はきちんと払ってもらわないといけない。
相応の報いを受けさせないとね。
一体誰に喧嘩を売ったのか、知らしめる必要があるだろう?
ワタシは “ 終焉の宴 ” だから──、この世界に終焉をもたらす大いなる脅威の具現。
≪ ファブレッタ大陸 ≫から人類を根絶させても他の大陸には人類が存在しているのだから何の問題も無いよ。
ほら──、≪ 中立領地 ≫にも人類は居るし。
うん──、何の問題も無い。
≪ ファブレッタ大陸 ≫は亜人類と魔族が手に手を取り合って共に生きる環境に変わるだけ 」
使い魔
「 主殿… 」
セロロ
「 メグムが望んでいた世界に変えるだけ…。
その為には大陸の7割りを支配している人類は邪魔だからね。
大掛かりな駆除になるけれど、きちんと始末をして、排除しないとね 」
使い魔
「 主殿……、亜人類と魔族に7割りの土地を解放した後は、どうされるおつもりか… 」
セロロ
「 うん?
そうだね……。
メグムの亡骸を抱きしめて眠りに就こうかな…。
夢の中でメグムと旅の続きをするよ。
魔法でコーティングしているから、朽ち果てないからね。
何時迄も一緒に居られる 」
使い魔
「 ならば我は、主殿の眠りを妨げる者が現れる度に排除致しましょう。
主殿が目覚められる日まで── 」
セロロ
「 有り難う。
さて──、ワタシ達も行こうか。
折角の宴遊が終わってしまう 」
使い魔
「 今頃は酒を浴びるかの如く、大量の血を浴びているでしょうな 」
セロロ
「 そうだね。
お前も久し振りに大量の血を浴びるように呑みたいだろう。
心逝くまで楽しんでおいで 」
使い魔
「 御意 」
短い返事を返し、深々とセロロへ頭を下げた使い魔は、体を靄へ変化させるとセロロの前から消えた。
セロロ
「 ………………夢の中で…。
それでもいい…。
ワタシを見て…ワタシの名前を呼んでほしい。
ワタシに笑顔を見せてほしい…。
ワタシを求めてくれるなら──、今度はちゃんと受け入れるよ……メグム…。
君はワタシの──、1番なのだからね… 」
セロロは手に持ったトランプカードに軽く口付けすると、白く輝く満月をバックに転身する。
偽りだった人狐族の姿から本来の姿へと変貌させたセロロは、阿鼻叫喚な地獄絵図と化したような地上へ降臨するのだった。
◎ 「 タイトル詐欺 」になってしまいますが、今回で「 完結 」になります。
最後まで読んでくださった読者さん、有り難う御座いました。
◎ 「 はぁ? 何なん、このラスト? 」と思われる読者さんも居られるかも知れませんが、「 A.I. 」を見た結果、このラストになりました。
「 メグムは、どうなったの? 」「 なんで居なくなったの? 」「 人類に何されたの? 」と疑問が残りモヤモヤするかも知れませんが、気紛れな素人作者の書く「 暇潰し作品 」なので、察して頂けると有り難いです。
◎ その内に「 おまけ 」とか「 投稿出来たらいいなー 」と思っています。
しない可能性の方が高いですけど……。




