♥ 初めての街 8 / 宿屋・パンダダ亭 1
セロロ
「 食堂があったね。
先に温かいスープでも飲もうか 」
茜梶 惠
「 う、うん…。
夕飯が未だだもんね 」
ハクト
「 主殿、宿泊室の鍵ですよ。
オレ達は宿屋の周辺を見張ってますから、メグムの事は頼みますよ 」
茜梶 惠
「 ハクトさん達は宿泊室に泊まらないの? 」
ハクト
「 オレ達が飯を食う必要も寝る必要もないのを忘れたか?
主殿はオレ達より強いから、オレ達の見張りなんて必要ないわけだが──、主殿にはメグムとしっぽりしてほしいからな 」
茜梶 惠
「 しっぽり??
しっぽり…って何? 」
ハクト
「 そりゃあ──、ゆっくり寛いでまったりする事だ。
初っぱなから色んな所を回って歩き回ったんだろ?
風呂には入れないけど、主殿に全身マッサージでもしてもらえよ 」
茜梶 惠
「 むぅ……全身マッサージしてもらわないといけない程、ぼくは未だ年寄りじゃないよ! 」
ハクト
「 ハハハハハッ!!
確かにな!
主殿──、オレも持ち場へ戻りますよ 」
セロロ
「 周辺の警備,警護は任せるよ 」
宿屋から離れて行くハクトさんを見送ったぼくは、セロロに促されて宿屋の中へ入った。
──*──*──*── 食堂
食堂へ向かうと未だ人が居て、お酒を飲みながら料理を食べている。
宿屋の食堂って、宿泊客で賑わっているんだね。
セロロ
「 メグム、空いてる席に座ろうか 」
茜梶 惠
「 うん 」
セロロが見付けてくれた空いてる客席は壁側にあった。
客席に座ると、食堂を切り盛りしている女の人が来てくれた。
女将
「 いらっしゃい。
夜のメニューは、これだよ 」
茜梶 惠
「 有り難う御座います 」
女将
「 おやまぁ?
礼儀正しい坊っちゃんだねぇ。
小さいのに偉いねぇ 」
茜梶 惠
「 あはは……有り難う御座いますぅ… 」
セロロ
「 出来た子でね、自慢の弟だよ 」
女将
「 兄弟なのかい?
あたしゃ、親子かと思ったよ。
異種族の兄弟なんて珍しいねぇ 」
セロロ
「 異母兄弟でね。
歳が離れているから余計に可愛いよ 」
女将
「 へぇ、通りで似てないわけだ。
注文したい時は呼んでくれよ 」
女の人は客席の上に水の入ったコップを置くと、他のお客さんの所へ行ってしまった。
セロロ
「 メグム、気になる料理はあるかな? 」
茜梶 惠
「 うーんと……文字しか書かれてないから、どんな料理なのか想像も付かないよ… 」
セロロ
「 そうだったね。
一先ずユムネネのスープとゼブヤロップの香草串焼きを頼もうか 」
茜梶 惠
「 うん!
ゼブヤロップは分からないけど串焼きなら想像も付くよ 」
注文する料理をセロロが決めてくれる。
さっきの女の人にセロロが料理を注文してくれた。
ユムネネのスープとゼブヤロップの香草串焼きは相性が良いみたいで、串から抜いたゼブヤロップの肉をユムネネのスープへ入れて食べても美味しいみたい。
お薦めの食べ方だって教えてもらえた。
茜梶 惠
「 ふぅ〜〜〜。
美味しかった♥
スープのお蔭で身体もポカポカしてるよ 」
セロロ
「 それは良かった。
そろそろ宿泊室へ行こうか 」
茜梶 惠
「 うん 」
温かくて美味しい料理を食べ終わって、お腹一杯になったぼくは、セロロと一緒に食堂を出ると、階段を上がって宿泊室のある2階へ移動した。
──*──*──*── 2階
──*──*──*── 宿泊室
ハクトさんから手渡された宿泊室の鍵を使って、セロロがドアの鍵を開けてくれる。
宿泊室へ入ると、セロロが隅々まで浄化魔法を掛けてくれた。
茜梶 惠
「 有り難う、セロロ 」
セロロ
「 一応ね。
メグムも浄化するからね 」
茜梶 惠
「 うん 」
宿泊室のドアを閉めて、忘れずに鍵を掛ける。
セロロが浄化魔法を掛けてくれたら、寝間着に着替える事にした。
宿泊に必要な荷物は既に運び込まれている。
荷物を解いて寝間着を出したら、手早く着替えた。
室内はシンプルでこじんまりとしていて飾り気の全くない質素な部屋だ。
日本の旅館やホテルの至れり尽くせりな部屋とは全然違う。
あるのはテーブルと椅子とクローゼットとベッドの4点セットだ。
荷物はクローゼットの中に入れる事にした。
クローゼットには鍵が付いているから防犯対策かな?
セロロ
「 メグム、明日も歩くから足だけでもマッサージしようね 」
茜梶 惠
「 有り難う、セロロ 」
ベッドの上に上がったぼくが両足を伸ばすと、セロロがマッサージを始めてくれた。
プロのマッサージ師みたいにセロロのマッサージは上手だから、あまりの気持ち良さにぼくはマッサージ中に眠気に襲われて寝落ちしてしまったんだ……。




