♥ 初めての街 5 / 飲食街 / 飲食店・キシュリッグ 4
セロロ
「 虫の死骸入りスープの完食で解決しない事態になるから、メグムが怒る事は無いんだよ。
分かった? 」
茜梶 惠
「 …………幾ら何でも王族直属の近衛騎士が近衛兵を連れて来るなんて……本当なの? 」
セロロ
「 事実だよ。
ワタシの機嫌を損ねると国が消し飛ぶからね。
王族はワタシの御機嫌取りに躍起になるよ。
ふふふ…見物だね 」
茜梶 惠
「 …………で…でも、悪いのは3人の店員さんだけだよ!
それなのに全員が連行されて、土地を没収されて、犯罪奴隷に落とされるのは……やり過ぎなんじゃないのかな??
ぼくは其処までの処罰は求めてないよ!! 」
セロロ
「 メグムが求めていなくても、結果は変わらないよ。
彼等と彼女がワタシに対して行った無礼な行為は消えないのだからね 」
茜梶 惠
「 そんな…… 」
セロロ
「 メグム、出ようか。
彼等が連行されて行く様をメグムには見せたくないし 」
茜梶 惠
「 セロロ──待って!
何とかならないの?
何とか刑罰を軽くする事は出来ないの?! 」
セロロ
「 被害者のワタシには何の権限もないよ。
それだけ王族にとってワタシはVIPなんだよ 」
茜梶 惠
「 ………………王族の紋章を後出ししたセロロにも非はあるよ…。
初めから王族の紋章を出していたら──、身に付けていたら──、もしかしたら店員さんから不愉快な対応をされなかったかも知れないよ? 」
セロロ
「 ふむ?
メグムは被害者のワタシを責めるのかい? 」
茜梶 惠
「 …………責めてないよ!
可能性の話をしただけ…だよ。
“ もしかしたら ” って話……。
そりゃ、亜人が王族の紋章を身に付けていたら、怪しまれるかも知れないし、偽物だって思われて、もっと嫌な思いをしたかも知れないけど──、そんな凄い物を持ってるなら後出しなんてしたら駄目だよ!!
ちゃんと初めから身に付けといて、相手側にチャンスを与えてあげなくちゃ!!
後出しは狡いし……卑怯……だよ… 」
ぼくはセロロに何て事を言ってるんだろう。
「 狡い 」とか「 卑怯 」だなんて、ぼくを家族にしてくれた恩人のセロロに対して、とても酷い事を言ってる。
セロロが悲しい顔でぼくを見て────ない??
あれ?
セロロが笑ってる??
な…何でぇ??
茜梶 惠
「 せ…セロロ……何で笑ってるの??
ふ…普通は怒る所だよ? 」
セロロ
「 ……そうなの?
ワタシに “ 狡い ” とか “ 卑怯 ” なんて言えるメグムの勇姿に心が躍ってしまって…。
メグムの成長を感じれらて嬉しくてね(////)
メグムは大物になるよ 」
茜梶 惠
「 セロロぉ…(////) 」
セロロ
「 メグムの成長を見られて嬉しいし、今回はメグムに免じて寛大な処置にしてもらえるように交渉してみるよ 」
茜梶 惠
「 本当?!
有り難う、セロロ!! 」
セロロ
「 交渉はするけど、成立するとは限らないよ。
騎士には忠誠心が高過ぎて融通の利かない頑固者も居るから首を立てに振るとは限らない。
決裂する確率の方が高いからね 」
茜梶 惠
「 う、うん…。
それでも可能性が1%もあるんだもん!
十分だよ!!
99%の努力と誠意を近衛騎士にぶつけるよ!! 」
セロロ
「 メグムは前向きだね。
騎士とはワタシが交渉するよ。
メグムはワタシの隣に居るように 」
茜梶 惠
「 うん… 」
セロロ
「 折角のピエットスープが冷めてしまったね。
浄化して加熱するからメグムだけでも食べなさい 」
茜梶 惠
「 う、うん… 」
セロロに促されてぼくは椅子に腰を下ろして座った。
スッカリ冷めてしまったピエットスープをセロロが魔法で浄化して、魔法で加熱してくれた。
熱々になったピエットスープに舌鼓しながら食べ終わったぼくは、セロロと一緒に飲食店を出る事になった。
支払いはちゃんとした。
勿論、食事代はセロロが支払ってくれたわけだけど…。
──*──*──*── 飲食街
飲食店を出ると立派で綺麗な鎧を身に付けた騎士が兵士と一緒に立っていた。
セロロが飲食店から出て来るのを待っていたのかな?
彼等が王族直属の近衛騎士と近衛兵なんだ。
何か強そう…。
本当に来ちゃったんだぁ……。
近衛騎士の1人が前方に出て来て、セロロの前で膝ま付くと頭を垂れた。
近衛騎士
「 王族の御盟友…セロロ様!!
逢えて光栄で御座います 」
セロロ
「 随分と早かったね 」
近衛騎士
「 役目を果たす為に参じました 」
セロロ
「 連行するのは店員の3名だけにしてくれるかな 」
近衛騎士
「 なりません!
王族の御盟友であられるセロロ様を侮辱されたという事は、王族を穢したも同然です。
捕らえるのが3名だけと言うのは…… 」
セロロ
「 此処のキッシュは美味しくてね、ワタシのメグムが気に入った。
ワタシは此処が無くなっても困らないけれど、メグムが悲しむのは見たくない 」
近衛騎士
「 そんな事の為に王族の御盟友を侮辱した罪人を見逃すと言うのですか!!
王族の反逆者共を捕らえないと── 」
セロロ
「 忠誠心が高いのは良い事だけど、もう少し融通を利かせてほしいね。
ワタシに不快な思いをさせたのは、あの3人だけだよ。
今回はワタシに免じて妥協してほしい 」
近衛騎士
「 然し……、それでは国民に示しが付きません!!
王族の御盟友の沽券にも関わります! 」
セロロ
「 沽券…ねぇ。
──王族直属近衛騎士団筆頭近衛騎士国境隊長グリフェンド・バーグラ 」
近衛騎士:グリフェンド
「 ハッ! 」
セロロ
「 これは皇命だよ。
其処に控えている君に忠実な近衛兵達がこの公衆の面前で血祭りになるのを見たくなければ、素直に従いなさい 」
近衛騎士:グリフェンド
「 ──御意。
貴方様の御心のままに… 」
セロロ
「 宜しい 」




