♥ 初めての街 1 / 大通り ─→ 飲食街
──*──*──*── ユンドの街
裏門の下を潜り終わると、オシュトさんの姿は既に無かった。
今夜から宿泊する宿を探しに行ってくれたのかな?
セロロ
「 メグム、此方だよ 」
セロロが手を引いてくれる。
人で賑わう広い大通りをセロロの左横に並んで歩く。
賑やかな大通りには、親子連れや親しそうな男女のペアが歩いている。
酷く懐かしく思えて止まない平和な風景だ。
だけど、チラチラと視界に入るのは賑やかさに似つかわしくないみすぼらしい格好をした子供や大人の姿にぼくは息を飲んでいた。
首には犬でもないのに太い首輪を付けて歩いている。
もしかして彼等は──。
茜梶 惠
「 セロロ、首輪を付けている人達って……奴隷…だったりするの? 」
セロロ
「 良く知っているね。
そうだよ、彼等は奴隷だね 」
茜梶 惠
「 ……随分と酷い扱いを受けているんだね 」
セロロ
「 奴隷だからね。
腕に刻印が刻まれている奴隷は舌を切り取られて喋れない奴隷だよ 」
茜梶 惠
「 えっ?
舌が無い?
奴隷って舌を引っこ抜かれたりするの?! 」
セロロ
「 うん?
引っこ抜く?
引っこ抜いたりはしないよ。
舌を出させて、口から出た部分を刃物で切るんだよ 」
茜梶 惠
「 あぁ…うん…そうなんだ? 」
セロロってば、まるで舌を切り取られる事が当たり前みたいな言い方をするんだな…。
…………もしかしてだけど、誰かの舌を切り落とした事でもあるのぉ??
奴隷──視界に入っても不思議と不快には思わない。
漫画やアニメ,実写映画で見慣れているからかな?
だけど、漫画もアニメも実写映画でもリアルじゃないし、画面の中で見る映像だから「 へぇ〜〜 」って感じで他人事みたいに見ていたけど、此処で見掛けるのはリアルな奴隷達だ。
他人事だけど、身近過ぎて心が痛む。
セロロ
「 メグムは奴隷を見るのが初めてかな?
≪ ユンド ≫の至る所に奴隷は居るから慣れるしかないよ 」
茜梶 惠
「 うん…。
多分…大丈夫だよ…。
存在は知ってたから…。
だけど、どうして舌を切っちゃうんだろう??
奴隷が喋れないと会話が出来なくて不便じゃないのかな? 」
セロロ
「 ≪ ファブレッタ大陸 ≫では、奴隷に喋る権利は無いとされているからね。
逆らわないように舌を切り落としてしまう主が多いね 」
茜梶 惠
「 主?
じゃあ、奴隷商に居る時は未だ舌は抜かれてないんだ?
喋れるんだね! 」
セロロ
「 うん?
そうだけど…メグムは奴隷商を知ってるかい?
メグムの世界にも奴隷商があったのかな? 」
茜梶 惠
「 あはははは〜……。
流石に日本に奴隷商は無かったと思うよ? 」
セロロと奴隷の事を話ながら大通りを歩いていると、看板が見えた。
茜梶 惠
「 えぇと──飲食街…ギルド街…商店街…医療街…大通り / 裏門──。
セロロとぼくは《 大通り / 裏門 》から来たんだよね。
向かうのは《 飲食街 》だね 」
セロロ
「 そうだね。
此方だね 」
セロロに手を引かれて《 飲食街 》へ向かって歩く。
──*──*──*── 飲食街
《 飲食街 》の彼此にも奴隷の姿が視界に入る。
忙しなく働いている。
奴隷は労働力として利用されているのかな?
《 飲食街 》で見掛ける奴隷は、みすぼらしい格好はしていなくて、ちゃんした衣類を着ていて靴も履いている。
大通りで見掛けた奴隷とは大違いだ。
茜梶 惠
「 色んな飲食店があるね。
何処にしようか迷っちゃうね 」
セロロ
「 看板を見て決めたらどうかな。
気になる料理はないかい? 」
茜梶 惠
「 う〜ん…。
どの看板も似たり寄ったりだよね?
──セロロ、この看板のお店に入ろうよ。
キッシュのお店だよ!
異世界でキッシュが食べれるなんて、意外! 」
セロロ
「 入ろうか 」
茜梶 惠
「 うん 」
ぼくはセロロと一緒にキッシュが食べれる飲食店に入った。
◎ 訂正しました。
以外 ─→ 意外




