♥ 目覚めたら知らない部屋に居た 2
セロロ
「 魔法を使うには素質が必要なんだよ。
人類も亜人類も素質が無いと魔法は使えないからね 」
ぼく
「 …………セロロ…さんと魂の契約をしたら素質の無いぼくでも…… 」
セロロ
「 そうだよ。
君はワタシの特別──、生涯の番,生涯の伴侶となったのだからね 」
ぼく
「 …………つがい??
はんりょ…?? 」
セロロ
「 見知らぬ場所で言葉も通じないのは心細いと思ってね、せめて言葉が分かるようにと駄目元で契約を交わしてみたんだ。
ワタシは亜人類語を話していてね、ワタシには君の言葉は亜人類語で聞こえているよ。
君にはワタシの言葉が君の暮らしていた≪ 国 ≫の日本語とやらに聞こえているようだし、きちんと会話が成立しているね。
生涯の番,生涯の伴侶となった効果だね 」
ぼく
「 …………あの…じゃあ……セロロ…さんは亜人類語を話していて……ぼくは日本語を話していている──って事ですか? 」
セロロ
「 そうなるね。
傍からは日本語とやらを話している君と亜人類語を話しているワタシが会話をしている中々面白い光景に見えるだろうね 」
ぼく
「 …………きっと凄く不思議に見えると思います… 」
フランス語を話すフランス人と日本語を話す日本人が仲良く話していてたら、もの凄く不思議な光景だと思うから…。
言葉が通じる相手が1人居るってだけで…安心するんだな…。
セロロ
「 怪我が癒えて完治する迄、此処で療養するように。
狭いけど自分の部屋だと思って好きに使っていいよ 」
ぼく
「 有り難う御座います… 」
セロロ
「 君とワタシが魂の契約を交わした事は誰も知らない事だよ。
君はワタシの保護下に入れているから、ワタシの事は実の兄だと思って頼ってほしい 」
ぼく
「 お兄さん…? 」
セロロ
「 そう、今の君には助けが必要だからね。
君と言葉が通じるのは今の所はワタシだけだし。
君が望むなら大陸語を教えるよ 」
ぼく
「 大陸語…ですか? 」
セロロ
「 大陸には大陸語があってね、亜人類の人獣族は大陸語を理解する事が出来るから、君が大陸語を覚えれば≪ 集落 ≫の皆と大陸語を使って話か出来るようになるよ 」
ぼく
「 ……あの…だったら…療養中に教えてもらう事って出来ますか? 」
セロロ
「 勿論、出来るよ。
君が望むならね 」
ぼく
「 有り難う御座います。
お、お願いします! 」
セロロ
「 君はワタシの弟になるのだから敬語は必要ないよ。
兄弟は名前を呼び捨て合うものだからね 」
ぼく
「 は、はい…。
…………セロロ…(////)」
セロロ
「 宜しい。
君のように此方側の世界へ来た人類は “ 異界人 ”と呼ばれていてね、今迄にも何人も居るよ 」
ぼく
「 ぼくの他にも日本人が居るんで──居るの? 」
ぼくは思わず身を乗り出してしまった。
セロロ
「 日本人かどうかは分からないけれど、大陸中で確認されているよ 」
ぼく
「 大陸中で… 」
セロロ
「 発見された異界人は≪ 王都 ≫へ連れて行かれて保護されるようになっているよ。
神殿で神職者から洗礼を受けて、〈 大陸神 〉の祝福を受ける事が義務付けられているね。
祝福を受けると稀に加護や守護,寵愛を与えられる事があってね、陸民よりも加護,守護,寵愛を与えられる確率が高いと言われているんだよ。
加護,守護,寵愛を与えられた異界人は “ 勇者様 ” と呼ばれたり “ 聖女様 ” と呼ばれて≪ 国 ≫から特別扱いされる事になるよ 」
ぼく
「 勇者…聖女……。
あの…魔王でも倒すんで──倒すの?? 」
セロロ
「 さてね。
それ以上の事はワタシにも分からないよ。
何せ知る手段がないからね 」
ぼく
「 どうして…で──なの? 」
セロロ
「 この≪ 集落 ≫は亜人類を魔族と同一視をして亜人類狩りをする人類から人獣族を衛る為に怪物が巣食う森の外れにあるんだよ。
人里へ向かうには森の中を通らないといけない。
人里へ向かうにはとても距離があるし、日数も掛かる危険な旅路になるから最新の情報が入って来ないんだよ。
だから、勇者様や聖女様となった異界人達が何処で何をしているのか、無事に生きているのか─詳しい事は何1つ分からないんだ 」
ぼく
「 そう…なんだ…。
≪ 王都 ≫へ行けさえすれば、ぼくみたいに此方に来ちゃった異界人に会えるんだ…… 」
セロロ
「 早速、目標が出来たみたいだね。
目指すは≪ 王都 ≫の神殿って所かな? 」
ぼく
「 はい!
あ…えと──、うん(////)」
セロロ
「 目標を持つのは良い事だよ。
目標に向けて前向きに頑張れるからね。
先ずは、最低でも大陸語と大陸文字を理解して日常生活で使えるようになる事だね。
算術も覚えないといけない。
怪我が完治して動けるようになったら、鈍った身体を鍛えて基礎体力を付けないとね。
最低でも受け身と護身術を身に付けて、刃物の扱い方も覚えないとね。
それから旅をするには欠かせない生活魔法も使えるようにならないと。
安全に≪ 王都 ≫へ行く辿り着く為に必要な事は未々あるけど、焦らず1つずつクリアして行こう 」
ぼく
「 う、うん!
沢山あって大変そうだけど、ぼくの目的を達成出来るように頑張るよ!! 」
セロロ
「 その意気だよ 」
ぼく
「 あ……あの……ぼくの名前なんですけど……惠です…。
茜梶惠って言います!
惠って呼んでください! 」
セロロ
「 センビメグム……メグムだね?
ふむ…メグムか。
今から宜しく、メグム 」
茜梶 惠
「 はい…(////)」
セロロ
「 メグムには森の中で何があったのか話すから、聞いてくれるね 」
茜梶 惠
「 うん…。
お願いします 」
セロロ
「 森に異変が起きたのは4日前の正午過ぎでね、森の中に金色に輝く光りの柱が8つ見えたんだよ 」
茜梶 惠
「 金色の光の柱…?? 」
セロロ
「 何処かの≪ 国 ≫が懲りずに召喚魔法を使ったんだよ。
召喚魔法を使うと、光の柱が現れて異界人が召喚されるようになっているからね。
謂わば異界人は召喚術師達による召喚儀式によって、此方側へ呼ばれた “ 転移召喚者 ” になるんだよ 」