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幸せの日々の始まり。 




「ら、ラルーさん・・・。」


私は今、驚愕しています・・・。

それは何故かと、問われると説明しづらいのですが、

目の前の物を見れば分かるでしょう・・・。


「刑事さんの家があまりにも荒らされまくってたんで、

私の方で扉とか窓とか勝手に直させてもらいました!家は大切にね!」


そんな張り紙が私達の家の扉に貼り付けてあったのです・・・。


「やっぱり、恩返ししてきます・・・!!」


「いやいや、月希姫。早まるな!もしかしたら、誰かのイタズラかも

知れないから、まずは確認をしよう・・・!」


私を救動さんが止める。


「そ、そうですよね・・・。」


救動さんが扉を開ける。

開閉を繰り返して、まだ使える事を確かめる。

無理やり蹴破られたのなら少しくらい不具合があってもいいのだろうが、

特に何も問題はないようだ。


「・・・。異常は・・・。ないな・・・。」


「どうやら、イタズラじゃなかったな、刑事。」


「そうだな・・・。ラルーの謎の修理技術が気になるが・・・。」


お兄さんと救動さんはラルーさんの謎の修理技術にびっくり。

一体・・・。どのようにして修理したのでしょう・・・?


そして家にあがると、また驚愕しました・・・。

リビングのテーブルにはミートソースパスタが四人分置かれおり、

まだ湯気が立って、暖かい・・・。まるで作りたてのよう。

ソファにはなんと、血まみれのナイフが置かれている・・・。


「何なんですか・・・。このホラーな光景は・・・。」


「何、マリーセレスト号の怪奇状況を再現してんだよ・・・!

つくづく趣味が悪いだろ、ラルー・・・。」


お兄さんが頭を抱えます。


「ま、マリーセレ・・・・。何ですか・・・?」


「マリーセレスト号だ。

前に教えてやっただろ?」


「!!あ、思い出しました!

1872年、ポルトガル沖で無人のまま漂流していたマリーセレスト号を

デイ・グラチア号に発見された。どんなに声をかけても返答がないため、

何か事故が起きたのではないのか、と考えたデイ・グラチア号の

数人の乗組員がマリーセレスト号に乗り込み、中の様子を確認した所、

船の中には誰もいなかったという、航海史上有名な失踪事件です。

あまりにも有名で、それでいて謎に満ちた事件、故に次第に話に

尾ひれが付き、ほとんど都市伝説として間違った話が伝わるように

なってしまいました・・・。


まだ食べかけの暖かいスープが残されていたとか、

血まみれのナイフが見つかったとか・・・。

船長の航海日誌には走り書きで「妻のマリーが」と書かれていたり、

救命ボートがなくなっていた・・・。などなど、

想像力を掻き立てられるような状況が加えられるように・・・。」


「・・・。る、月希姫・・・?」


「はい?どうかしました?救動さん、」


「何でそんな事細かに事件を記憶しているんだ・・・?」


「え、覚えているのが当然でしょう?」


「・・・。月希姫はどうやら天才のようだ・・・!?」


救動さんは私の説明を聞いてまた驚愕。

私はそんな天才とかじゃ・・・。


「それにしてもマリーセレスト号の怪奇状況を再現するなんて・・・。」


「何がしたいんだろう・・・?」


ラルーさんの考えが解らない事に悩む・・・。

窓や扉は綺麗に修理したついでにイタズラ感覚でマリーセレスト号の

怪奇状況を再現した・・・。という事かな・・・?


「あのー・・・。お嬢様。失礼しております・・・。」


「誰だッ!!?」


「き、救動様、落ち着きください!私は魂想 月希姫にお仕えする

メイドのメイナです!」


「メイナ!?どうやって入ったの!?」


「ラルーにこの家の合鍵を渡されて・・・。」


「ラルーさん、本当に何をやっているの!?

マリーセレスト号の怪奇状況を再現するわ、

いつの間にか合鍵を作ってメイナに渡すわ・・・!!」


「ええ、私も入って来た時に奇々怪々な状況になっていたから、

怖い思いをしたよ・・・。」


キッチンの奥から出てきたメイナさんを見て救動さんがパニックを

引き起こす。そしてメイナさんから最初からこんな状況だった事と

合鍵を渡されて入って来た事を教えてもらい、私はラルーさんに怒る。

うん、恩返しはしなくてもいいですよね?


「メイドって・・・。ああ、ラルーが言ってたメイにゃん?」


「メイにゃんという呼称はどうかお止めください。

さもないとナイフでグッサリしますよ?」


「何このメイド!怖!どんだけメイにゃんって呼ばれたくないんだよ!?」


「ラルーが勝手にそう呼び始めたからとても嫌なのよ・・・。」


「やっぱり、ラルーが絡んでくるか!!」


思えば救動さんとメイナさんは初対面なんですよね?

お兄さんとは私の監禁時代に会っているみたいだから・・・。


「メイナがめちゃめちゃ明るいぞ・・・。どう言う事だ・・・!?」


やはり、お兄さんはテンションがガラリと変わったメイナさんに驚く。

うん、私の監禁時代の頃のメイナさんは感情を隠していたから・・・。


「それにしても、メイドで殺し屋か・・・。

なんかドラマに出てきそうな設定だな・・・。」


救動さんはメイナさんの設定?に笑いを堪える。

なんだか救動さんの笑いのツボが分からなくなってきました・・・。


「ええ、お嬢様の命令は絶対なので、確かにドラマ的ですね?」


「じゃ、3回、回ってワンと鳴いて?」


「承知。」


するとその場でメイナさんは綺麗に3回くるくると回り、


「ワン。」


と鳴いた。


「じゃ、血まみれのナイフを回収してくれないかな?」


「承知しました。」


するとメイナさんはソファのナイフを掴むと

ポケットからハンカチを取り出し、ナイフの血を拭う。


「いきなり人使いが荒いな・・・。月希姫・・・。」


「いや・・・。救動さんは刑事さんだからナイフを持っていたら問題に

なるでしょうし・・・。かと言ってお兄さんでもダメだし・・・。

だとしたら、殺し屋のメイナさんが持ってた方が問題にはならない

と思って・・・。」


「なるほど・・・。」


「まぁ、まだ人は殺してないですけどね・・・。」


補足的にメイナさんは言う。


「でも、いずれは殺すのでしょう?」


「はい、その通りです。」


エプロンドレスの裏地のポケットにナイフを入れて、満面の笑みを

浮かべるメイナさん・・・。

メイナさん、だんだん狂ってきた・・・。


「抵抗はないの・・・?」


「特にはありませんね・・・。もうすっかり殺人に慣れてしまったので。」


「まだ人は殺してないんだよね?」


「ええ、隠生の腐れ野郎が公開処刑してて、その影響で。」


「このメイド、口、悪ッ!」


「・・・!ラルーの口の悪さが伝染した・・・!!」


「伝染するのか!?」


私が質問していたのに、

メイナさんが暴言を吐いたら、救動さんがツッコミを入れる。


「ラルーさん、そんな暴言を吐くの・・・?」


「しょっちゅうですよ、そんなの。

“おい狐!何、割った皿をさりげなく窓の外に放り捨てているの!

このデブ狐が!後で電気椅子の刑よ!”」


「・・・あ、あ・・・・。」


思わぬ激しすぎる暴言が飛び出る。

そして、言葉を失った。

妙にリアル。その狐さんも悪いと思うけど、電気椅子の刑って・・・。


「モノマネか・・・?それ・・・?」


「はい、モノマネです。」


「そうか・・・。アイツ、正真正銘のドSなんだな・・・。」


救動さんが呆れ果てながら呟く。


「ひどい時なんて、放送禁止用語が詰め込まれた文章を叫びますからね?

まぁ、ラルーからそんな暴言を吐き出させるコッチが悪いのかも、

なんだけど・・・。」


「あ、アハハ・・・。放送禁止用語か・・・。」


あぁ、お兄さんの目が死んでいる・・・。

ラルーさんならありうる事だから・・・。


「それはそうと、救動様。

この度の事件、どう片付けるんですか?」


「事件か?」


「ええ、守城様とお嬢様の事件です。」


「・・・。一体、どうすればいいんだよ・・・!」


「考えていなかったのですね・・・。

一応、裏の事も研究の事も全部、隠しておかなければならないですよ?

裏の事を匂わすような事を報告したら、即刻、裏の者達が隠蔽の為に

救動様を殺害しようとするかもしれませんから・・・。」


「殺害って・・・。」


そうか・・・。救動さんは刑事だから、

私達の事件を報告しなければならないんだ・・・。

でも、裏の事を匂わすような事を報告したら救動さん自身の身が危険に

晒されるし・・・。

すると・・・。


「んー?そこんとこはご安心をー。

どーせ、警察にいる裏の人間が勝手に隠蔽するしさー。

しばらくしたら刑事さんトコに、この事件から手を引けー。的な

命令が下ると思うからさー。黙ってそれに従えばいいだけだよー?」


突然、響き渡るラルーさんの声。

ラルーさんの姿が見えない・・・。


「あー。メイにゃんのエプロンのリボンとこー。

探りにゃー。」


そのラルーの声を聞くと、すぐさまメイナさんはエプロンのリボンを

探り始める。しばらくしてメイナさんは固まる・・・。


「ど、どうしたんだ・・・?」


救動さんが恐る恐る聞く。


「あ・・・りました・・・。

盗聴器とマイクみたいなの・・・。リボンの中に仕込まれて・・・。」


震える手でメイナさんは盗聴器とマイクを差し出す。

もはや恐怖を覚える域である・・・。


「く、ハハハハ!

メイにゃんビビリ過ぎー!

一応、念の為に仕掛けたのさー!」


「念の為って何!!?」


「えー、んなもんこじつけの理由さ!

単純にイタズラをしたくなっただけさ!」


「イタズラってアンタはガキか!!」


「あーあーあー、そーですよー。

私は13歳の子供さー。だから何ー?」


「13歳の殺し屋なんていてたまるか!

アンタみたいな子供なんていてたまるかー!!」


ほとんど絶叫。

メイナさんにとってもラルーさんは苦悩のタネ・・・?


「逆に私からすると、月希姫は幼すぎるわ。」


「それは仕方ない!だって監禁されてたんだもの!」


「・・・。だいぶ私の口調が移ったね・・・。

メイにゃん・・・・。」


「え・・・?う、うわああああああ!!!」


ラルーさんに口調が移っている事を指摘されると、

メイナさんは頭を抱えて膝から崩れ落ちる・・・。

もはや、メイナさんが非常に哀れである・・・。


「本当にお前は何なんだ・・・。」


「アハハハッ!!それこそ私が聞きたい事だわ!

て・・・。あら・・・?

え・・・。嘘でしょう・・・・?

後、一時間と二十分で到着ってどう言う事よ!!?」


「は?突然、どうしたんだ・・・?」


「お兄ちゃんが来るのよ!!!

わわ、どうしようどうしよう。

これは非常にマズイわ。時間がなさすぎる!!

えと、もうイタズラはこんくらいにしておくわ!

だから証拠隠滅の為。とりあえず盗聴器とマイクは没収!!」


「え」


「じゃあね!!」


するとメイナさんが持っていた盗聴器とマイクが突然、

フッと消える。凄い・・・。


「一体、なんだったんだ・・・。」


お兄さんも救動さんも呆然と立ち尽くす・・・。


「随分とパニクってたね・・・。

あんなパニクってたラルー、見た事ないよ・・・。」


メイナさんはびっくりしたようだ。


「ラルーさん、慌てないんですか?」


「うん、滅多に慌てることはないわ。

だって、時間停止とか出来るみたいだから、

いざという時は時間を止めればいいし、

第一、予知能力持ちでもあるから、大抵は何が起こるかは分かりきって

いるのよ・・・。」


「なんだよそれ・・・。もはや完全無敵じゃないか・・・。

よくそんなの相手にイヲナは対等に渡り合えるな・・・。」


お兄さんはポツリと呟く。

そういえば、お兄さんはイヲナさんと話したんだっけ?


「ま、例え予想外の事が起きても、

ラルーは呑気にヘラヘラ笑ってるんでしょうね・・・。」


メイナさんも呟く。

一体、メイナさんもお兄さんもラルーさんやイヲナさんといるときに

何があったんでしょうか・・・?


「所で・・・。

せっかくラルーさんがミートソースパスタを作り置きしてくれたから、

食べませんか?」


「そうだな。」


私は湯気が立って暖かそうなパスタが置かれたテーブルの前に立ち。

みんなに提案をする。

そして救動さんは賛同する。


「ラルーが作る料理は何故かとてつもなく美味しいから・・・。

私もいいかしら?」


「はい!もちろん!四人分、置かれてますから!」


私は先に椅子に座り、お兄さんに手招きする。

するとお兄さんは無言のまま隣の席に座る。

次に救動さんが向かいの席に座り、メイナさんも救動さんの隣に座る。

そして、


「「「「いただきます。」」」」


同時に手を合わせて、ピッタリのタイミングで言えた。

これも家族みたい・・・!


「救動さん、お兄さん、メイナさん。

ちょっといいですか?」


「どうした?月希姫。」


「これからも、家族としてよろしくお願いします・・・!!」


私は満面の笑みを浮かべ、言う。

幸せに、生きていこう・・・。精一杯に、笑顔を浮かべて・・・!

月希姫は幸せに生きていく。

束縛と自由の狭間の少女は・・・。完。

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