「あなたは三番目なの」と彼女に言われたので、一番目と二番目に会いに行った ~男三人で始めた〈彼女のいない青春〉が、思ったより楽しい~
最新エピソード掲載日:2026/11/08
「ごめんね。あなたは三番目なの」
付き合って半年の彼女、雛森菜々緒は、悪びれずにそう言った。一番目と二番目もいるけど、壱成くんのことも好きだから、と。
高校二年の寺坂壱成は、泣かなかった。代わりに聞いた。
「一番目と二番目って、誰?」
一番目は、隣町の工業高校の三年でバンドのボーカル、大館嵐士。二番目は、隣のクラスの生徒会副会長、汐崎晃一郎。
会いに行った。文句を言うつもりで。文句は、鏡の前で三回練習した。
ファミレスの四人席。空いた一席の前に、メロンソーダが三つ並ぶ。彼女の好きな飲み物を、三人とも、いつもの癖で注いできてしまったのだ。
「俺、一番だって言われてたんだけど?」
「僕もだ。……計算が合わない」
「一番が二人いるなら、全員三番目だろ」
三人は同時に吹き出した。そして同時に、彼女へ同じ一文を送った。
『別れよう』
既読の時刻は、三つとも同じだった。
「既読、三つ同時。……同着一位だ」
――その日から、男三人の、彼女のいない青春が始まった。
付き合って半年の彼女、雛森菜々緒は、悪びれずにそう言った。一番目と二番目もいるけど、壱成くんのことも好きだから、と。
高校二年の寺坂壱成は、泣かなかった。代わりに聞いた。
「一番目と二番目って、誰?」
一番目は、隣町の工業高校の三年でバンドのボーカル、大館嵐士。二番目は、隣のクラスの生徒会副会長、汐崎晃一郎。
会いに行った。文句を言うつもりで。文句は、鏡の前で三回練習した。
ファミレスの四人席。空いた一席の前に、メロンソーダが三つ並ぶ。彼女の好きな飲み物を、三人とも、いつもの癖で注いできてしまったのだ。
「俺、一番だって言われてたんだけど?」
「僕もだ。……計算が合わない」
「一番が二人いるなら、全員三番目だろ」
三人は同時に吹き出した。そして同時に、彼女へ同じ一文を送った。
『別れよう』
既読の時刻は、三つとも同じだった。
「既読、三つ同時。……同着一位だ」
――その日から、男三人の、彼女のいない青春が始まった。
1. 全員三番目
2026/11/08 12:13