↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

61/61

幕間 細井人子と長井海月

ヒロイン2人に名前が付きました

「ぷっは~~、冷蔵庫にこもって飲むお醤油は最っ高っですね~~」

「ワルやで~~、ワルワルや」


 〇月×日

 細井さんと長井さんが……グレた。


 2人はどこで拾ったか、アイスの冷凍庫に潜り込み、醤油さしから醤油を直飲みしていた。

 なぜか俺の庭のど真ん中で。


「とりま突っ込みどころが多すぎんだが……まず1個だけいいか? 学校はどうした?」

「おうそれな、オレら今ボイコット中やねん」

「不登校、3日目です」

「おいおいおいおい」

 

 詳しく2人に話を聞くと、学校で、正確には担任との間に問題が発生し学校を休んでいるらしい。

 もちろん、親の許可は取ったうえでだ。


「でなその先生、みんな仲良く絆を大事にがモットーの先生なんやけどな」

「その一言で、やばそうな気配マックスじゃねえか」

「クラス全体に苗字呼び禁止令を発令してな。オレ、自分の名前嫌なん知っとるやろ。だって細井 人子(こまい ひとこ)って、人間に人って名前突っ込みどころしかあらへんやん!」

「私も海の月って書いてミツキですけど、普通に読むとクラゲじゃないですか! せめて美しい月でミツキがよかったですぅ」


 と自分の名前への不満を叫んでいた。

 

 細井さんと長井さん。苗字で呼び合ってあんまり仲が良くないんじゃないかと、事情を知らん奴から聞かれることがたまにあるが、互いに名前嫌いを知ったうえでの行動だったりする。


「ならせっかくだ、知り合いのライブハウス連れてってやるよ。今日は俺も暇してるし」


 と、連れまわしたのが2か月ほど前のこと。


「んでな、結局学校側が解決せえへん言うんで転校することになってん」

「転校? どんだけ話しこじれちまってんだ?」

「なんでも、話し合いの最中に先生が泣きながらパパに殴りかかってきおったらしくて、パパの眼鏡おしゃかにしてもうて」

「おいおい暴力沙汰かよ」

「そいで『こんな学校には娘を置いてはおけません』ってよそに行くことになってん」


 というわけで細井さん長井さん夫婦は話し合い、よその学校に転校させることにしたらしい。


「んで、どこの学校行くかもう決まってんのか?」

「芝葦(しばよし)学園! Kちゃんやコハルとおそろいやで」

「芝葦かぁ~……長井さんも一緒か?」

「せやで」

「あそこ名門校だろ、細井さんは余裕だとして長井さんは勉強大丈夫か?」

「大丈夫じゃないです! でも大丈夫、落第したらお父さんの会社で働くので!」

「さっすが、未来の女社長w」


 と、二人の新たな門出を祝ったのが2週間前。

 そして現在。


「おっちゃああああああああん、

おっちゃんおっちゃんおっちゃん、おっちゃ~ん」

「おう、学校はどうだったよ」

「おっちゃん、部屋貸して部屋、オレら引越ししたい!」


 細井さんと、「おじゃまします」と今にもぶっ倒れそうな様子の長井さん。

 引っ越し? どういうこった?

 

「学校まで電車乗るやん、せやからおっちゃんとこからなら駅まで近いし楽できるんよ」

「あ~確かに。いいぜ、好きな部屋使えよ」

「やったー」「わーい」


 「ではさっそく」と適当な部屋の玄関を開ける2人。


「んぎゃーー! 締め切り、アイディア、カラーイラストォォォ!」


 ——パタン(扉を閉める音)

 ——ガチャ(扉を開ける音)


「んぎゃーー! 実写ドラマ、劇場版、ノベライズゥゥゥ!」


 ——パタン


「なんで陽太先生おるん?」

「担当から逃げてきたんだと、自室じゃ落ち着かないとかで」

「締め切りやばいんか?」

「さあ、でも大丈夫だろ、多分」


 再び別の玄関扉を開ける2人。

 今度こそ空き部屋だ。

 着替えや勉強道具は、すでに持ってきていた(準備いいなおい)。



 ――後日

「ていうことがあってさ」

「えーいいなぁ、楽しそう」


 ここは近所のカードショップ。

 コハルとの対戦中に、引っ越しの話になった。


「ねえねえ僕も行っていい?」

「やめとけよ、コハルは逆に遠くなんだろ」

「えー。じゃあ、おじさんの方からうちに来てよ、部活のコーチになってよ」

「コーチ? 野球かなんかか?」

「違うよ、カードゲーム開発部だよ」


 いわく、コハルは自分で部活を作ったが、部員がほとんど活動してくれないらしい。


「ね、おじさんなら実績あるし」

「そりゃ楽しそうだ。まあ仕事あるから、スケジュールと学校の都合さえあえばってところかな」

「そっかぁ、仕事かぁ」


 ここで、一旦コーチの話はお開きになった。

 後日、俺はコーチとして芝葦学園を訪れることになるのだが、それはまた別のお話で。



 続く


少しでも面白いと思っていただけたら、↓の☆で評価してもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。