過ちとは言えない遊び
高校一年の夏休み。午後に帰宅すると納屋に人影が見えた。
忍び込んで物陰から様子を見た。
男の尻が見えた。
女の喘ぎ声が聞こえた。
二つ年上の姉の声。
何をやっているのか想像できた。
姉の『女』の声を聞いたのは初めて。
男が尻を振るたびに姉は喘ぐ。
裸の男は見た事があるような無いような体格。
男が「ああっ」と叫んで果てる。
男のイキ声ってこんな風なんだ。
甲高い声に少し笑いたくなった。
ようやく見えた。
短髪で少し広い肩幅。
そうなんだ。
野球部の高木君なんだ。
セックスした後の裸の高木君。
言葉で言い表せないけど『男』だった。
股間の毛も縮んだ性器もはっきり見える。ショックより美しさを感じた。
姉が起き上がった。
裸で胸を露わにして髪を整える。
慣れた感じ。こんな事をするのは初めてじゃないんだ。
いつから付き合っていたの。
私は黙って納屋を出た。
姉と同じ高校に通っているから高木君の顔も知っている。
姉のセックスを見た私は戸惑った。
でも私よりも明るく綺麗な姉に彼氏がいるのは当然か。
別に秘密にしなくてもいいのに。親にチクる気はない。
自分の部屋に荷物を置いて居間でアイスを食べていると姉が帰って来た。
「おかえり」
気だるく言うと「あ、いたの」と姉が驚いた。
私は「うん」と答えてテレビを見た。実際には見ている振りをした。
「暑いね。シャワー浴びるわ」
姉は階段を上がって部屋に行くとすぐにバタバタと下りて浴室に入った。
「そりゃ、そうよね」
私は呟いた。
二人の交わりを思い出してなぜか笑いたくなる。
二人が納屋でやっていたのはその時だけ。
後はどこでやっていたのだろう。
二学期になって放課後にたまたま高木君と会った。
「こんにちは」
私が挨拶すると高木君は「ああ」と素っ気なく答えた。
「お姉ちゃんを待っているの?」
何気なく訊くと高木君は「えっ」と少し驚いて「いや」と答えた。
「一人で帰るの……ですか?」
馴れ馴れしく話すのもどうかと思ったので言葉を選んで話した。
「そうだけど」
「途中まで一緒に帰りますか?」
他人じゃない感覚で誘って一緒に帰った。
「お姉ちゃんのどこが好きですか?」
私が訊くと高木君はバレていると観念した。
「明るいところかな」
「体はどこが好きなんですか?」
軽く訊いたつもり。高木君は「えっ」と戸惑った。
「男子ってそういう事考えるのかなって」
言い過ぎたと思ってとぼけた。
彼は「ああ、まあ」と笑った。
しばらく黙って二人で歩いた。
小高い林の間の道を歩いているとふと思いついた。
「お姉ちゃんとどっちがいいか試さない?」
「えっ」
高木君は驚いた。
彼の股間を優しく撫でた。
「や、やめろよ」
「大丈夫。内緒にするから。もちろんお姉ちゃんと夏休みに納屋でやっていた事もね」
高木君は目を開いて驚いた。私には悪意はなかった。
「本当に内緒にするんだな」
「もちろん」
私は高木君を連れて林に入った。
丘の斜面の窪みで二人共服を脱いだ。
高木君が私の体に乗って腰を振った。
初めて味わう肌触り。
彼の肉棒が突く度に股間が痛かった。
「ああっ!」
高木君はすぐに声を上げて果てて外に出した。
「オナニーしている時もそんな声出しているの?」
「さあな」
高木君は気の抜けた表情で答えた。
もう恥ずかしい事はないといった顔。
私は性器をティッシュで拭いてあげた。
ティッシュで包むと性器がピクピクした。
「うん、うん……」
拭く度に小さく呻く。
「男子はこういう時は痛いの?」
「ちょっとな」
高木君は男の声になった。
「そうなんだ」
私は高木君の性器を咥えた。
「ちょ、ちょっと」
「いいじゃない。ちゃんと拭くから」
高木君の戸惑う声を無視して性器を咥えた。
さっき出したばかりだから小さく脈打つだけ。
股間で感じた大きさとは違う小さな生き物がピクピク動いていた。
目の前に生えている毛が不潔に見える。
口の中で大きくなる。
「出したくなったら言って」
咥えたまま言う。
「ああっ出る!」
また高い声。
すぐに口を離す。高木君は目の前でシコって出した。
地面に白い液が飛び散った。
「さっきより飛び散ったね」
私が言うと高木君は黙ってこちらを見た。
「拭いてあげる」
ティッシュで性器を拭いてあげた。
さっき拭いた時より硬さを感じなかった。
「どうしたいんだ。俺と付き合って欲しいのか」
「ううん。お姉ちゃんの彼氏がどんな体か興味があっただけ。お姉ちゃんをよろしくね」
笑って言うと高木君は怖がる目で私を見た。
帰宅して転んで服が汚れたと早めに入浴した。
口と股間を入念に洗った。少し粘りを感じた。
それから高木君は姉と週末にデート、平日は時々私と一緒に帰るけどさすがにフェラやセックスはきついので林の中で手コキした。
いつもの窪地。下半身は裸で、足を広げて座った彼の後ろから性器をいじる。
柔らかい睾丸をゆっくり触っていると硬い陰茎の先から透明な液が糸を引く。
陰茎を優しく擦る。
ワイシャツのボタンを外して手を入れて乳首を爪で擦ったり指でつまむ。
彼は荒い息と共に「んっ、んっ」と喉の底からオスの鳴き声を呻き上げて「ああっ!」と高い声を出して白い液を出して果てる──
林の中で響く高木君のイキ声が甲高い声で鳴く鳥みたいで心地いい。
頭の中で南国の極彩色の鳥を想像する。
ゆっくり縮む性器をティッシュで丁寧に拭いてまた硬くなってから繰り返し。
二回やったら終わり。
髪や首筋や粘る液──鼻の中で男の香りが染みる。
別に罪悪感はない。
こんな事をしなくても高木君はネットでエロい画像を見てシコっているだろう。
それが男子の日常だから。その日常をほんの少し私が手伝っているだけ。終わればこの粘りついた手を丁寧に洗えばいいだけ。
でもいつも同じ行為に飽きて私と高木君の秘め事は二学期の間だけで終わった。
寒くて外でする気もなくなったし。
翌年の春に姉と高木君は同じ大学に進学。
その後、私も卒業して都会の美容学校に通う為に引っ越した。
時は経ち、姉は高木君と結婚した。
私は滅多に実家に帰らず、二つ先の県にある美容院で働いていた。




