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それぞれの憂鬱※

皆学園生活エンジョイ出来るのか、心配です。

「はぁ~~」


 またいつもの繰り返し。いつも空回り。いつも結果は同じ。

 人気者になりたいと今日みたいに明るくすると、空回り。

 勉強すると、いろいろゴチャゴチャして結局中途半端。

 大人になろうとすると、良いように使われ疲れてまた中途半端。

 魔法を練習すると、魔力だけどてかく出るけど結果はまたまた中途半端。


 どうしたら良いんだ。


『いい子にしてて』

『大人しくしてろ』

『もう少し考えて行動して』

『魔力だけあるのに』


「分かってるよ。分かってるけど…」


 あ?何が分かってるんだ?俺って今までどうして来たっけ?




◇幼い頃のジン◇


「おとうさん!」 

「あん?あんまり騒ぐなよ。大人しくしてろ。おい聞いてるか?」

「5才の子に言っても分からないわよ」

「わかるよ!」

「「はぁ」」


「たくさんのきょうかしょ、たくさんのしょうせつ、いっぱいよむよ!」

「ほう。賢くなれよ。」

「まだ7才の子に多いわよ」

「がんばる!」


「まほう教えてください」

「魔力は有るな。でも、結局前買った本読まなかったし、今回も続くか?」

「まだ10才よ魔法は危ないわ。この子じっとしてないし。」

「だいじょうぶ!」

「「…はあ」」


「お父さん!剣術「無理無理」おし…え」「お母さん料理「危ないわ」を…」


 

 沢山の期待に応えようと奮闘して居た幼い頃、とにかく頑張ってきたが認められる事は遂に無かった。


「…ああ。人が喜ぶ事してたんだ。あと何があるかな?役に立ちそうなサバイバルの本でも読もう!」


 分かるような分からないような…薬草か…なら魔法薬の本にも有るよな!


 魔力が要るのか魔力精度なら昔からやってるし…よし練習だ!


 結構体力要るな!体力作りしないとな…剣術でもやるか。


「お父さん、お母さん認めてくれるかな?俺の事いらないなんて言わないよな?」


『何やっても駄目な子』

『平凡か隣の子の方が出来が良いな』


『『こんな子供は望んでない』』

 嫌だ嫌だ!誰にでも好かれるやつになるんだ!


「そのためなら何だってやってやる」



◇◇◇◇◇




「今日は大変だったわ…」


 道中器用に寝てしまう翼をたたき起こして、ついたら即不思議な魔力を感じて、何故だかその魔力の持ち主に声掛ける不思議な行動を取る翼。


「…あの魔力は」


 身に覚えの有る魔力。


「翼には適わないわね。あんなに離れて居たのに…」


 有り得ないほど魔力や気配に敏感な翼。アヤメにとって、一番強い存在。一生適わない相手。

 そして、大切な家族。


「私のわがままを聞いてくれた恩人」


 たまに感じる。自分の不甲斐なさ。天才の言葉に感じる、違和感。


「私では無い。天才なのは、私なんかでは決して有り得無い」


 私が天才ならば、翼は何なのだろう?


「…疲れたわ。そろそろ寝ましょう」


 目を閉じて、意識を失うまでの短い時間に巡る回想。

 確信を得て、満足感を感じながら意識を手放した。





◇◇◇◇◇




『2人は強い!お前たちには期待している。必ず会得しろ。』


 あいつ等が、アヤメと私を比べながら、失われた古代魔法を自分の物とするために、私達の感情を無視し続け、“人”として見てなかった事に私達は幼い頃に気付いていた。

 毎日、起きたら修行三昧。

 遊びは禁止。


 私達“白”が付く名字には意味が有る。代々、魔法に秀でた者を国に売って名を馳せた“白凰家”。

 絶対に期待に裏切らない実力を身に付け、軍事力として売って来た一族の分家だ。私達の家は一番血筋が薄く、権力も弱かったため、互いに手を取り合い協力して来た。



 そこに、私達が産まれた。

 産まれてしまった。

 周りは欲に駆られた。私達に才能があったから。でも私の場合は“異常”だった。

 アヤメは喜ばれた。

 私は恐れられた。


 だからと言って気にしなかった。アヤメが居たから。姉妹のように育った。



 でも、ある時知った私達の運命を



『もう少し成長したら、ヤらせよう』

『ああ、そうしよう』

『決めよう、どちらかに』

『2人はいらない、生き神は』

『生き神?ただの人形だろ。』

『ああ、そうだ。

そのためにやるんだ』


『『『殺し会いを』』』




 自分の鼓動が大きくなった気がした




◇◇◇◇◇





「…またか、またあの夢か」


 あの後、あれは中止になった。

 白凰家が気付いたのだ。


 あれからだ、私が力を隠すようになったのは。

 アヤメは隠していなかったけど。アヤメは期待に応えようとしていたけど。

 あいつらは気付いてなかった。それだけが幸いだった。

 だから白凰家に殺されずにすんだ。


 私だけでなく、“私達”が“異常”だったのだ。

 当たり前なんだけど。




 元々、普通では無いのだから…




「アホらしい。今は家から離れたんだ。白鳳家に好きにしろと言われたし。結局白鳳家も見抜けなかったんだし。見抜いてたら鎖で繋がれてるもの。させないけどね…」


バタンッ


「翼っ!」

「どうした~?」

「夢見たから…」

「うん…私も~」

「そう…今更よね。アホらしい」

「まあね~」

「あのさ、いつから?あれ」

「…幼い頃から~」

「適わないわね。あなたには絶対」


 クスクス笑うアヤメ、のんびりくつろぐ翼。幼い頃からの信頼で、素直に話せる唯一無二の存在。


「あの子にも、感謝しないとね」

「そうだね~でも調子に乗るかな~」

 私達の側で、いつも見方になってくれた大切な仲間であり…





【本来絶対人間に従わぬ筈の者】




である彼らに…


「さあ、行きましょう」 

「分かてるよ~」

「いやいや、枕要らないから」

「要るの~ふかふかなの~」

「また寝る気?」


 カバンに枕を詰め込む翼に、呆れ顔で眺めるアヤメ。この2人の壮絶な過去を想像出来る者は居ないだろう。




◇◇◇◇◇





 僕が出来る事はみんな出来る。みんなが出来る事は僕は出来ない。


「ああ……………そうだね君達は僕だけ見えるね。………諦めないよ。僕は夢が有るんだ。……そんなに知りたい?良いよ…君達の事をもっと世界に知って欲しくてね、本が書きたいんだ!」


 君達は凄い!みんなには見えないけど、頑張って自然を守ってる。大精霊様は合ったこと無いけど、凄いんだろうな~。

 精霊は不思議だ。何も食べない飲まない。そして触れない。

 魔力で生きてて、魔力で何でもやれる。花を咲かせたり、水を綺麗にしたり。

 小さい時から見てるけど分からないな。よく観察してたな~。




◇幼い頃のラング◇


「またか!何で出来ないんだ!荷物運ぶだけだろう!」

「ごめんなさい。でもあそこに精霊が居て置けない」

「嘘つくな精霊なんか居ないぞ!いつもいつもぶつぶつ一人で気味が悪い!」

 

「ちゃんと聞いてますか?ラング君!」

「ごめんなさい。先生あそこに」

「何かあるの?あら?あの花?さっき咲いてたかしら?」

「精霊がね…」

「ラング君、精霊は普通見えないのよ。みんなの常識よ。嘘は駄目よ。分かるでしょう?」


「何で水をこぼしたんだい!一生懸命汲んだ水だよ!」

「ごめんなさい、母さん。精霊が水が必要だって…」

「意味分からないわよ。居ないじゃないかい。勘弁してくれ。妹だってしないよ。7才なのに。」



◇◇◇◇◇




「………みんな何でせかせか、自分の事ばかり何だろね……………うん。君達は僕の言う事信じてくれるから好きだよ。……ありがと」 


 僕は精霊と話すのが好きだな~。嘘付かないし、親切だし。


 僕は人間とは合わないのかな…他に精霊見える人居るのかな………。

 居たらいいな…。




◇◇◇◇◇




 兄は人気者だった。俺はおまけだった。両親は違うって言ってたけど。


「その両親はもう居ない…」




◇幼い頃のムウ◇



「おいムウ!」

「なに?兄さん」

「広場でみんな集まってるけど来るか?」

「うん」


「ムウも来たのか?おまえいつも兄貴にくっ付いてんな。」

「良いだろ。ムウだけ置いてきぼりは駄目だろ!俺の弟だし!」

「まあな」


「おーい」

「何?」

「なんだムウか。兄貴は?」

「出かけてる」 

「そうか、あいつは頼りになるからと思ったんだけどなぁ。」


「母さん、父さん。俺頼りない?兄貴の方が明るいし、頼りになるし、強いし。でも何で、期待に応える必要が有るのか分からない」

「ムウ、私はかわいい息子を比べたりしない。ムウだって頼りになるよ。いい子だよ。ちょっと感情表現が苦手なだけだよ」

「そうだ。ムウ、母さんの言う通りだ。お前はお前だ。大切な息子だよ。」

「…ありがとう」



「大変だ魔物が!魔物が!」

「ムウ、ここで待ってろ」

「兄さん…」

「いい子にしてろ。すぐ帰ってくる。」

「父さん…」

「今はお兄ちゃんとお父さんしか戦えないのよ…村人は怪我人だらけで…ムウ近くに居て頂戴ね…」

「母さん…」


「あの子もアナタもどうして逝ってしまったの…」

「魔物が多いから守れんかった。すまん。遺体もみんな…」

「おじさん、魔物はまだ居るの?」

「ああ…今総出で…」

「逃げろ!」

「あっ!」

「ムウ危ないっ!」


 飛び散った赤い液体。のしかかる母の体。母の体から突き出た爪。落ちた誰かの体の一部。


「か…かあさ…ん…そんな!母さん!」


 魔物の最後の抵抗だった。


「何で庇ってやられてるんだ!なんとかならないのか!?」

「おじさん?」

「……くそ!」

「おじさん!」 

「…ああ、ムウか。…どうした?」

「母さんは?」

「…手遅れだ」

「嘘だ!何で何で俺だけ!」

「しょうがないだろ。お前しか残ってないんだ!」

「嫌だ俺も!」

「バカやろ!お前は生きろ!」

「おまえさんは兄貴によう似とる。兄貴に似て立派になるぞ!生きるんだよ!」


「ああああああああ―――」


「死人みたいだな」

「ああ…手が着けられん」

「あいつが居たら…」

「あいつ?」

「兄貴だよ…」

「ああ…」


「どうにか持ち直したかい。学園から便りが来てるよ。行ってみなよ」

「…分かった」

「行ってこい!体に気を付けろよ!」 

(やっとホッとできる)コソコソ

(良かったね)ボソボソ


(聞こえてるよ)ボソッ



◇◇◇◇◇


「ちっ!医者も俺を避けやがって!学園だって変わらないだろ。俺の魔力は…」


 人に死の恐怖を呼び覚ますんだ…


「だいたい、何で人の為に生きる必要が有るんだ?何の意味が有る?」


 ムウには、積極的に人に関わる必要性が分からなかった。必要ならば、その時やればいいのに、主張する意味が分からなかった。


「…一人居たな。いや二人。」


 学園で初めて出会った、自らの魔力に気付いて尚怯えない人間。


「…シラハネ…シラギ…」

いろいろ背負った子達です

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