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現実は常に過酷

この小説シリアスばっかりだよね…

 校長、エリナ先生、ジン、ラング、ムウ謁見が終わって直ぐには学園に戻った。

 アヤメ、ツバサは故郷に一旦戻り、家族の墓参りをして、〈トウゴク〉の現状を見守る事にした。

 王家の裏事情は、白凰家の恐怖と支配から逃れた民衆のお祭り騒ぎでうやむやになった。

 この国の民は祭が好きで、かなり盛大な馬鹿騒ぎになり、国が混乱状態と化し、騎士団が総出で抑えて、ようやく収まった位、盛大だった。

 校長、エリナ先生、〈レジェンド〉の皆は英雄扱いになり、アヤメとツバサは困惑して居た。


「結局、皆武力で言えなかっただけで、怒り浸透だったんだね~」

「魔法師も正式に役職として、登録されたし、良かったわ。」

「建国当時は~人形さんが国々からの侵略から守ってたから、必要だっただけで~今は必要無いしね~」

「むしろ、要らないと烙印が押されて、偏狭の地に居た魔法師の方が、強かったしね。」

「自我は必要なんだよ~」

「当たり前よね。」


 2人は、王家が知らなかった実験施設を潰して回った。

 その際、魔法師達が活躍した。

 魔物相手に自衛していた分、経験も結束もかなりの物だった。

 因みに、キレたツバサが〈無情の槍〉をぶっ放し、その威力は壮絶な物だった…町が一つ消えた程に…


「もうぶっ放さないでよ…」

「約束はしかねる~皆人形さんしか居なかったし~民に被害は無かったから良いじゃん!」 

「あのねそう言う問題じゃないわよ…」

「そろそろ学園に戻ろう~」

「話そらさない!」


 アヤメの説教を長々と聞き流しながら、2人は学園に向けて出発した。




☆☆☆☆☆


「よう!お帰り!」

「「ジン、どうしたの…」」


 帰って来た2人が見たのは、壁に突き刺さったジンの姿だった。


「エリナ先生が、クラスのお祭り騒ぎにキレてジンを蹴り飛ばしたんだ。」


 ムウの話によると、クラスの全員が授業を放棄し、英雄話に盛り上がった為、放置されたエリナ先生がキレて、近くに居たジンを凄い脚力で蹴り飛ばしたらしい。

 エリナ先生は足技が得意らしい…。


「そう。ご愁傷様。」

「頑張って抜け出して~」 

「いやいや助けてよ!抜けないんだよ!てか体中痛いんだよ!」


 見かねたムウが、乱暴に引き抜いた。


「いでで!足取れるだろ!」

「知らん。…取れれば良いだろ。少しは静かになる。」

「ひでー!」


 そこに、エリナ先生がいらっしゃいました。ものすごい笑顔で。


「お帰り☆早速だけど対抗戦が明日なんだけど、どうする?」

「「「「「辞退します!」」」」」

「だよね☆また厄介な事になったわ…」


 だって、もう戦いたくないし。


「後、実技テストが来週です!アヤメちゃんとツバサちゃんは免除されました。受からないと、夏休みに地獄の特訓です☆」

「「「何だと!?」」」

 

「やった~のんびり見守ってるね~」 

「頑張ってね。」

「レベルに合わせた魔物を用意しますから、倒せば合格です☆」

「「「師匠、特訓お願いします!死にたく有りません!」」」

「分かった~いつの間に師匠になったんだろ?」

「随分前からよ。」




☆☆☆☆☆


 校長から所持権を奪い取った、第三グランドに集まった〈レジェンド〉。

 訓練の為に、既に戦闘体制になって居る。


「やる気だね~」

「夏休みは大切だからな!」

「師匠の特訓に気合いが入ります!」

「………精霊もやる気いっぱい。」

「ムウ、口調変わった~?」

「師匠ですから!」

 

(どこから突っ込めば良いの~!?)


 ツバサは困惑しながら、双剣を構えて気を引き締める。 


 空気が変わる。

 無表情に力量を分析する。

 アヤメもレイピアを構える。


「ジン、一度私の技の真似事したよね~?あれは、ジンには無理だよ。」

「何で?」

「あれは、上空に空気の壁を作り、地面から跳躍、上空の壁に両足を付け、蹴り上げ、急降下して威力をあげてるの~」


 ツバサは上空に空気の壁を作り、飛び乗った。


「見えないでしょう?風と空間の合成魔法なの~空間魔法は古代魔法だから、使えないよね~」


 ツバサ、アヤメは生まれながらに、古代魔法が使える。かなり稀なケースである。 


 更に、合成魔法は難易度があがる為に、使いこなすには、魔法をちゃんと理解しておかなければならない。 


 想像力に依存する魔法は、理解不足だと暴走するか、不発に終わる。


「アヤメも使えるけど~あまりやらないよね~」

「私は素早さ特化だから、力に頼らないからね。」

「ジンは火の魔法が得意でしょ?」

「ああ。と言うより、火以外苦手で使えない。」

「なら、大剣に炎を纏わせて~」


 言われた通りに、大剣に炎を纏わせたジンに、ツバサは疑問を抱く。


「あれ?ジン、魔力操作が上手いね~練習したのかな~?」

「ああ。昔からやってる!」

「なら、他にも使い道が有るね~」

 


 ツバサは自身の周りに、炎の蛇を作り、操る。螺旋を描いたり、空中で踊らせたり、いきなり飛ばしたり。 

 

ジンは咄嗟によけて、イメージを固め始めた。


「魔力で、炎の動きを操作するの~感覚を掴めば上手く、形作れる。手足みたいに操作出来るよ~」

「うむむ…おう!何か形が変わった!ああ分かった!」

「それ、練習してて~」

「分かった!ああやり過ぎた!」


 ジンの炎がはぜた。

 衝撃で飛ばされたが、大丈夫だろう。


「ラングは精霊に頼り過ぎね。ツバサ、魔力の調整を徹底的に教えた方が良いわ。」

「そうだね~ラング、自分の身長と同じ高さの盾を1人で作って。大丈夫、精霊無しで出来るはずだから~」

 


 ラングは苦労しながら盾を作るが、不安定な形になる。

 作り直して居るが、大きさがバラバラになってしまう。


「分かる?今まで精霊が魔力の調整をしてたの~だけどそれだと、精霊も調整に手一杯になるから、戦いに向かないの。本来精霊は、魔法の威力を上げてくれる存在だから、ラングが魔力調整出来る様になれば、もっと魔法の威力が上がるの~。」

「……分かった頑張る。………精霊達もありがとう…」


 ラングは精霊と訓練を始める。


「ムウは、実戦の経験を積むこと~ムウ、あなたの魔力が闇に染まったのは、感情によるもの。感情に染まる魔力は珍しいわ~つまり、自分の過去に蹴りをつけなさい!一人で無理なら周りに頼れば良い!」


  ツバサがムウに斬り掛かる。

 ムウ、刀で受けるが力負けして飛ばされた。


「迷いが有るね~何故かは聞かない。でもそれは邪魔。無心になりなさい!魔力の色が透明になるまで、魔法は使うな!アヤメ、連続的に斬り掛かって!」

「分かった!」

「魔力が闇のままなら、闇魔法しか使いこなせ無いし~思考、精神も闇に飲み込まれるよ。そのまま中級レベルの魔法使ったら廃人になるよ~」

「っ!分かりました…」


 感情に染まる魔力は、純粋すぎる証であり、それが染まるのは、その人物の精神が正常じゃない証となる。 

 精神が恨みに捕らわれたら、闇に。

 怒りに捕らわれたら、炎に。

 悲しみに捕らわれたら、氷に。 

 他の感情には、魔力は染まらない。だから危険な状態を表す、目安になる。

 ムウは恨みに捕らわれてる。

 普段は見せない、激情。


(かなり色が濃いから、それだけの恨みを持つ過去だろうね~………早く気付いて、もう仲間が居るから、辛ければ頼れば良い。過去より今を見て!)


 ツバサ、アヤメは始めから分かって居た。

 強さを求めるのは、復讐の為だと…




☆☆☆☆☆


 夜まで訓練をした後、皆寮に戻っていった。

 ムウは私室で考える。


(バレていた…当たり前か。あの2人は言った『私達も使える』と…つまり、今は乗り越えて居る。2人の魔力に乱れは無い。あんな過去が有るのに…)


 ムウには信じられなかった。

 2人の過去があんなに暗いと、思えない程に、綺麗な魔力だったから。

 闇魔法が使えると言っても、少し人生がこじれただけだと、思った。


(どうやって乗り越えて来たんだ?2人だからか?だが、そんなに生易しい過去じゃなかった…)


「俺は、自分が憎いだけだ…家族が守れない、弱い自分が…だから魔物を倒せる程強くなりたかった。」


(過去の自分に復讐したいだけだ…)


「魔物に復讐したいと自分を納得させてただけじゃないか…」


 


(駄目だな…俺は…)

‐違う!‐

(誰だ?どこから?テレパシーに似ているが違うな…)

‐そなたのそばに、ずっと居る‐

(誰だ!出てこい!)

‐良かろう‐


 ムウの目の前に、人の身の丈程ある、紫色の体の鳥が現れた。鶏冠の先、長い尾の先に向けて白くなっている。額に見る角度により色が変わる宝石がある。目は深紅。嘴は薄い黄色。


「神獣か?」

「そうだ。今だ呼ばれなんだ故。こちらから声をかけた。」

「いつから、俺のそばに居た?」

「生まれてからずっと居る。」

「何故出て来なかった?」

「神獣は呼ばれなければ、姿が現せぬ。魂に寄り添う存在だ、呼ばれぬのに現れては、世界に影響がでる。本来なら、世界の秩序を守る存在故に安易に力は震えぬ。」

「なら、どうやって気付くんだ?」

「大概は気付かぬ。感覚が鋭い者は直ぐに見破るがな。」

「そうなのか…何の為にそばに居る?」

「その者の魂が気に入ったからよ。神獣が人の魂に惹かれるなど、稀だがな。」

「そうか。」

「校長と、あの2人は気付いておったみたいだがな…」

「アヤメとツバサか?」

「うむ。あの者達は賢い。そなたに言わなんだのは、そなたが力を求めるからだ」

「何故いけない?」

「分かっとらんの。只力が有れば良いのではない。明確な意志が必要なのだ。意志なき力は、只自分を傷つけるだけだ。」

「なら、どうしたら良い?」 

「もう分かっていよう。そなたの為にそなたの意志で今を生きよ。その為に力は有る。過去には戻れぬ。前を見よ、もうそなたは一人では無し、仲間が居よう?」

「自分が分からぬ。」

「ならば、仲間と共に探せ。一人では分からずとも、皆となら分かるだろう。この間、自分の意志で皆と戦った様に…」

「!!!」

「何か有れば呼べ。いつも側にいる。」

「名は?」

「神獣に名は無い。」

「………スピネル。」

「む?それが名か?」

「色んな種類の色が有る宝石の名だ、よく似合う。」

「くくく。気に入った。」


 そう言って、神獣…〈スピネル〉は消え去った。


「今から…探そう。」


 


 ムウは前を向いて呟いた…




☆☆☆☆☆


「あっという間に試験当日だね~」

「一週間なんてあっという間。皆大丈夫かしら?」

 


 3人を見やる。



★試験会場★


 今、時間を止める魔法が欲しいと、ジン、ラング、ムウは切に願った。


「制御は形になった…はず」

「………調整は出来る…と思う」

「師匠、玉砕覚悟で行きます。」


 一週間、ひたすら訓練をしたが、全く自信がない3人。


「おーい!!試験始まってますよ!!☆」


 チームで受ける試験だが、アヤメとツバサが規格外な為除外。

 3人で挑む魔物は、ハイウルフ。

 ウルフ系の定番。Cランク。風魔法を使う。二メートル程の体躯。

 


グルル


「敵さんやる気だ!」 


ガウッ


 とりあえず、様子見でラングの盾で防いで居るが、ものすごく怖い。

 何故なら…


『一週間エサやってません☆』


 と言う事で目が血走って居る。

 エリナ先生、アヤメ、ツバサは遠くから、見守って居る。


「先生酷くない?」

「………今更」

「斬り捨てる!」

「あ!ムウ待てヤバいって!」


 ムウ斬り掛かる。

 ハイウルフは爪で止める。

 ジン大剣を叩きつける。


「マジ?傷浅いぜ!力貯めたのに!」


 かなり鈍い音をたてたが、かすり傷程度の浅い傷。

 どうやら、体毛が硬いらしい。


「風の大鎌!」

 


 ラングの風魔法がハイウルフに迫るが、弾かれた。


「………ええ!?」

「おらっ!」

「はっ!」


 


 ジン、ムウ両側から斬り掛かる。


バウッ


 突然風の塊が飛んできた。

 咄嗟に避けた2人。


グルルッ!


 牙が迫るがラングが盾で防いだ。

 無詠唱の為、不完全。

 凄くに破られ、ラングにハイウルフが狙いを定める。

 ジン大剣で気を引き付ける。


「ジン!時間を稼げ!」

「分かった!」


 なにやら、思い付いたらしいムウはラングに話しかける。


「あいつの口が開いたら、固定出来ないか?」

「!刀が通らなきゃいけないよね…風玉を撃ち込んでみる。」

「分かった!隙が有れば十分だ!」 


 ムウ斬り掛かる。

 目論見に気付いたジンは、挑発的に大剣で叩く。


グッガァ


「飛び込め風玉」

 


 ハイウルフが吠えた瞬間、口の中に、風玉が入り込んで暴れる。

 たまらず、大口を開けるハイウルフ。


「はぁ!」


ザクッ


 ハイウルフの口内に刀を差し込んだムウ。

 深々と刺さり、頭部から先端が僅かに突き出た。

 ハイウルフが暴れ飛ばされたが、ジンが受け止めた。

 ハイウルフが倒れ込んだ。

 ムウ、刀を口内から引き裂きながら抜く。

 最後の抵抗に暴れ出したハイウルフに突き飛ばされるジンとムウ。


「風よ包み込め!」 


 ラングの魔法で受け止められた。

 ハイウルフは暫く、痙攣していたが事切れた。




☆☆☆☆☆


「おめでとう☆合格!☆」

「もう少し、早く弱点に気付いて欲しいね~結構分かりやすい筈だし~」

「ツバサ辛口ね…初めて3人だけで戦ったから及第点じゃない?」

「ん~…」


 どうやら納得行かないらしいツバサに、ジンが抗議する。


「いやいや、手一杯だから!最初は皆そんなに上手く行かないって!」

「そうなの~?」

「師匠、そうなのって師匠の初陣はどうだったんですか?」


 ムウはツバサの言葉に疑問を抱いたらしい。

 ラングも聞き逃すまいと、身を乗り出す。

 ジンも気になるらしく黙った。 


「たしか~ウルフの群れに、身一つで放り込まれて~死ぬ気で戦った。」

「ツバサも?私もそうだったわ。」


 


 どうやら物凄く、過酷な初陣だったらしい…。


「んな!?どうやって生き抜いたんだ!」

「……………凄く過酷」

「師匠流石です…」


 皆驚き、固まった。エリナ先生も固まった。


「普通じゃないの~?」

「知らなかった…あれ普通だと思ってた。」


 どうやら普通だと思って居た2人。


「死に物狂いで、魔法ぶっ放して~その辺の気の棒で叩き付けて…あ!キレて、雷を突き落として、体当たりして気付いたら自分傷だらけで~周りは全滅してた。10匹位居たような気がする~」 

「私も10匹位居て、覚えたての闘技と魔法でなんとか対処して、限界が来て……爆炎で焼き尽くしてから記憶が無いわ。」

「因みにいくつの時?☆」


 たまらずエリナ先生が質問する。


「「9歳」」


 場が凍り付きました。


「俺まだまだだな…」

「………ハイウルフ一匹で良かった」

「師匠…凄すぎます!」

「2人にはお遊びみたいな物ね…」


 皆遠い目になったのは言うまでもない…

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