84話 番外編Ⅵ ~あの日、私が失ったもの~
今から2年と少し前。
私が13歳の時の、忌まわしき出来事。
「お母さん~、早く早く~! おじちゃん達が行っちゃうよ?」
「まだ、大丈夫だから急かさないで~」
今日はお母さんとよく一緒に行く南側のお花畑より、更に南東側に行った所に行くんだ~。
近所のおじさんが簡易の馬車で素材の採取に行くと聞いて、一緒に連れて行ってもらう事になったの。 私とお母さんはお弁当などを持って、おじさんの所に行った。
一緒に行くのはおじさんと息子の二人、そして私とお母さんの計5人。
「おじちゃん、準備できたよ~」
「ああ、じゃあ行くぞ」
「は~い!」
簡易の馬車だから狭いけど、私は荷台のところで寝転がっていた。
「ユイ~、こっち(座席)においでよ?」
「こっちの方が楽しいからいいよ」
「もう、ユイは本当にお転婆ね」
馬車に揺られて4時間ほどで目的の場所に到着した。
見渡す限りの花や、見た事のない草木がたくさんあった。
「うわ~、凄~い!」
「ユイ~、あんまり遠くに行っちゃだめだよ~」
「1時間ほどしたら街に戻るからね~」
「は~い」
おじさんたちは手分けして採取作業をし、お母さんは馬車で休憩中。
私も趣味の染色に使えそうなお花等をたくさん採取した。
でもちょっと、はしゃぎ過ぎたのと、強い日差しで疲れちゃった。
「暑いよ~、疲れたよ~」
私は馬車に戻ったけど、日影があまりなかった。
「こんなに暑いのにユイは走り過ぎよ~。ちゃんとお水を飲んでおきなさい」
「は~い」
水分を取ってから荷台に寝転がったけど、やっぱり暑かった。
「日差しが暑いよ~」
私はゴソゴソと移動をして、椅子の下の**「収納スペース」**に潜り込んだ。
狭いけれど、直射日光が当たらない分、ひんやりとしている。
「そんな所に入っても蒸し暑いだけでしょ?」
「え? 結構涼しいよ?」
「でも出発する時には危ないから出てこないと駄目よ?」
「うん」
しばらくまどろんでいると、おじちゃん達が慌てて駆け込んできた。
足音が荒い。ただ事じゃない雰囲気だ。
「急げ! 出るぞ~!」
「ユイちゃんはどこだ?」
「下の収納スペースにいますよ」
「じゃあ、直ぐに出る。 ユイちゃんはそのまま、そこにいて!」
「いったい、どうしたのですか?」
「盗賊じゃ」
「あきらかにこっちに向かって来ておった」
「あいつらは馬を持っていないから、荷台は捨てて速度重視で行く」
「少し揺れるが我慢してくれ」
「ええ、わかりました」
おじさんは慌てて馬車を反転させて走り出した。
ガタガタと激しい揺れが私を襲う。怖い。
「オヤジ!」
「何だ?」
「前方にも盗賊が!」
「何だって!?」
「どうする?」
「おかしい、前方の方が多くないか?」
「ここに盗賊がいる事自体がおかしい、あいつらは北側の山脈が根城のはずだ!」
「ここはもう強硬突破するしかない」
「わかった」
おじさん達が採取用のクワや鎌、棒を手に持った気配がした。
でも、そんな農具でどうにかなる相手じゃないことは、子供の私でもわかった。
ヒュンッ、ヒュンッ! ドスッ!!
嫌な音がして、馬のいななきが聞こえた。
もう少しで馬と前方の盗賊が接触する寸前で、両横から多くの矢が飛んできたのだ。
そして馬が動けなくなり、馬車は強制的に止められてしまった。
読んでいただきありがとうございます。
基本は一週間ごとに更新するつもりです。
ただ状況によってはきりのいい所まで連発で投げるかもです。
また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。
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