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戦極結承 ◇◇ ~バッドエンドへ向かう少女の物語~  作者: 空斬しゅう


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202/215

202話 ギルドの憂鬱と、ワケありの依頼

今日は突然予定が空いてしまって、正真正銘の暇人になっちゃったから、一人でオーディスの街をブラブラと散策していた。

活気ある市場の喧騒を抜け、当てもなく歩いていたはずなんだけど、気がつけばいつの間にか冒険者ギルドの前に辿り着いていた。

無意識のうちに足を運んでしまうなんて、これって冒険者の悲しい性ってやつかな?

まあ、いいや。せっかくここまで来たんだし、ついでに受付の椿さんにでも挨拶して行こう。


ギルドの重い木製の扉をギイッと開けると、むせ返るような熱気と、革や酒の入り混じった独特の匂いが鼻を突く。

同時に、昼間からたむろしている暑苦しい男たちの視線を一斉に浴びた。

相変わらずむさ苦しい空間だけど、そんなの綺麗さっぱり無視して、私はカウンターの奥に椿さんの姿を探す。

だけど、私が探し出すよりも早く、椿さんの方が私を見つけてパァッと顔を輝かせた。



「あ、ユイさーん!」



椿さんは受付カウンターから身を乗り出すようにしてぶんぶんと手を振ると、私の方へ小走りで駆け寄って来た。


あの、椿さん? 受付に並んでた冒険者たちが、突然放置されてめっちゃこっち見てるんですけど?



「こんにちは、椿さん。今日はちょっと顔を出しただけだから、お仕事に戻ってもらって大丈夫ですよ?」


「大丈夫です! 受付ぐらい他の子がしてくれますから。それに、私はユイさんの専属担当なのです!」


「そ、そうですか? でも皆見てますよ?」


「気にしないでください! ここではアレですから、奥の部屋に行きましょう」


「う、うん」



私は男たちのジトッとした視線を背中に浴びながら、椿さんにドナドナされるようにギルドの奥にある応接室へと連行された。

そこで最近の近況なんかを色々と話しているうちに、気が付けば一時間ほどが経っていた。



「それじゃあ、ユイさんは今日は特に用事は無いのですか?」


「うん。さっきも言った通り、今日は正真正銘の暇人だよ?ブルーナも視察しに商会に行っちゃったし」



私の返事を聞いて、椿さんは何かを企むように少し考える仕草をした後、真剣な表情で口を開いた。



「それでは、一つ依頼を受けてもらえませんか?」


「依頼?」


「はい。実は商業ギルドから回ってきている依頼なんですけど、条件が厳しすぎて受けてくれる人がいなくて困っているんです」


「誰も受けないの? 冒険者なんて山ほどいるのに?」


「はい。依頼の条件を満たせる人が全くいないんですよ」


「それ、私でも大丈夫なの?」


「ユイさんなら適任だと思います! 以前お話した時に、昔は自然の中が遊び場だったって言ってましたよね? 木や岩も余裕で登れると」


「うん、得意だよ! 木登りなんて得意中の得意だもん。こればっかりはマニカにも負ける気がしないよ」


「それもあって、ユイさんならこの依頼をこなせるんじゃないかと思ったんです。ただ、今回登るのは木じゃなくて『岩』なんですけど……」



そう言って、椿さんは一枚の羊皮紙をテーブルの上に差し出した。



【依頼内容】

希少薬草採取へ向かうパーティーの護衛


【場所】

ヘリーカの山頂付近


【条件】


基本的に崖を登るルートだが、途中で垂直の崖を約10メートル登る箇所があるため、岩登り(クライミング)ができる者。


岩登り中、上空から鳥の魔獣が襲って来る可能性があるため、魔法使いであることが望ましい。



「これって要するに、岩登りができる身軽な魔法使いがいないってこと?」


「そうなんです。しかも、ただ登るだけじゃありません。途中で片手で岩にしがみつきながら、空いた手で魔法を詠唱して迎撃しないといけないんですよ? 正直、そんな曲芸みたいな真似ができる魔法使いなんていません! 商業ギルドに文句を言いたいくらいです!」


「ふーん。うん、面白そう。いいよ、受ける」


「え!? ほ、本当にですか? 私から振っておいてアレですけど、かなり危険ですよ?」


「本格的な岩登りってのはやった事がないけど、垂直な崖を30メートルくらいなら遊びで登った事があるから、多分大丈夫かな?」


「それは凄いですね? 普通は岩登りが得意な冒険者でも、せいぜい10メートルくらいが限界なのに」


「そうかな? それに私なら、魔法を撃つのにわざわざ手を離す必要も無いしね。無詠唱だから」


「あっ、そうでした! ただ、ヘリーカの山頂付近まで登るなら相当な体力もいりますし、風もかなり強いみたいですが、本当に大丈夫ですか?」


「大丈夫だと思うよ? 前にお母さんに『危ないから降りてきなさい』ってこっぴどく怒られて途中でやめちゃったけど、まだまだ上まで登る体力も自信もあったし」


「そ、そうなんですね。それでは、お願いしてもいいですか?」


「うん、任せて」


「ありがとうございます! 助かります!」



こうして正式に依頼を受けた私は、一時間後に商業ギルドへ行ってほしいと椿さんに頼まれた。

了承した私は、一度宿に戻って山登りの準備をしてから向かう事にした。

いつも読んでいただきありがとうございます。

私事で大変申し訳ありませんが、今後の投稿(更新)間隔に関する予定を活動報告に記載しておきます。


また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。


最後に投稿へのモチベーションを維持する為にも、コメントや評価、ブックマークをして頂けると執筆を続ける励みになりますので、どうぞよろしくお願いします。

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