190話 契約と、奴隷の覚悟
私達は契約の為に応接室に通された。
そこで全額お支払を済ませて契約書にサインをした。
「ありがとうね、お陰で助かったわ」
「ああ、役にたてたなら良かったよ」
「しかし大丈夫なのか? 過去最高額だぞ?」
「うん、まあ、お金には困ってないから」
「それは凄いな・・」
「後は奴隷と主従契約をするだけだから、先に帰ってるぞ?」
「うん、わかった。ありがとう」
クレイノスが出ていって、しばらくすると奴隷を連れて店員が部屋に入ってきた。
「こんにちわ、私が購入者のユイです」
うわ~、近くで見ると一段と可愛さが増すね。
確かに美少女だ。
「この度は私を買って頂きありがとうございます」
「年齢は15歳です。以前の名前はデメテルですが、ご主人様の好きな名前でお呼び下さい」
「契約内容も理解しています。今日までの半年間、教育を受けてきた事をいかせる様に頑張りますので、よろしくお願いいたします」
「え? 教育?」
「はい、そうです」
「でも、ご安心下さい。実技は必要最低限の接触のみでしたので。基本的に全てが初になります」
そう言ってデメテルは半年前からの教育内容(性的な奉仕の心得など)を教えてくれた。
「うん、わかった。それでも大変だった事は伝わって来たよ。よく頑張ったね」
「え? いえ、その・・はい。ありがとうございます」
「奴隷になっても心を折らずに努力したのは凄い事だよ」
「・・いえ、心は折れかけたのですが、私には投げ出す道など無かったのです」
デメテルはそう言って、当時の事を話し出した。
友達と一緒に奴隷として売られて、初めて奴隷商会に来た日の事。
自分は早々に特別商品としてオークションにかけられる事になったけど、買取り先はほぼ貴族だと言う事だったので何も知らなかった私は喜んでいた。
でも、先輩達の話を聞くうちに、それが悲惨な場所だと知る様になった。
人としての扱いは無く、完全なオモチャとして扱われるらしい。
また自殺率が高い事と、何とか耐えて契約期間の満了を迎えても生涯妊娠出来ない身体になっているだろうとの事だった。
私は自分の境遇を悲観し毎日泣き続けていたけど、自殺する事も許されなかった。
それは、売られた奴隷が2年以内に自殺をするとペナルティが発生して、売った家(家族)が多額の違約金を払わないといけないから。
それは絶対に避けないといけなかった。
私一人が耐えれば、弟と妹達は成人するまで金銭的な心配はしなくて済む。
だからこそ、私は奴隷に墜ちる事を了承したのにペナルティが発生すれば、それもわからなくなる。
だから私の道はこれしかないのだと。
「もう大丈夫だからね?」
私はデメテルを抱き締めた。
「あ、あの・・」
「私はあなたを性奴隷になんかしないから」
「え!?」
「私の家で家事全般を住み込みでしてもらうメイドさんだから」
「で、でも、あんなに高額なお支払をされたのに・・」
「お金の事は気にしなくていいよ」
「今回、私がデメテルを買った理由は、ライラが自分だけ恵まれた環境にいて、あなたが悲惨な境遇にいるであろうと泣いていたから、助けてあげたいと思ったの」
「ライラ!?」
「ライラも家で働いてもらっているのよ」
そして、私はライラ達と同じ契約内容を伝えると、デメテルは目を見開いて固まってしまった。
「こ、これだと私はユイ様に恩をお返しする事が出来ません」
「返さなくていいよ。仕事さえちゃんとしてくれればね」
「でも・・」
押し問答が続きそうだったから、チャチャっと奴隷契約を済ませて、デメテルの首筋の後ろには奴隷を表す魔法の刻印が表われた。
「本当に・・ありがとうございます。ユイ様」
ちなみに、この前、奴隷の契約した時に、奴隷と契約する為の魔道具をこっそり調べたから、私も契約魔法を使える様になっていた。
「さあ、行こう」
「はい!」
ん? デメテルの私を見るこの眼・・ どこかで見た記憶が。
・・・・・・ あ!
出会った当初のブルーナと一緒だ!
あの、憧れた者を見る**【あの眼(信者の眼)】**だ。
「デメテル?」
「はい!」(キラキラ)
「いや、普通にしてね?」
「はい?」
「まあ、取りあえず宿を探そう」
「はい」
いや、デメテル? そこは頬を染める所じゃないからね?
そして、しばらく歩いて治安のいい場所の宿を取って部屋に入った。
ちなみに、話ながら歩いているうちにブルーナと勘違いして手を繋いでしまった事と、デメテルが嬉しそうにしながら頬を染めた事は秘密ね。
「今日はここで泊まっててくれる?」
「明日、迎えに来るから、サプライズで皆に紹介したいの」
「・・ユイ様は一緒に泊まられないのですか?」
ぐっ! 美少女の上目使いの、この表情と仕草は反則過ぎる。
「ごめんね、私はまだこの後も用事があるの」
「そうでしたか、失礼しました」
「後、これを渡しておくから必要な物は適当に購入しておいて?」
私はデメテルにお金を渡した。
「奴隷の子って、自分の生活用品とかあまり持っていないみたいだしね」
「こ、こんなに・・」
「いいから」
「じゃあ、明日迎えに来るからね」
「わかりました。ありがとうございます」
そして、私は一人で自宅に戻った。
いつも読んでいただきありがとうございます。
次週から【完全版】の更新のみになりますので、こちらはしばらくお休みになります。
尚、今後の投稿(更新)間隔に関する予定を活動報告に記載しておきます。
また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。
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