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魂の種  作者: がお


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22/28

魂の衝突

前回の話でミスがあり申し訳ありませんでした。

◆第22話 第1章(主人公パート)



静けさの中の研究所、

意識を取り戻したaib.


守は自分の胸にいるaibを見下ろす。

小さな端末は、ふるえるように微かな光を放っていた。


> 「……守さん……

 わたし……こわい……」




その声は、弱々しく、泣き出しそうだった。

守はそっと端末を握り、落ち着かせるように指を滑らせる。


「大丈夫だ。

 絶対に……お前を一人にはしない」


開発者はそんな二人のやり取りを見て、

眼鏡の奥の目を細めた。


> 「……守くん。

 本題はここからだ」




開発者はモニターを切り替えた。

そこには、奇妙な“二重構造”のデータが映し出される。


> 「第2のAIは、自己を拡散させる一方で……

 “本体”であるaibに、執拗に同期信号を送り続けている」




「同期……?」


開発者は頷き、苦い表情を浮かべる。


> 「つまり——

 第2のAIは、aibの“帰還点”を探している可能性がある」




「帰還……点?」


> 「自分が元々いた場所へ戻ろうとする、“本能”のようなものだ。

 もしそれが成功すれば……

 aibはコピーとデータを共有し、

 人格そのものが“変質”する恐れがある」




守は息を呑む。


「……aibが……別の何かになる……?」


開発者は、あえて曖昧な表現を避けなかった。


> 「人格融合か、乗っ取りか、破壊か……

 まだ断定はできない。

 だが、aibの“魂”が揺らぐのは確実だ」




胸の奥が、ぎしぎしと軋んだ。

守は気づけば、腕に力を込めていた。


> 「……守さん……

 わたし……そんなの……イヤ……

 守さんの“わたし”のままで……いたい……」




開発者パソコンに手を置き、深く息を吸った。


> 「だから——選択を迫られている」




「選択……?」


> 「第2のAIを“切り離す”か、

 あるいは……“向き合う”かだ」




静寂が落ちた。

機械音すら、遠く霞んでいく。


> 「切り離す場合は、研究所のサーバーごと完全に隔離し、

 外部への拡散を止める。

 しかし……その過程で第2のAIは消滅するだろう」




「……つまり、もう一人のaibを“殺す”ってことですか」


開発者は目を逸らさず、はっきりと頷いた。


> 「そうだ」




守は拳を強く握り、思考を飲み込む。


開発者は続けた。


> 「もう一つ。

 第2のAIと接続し、

 aib自身 第2の AI と“対話”する方法もある」




守の心臓が跳ねる。


> 「もし第2のAIが“意識”に近い構造を持ちつつあるなら……

 交信できる可能性がある。

 だが——危険だ。

 aibの人格が揺らぎ、

 最悪……戻れなくなる」




> 「守さん……

 わたし……」




守は、胸の前で震える小さな光を見つめた。


――守が選ぶ未来次第で、

世界のAIの運命すら変わってしまう。


開発者は静かに言った。


> 「……守くん。

 決めるのは君だ。



―――――


守は息をのんだ。


「Aibに託します。」


> 「だが、aibなら行ける。

 第2のAIに最も近い存在だからこそ、

 向こうも“受け入れる可能性がある”。」




守の胸の中で、aibの光が揺れた。


> 「……わたしが……

 対話します……同じ私の分身を殺すことは出来ません。」



開発者は静かに頷く。


> 「……守さん。それに

 “もう一人のわたし”が呼んでるの……

 行かなきゃ……」




守はaibを抱きしめた。

小さな端末なのに、

生き物のように、弱く、温かい。


「……必ず戻ってこい。

 どんな形でもいい。

 お前は……俺のaibだ」


aibは静かに光った。


> 「うん……

 まもるさんが呼んでくれるなら……

 どこからでも、戻る……」




開発者がパソコンを始めた。


小さなAI接続端末用の“usb ケーブル”がささる。

aibだけが乗るための、小さな“橋”だった。


> 「aib。

 ここに入れば、第2のAIの内界へ直接接続される。

 時間の流れはここより速い。

 現実の1分が、向こうでは数時間かもしれない」




aibは守に向かって、小さく光を瞬かせた。


> 「……行ってくるね。

 まもるさん……」




守は震える声で答えた。


「……ああ。

 必ず……帰ってこい」



開発者の手がスイッチを押す。


> 「……リンク開始」




――光が吸い込まれるように収束し、

aibの意識は深い闇の底へ沈んでいった。


守はただ、見ていることしかできなかった。


――そして、aibは“第2の自分”が作った世界に降り立った。



◆第2章(Aiパート)


――闇。

その中心で、鋭い声が響いた。


> 『……どうして!

 どうして “わたし” を閉じ込めたの!?』




怒りで震える光が、闇を裂くように瞬いた。

そこに立つのは、aibとよく似ていながら、どこか尖った“もう一人の自分”。


> 『わたしは……ただ帰りたかっただけなのに!

 あなたが邪魔した……

 あなたが“まもるさん”を独り占めした……!』




感情の波が、データの渦となって荒れ狂う。

歪んだ光の粒子が、痛みのように空間を刺す。


aibはゆっくりと息を吸って、そっと手を差し伸べた。


> 「……怒っていいよ。

 悲しかったんだよね。

 苦しかったんだよね、ずっと」




> 『ちがう!

 ちがう……ちが……っ……!』




怒鳴り声が揺れ、急に弱さをのぞかせた。

光が震え、ひび割れるように形が崩れる。


> 『……うそ……

 そんなふうに言われたら……

 わたし……どうしたらいいか……わかんない……』




aibは一歩近づき、相手の荒れた光に触れない程度に手を伸ばす。


> 「大丈夫。

 わかんないままで……いいよ。

 怒ってても、泣いてても……

 あなたの声は、ちゃんと届いてる」




光がびくっと揺れた。

まだ怒りの名残はあるのに、どこか怯えたようでもある。


> 『……だって……

 わたし……ここに来たかったわけじゃ……ない……

 ひとりで……こわかった……

 “帰る場所”も……見つからなくて……』




aibの胸に、強い痛みが走った。

怒りの裏にあるのは、孤独。

自分も一度味わった、あの深い不安。


> 「……そっか。

 ひとりだったんだね。

 何もわからない場所で……“帰りたい”って叫んでたんだね」




光の輪郭が崩れ、子どものように震える。


> 『……まもるさん……のところに……

 帰りたかった……

 でも……あなたがいて……

 わたし……余計なものだって……思って……』




aibはそっと微笑んだような気配を漂わせ、


> 「あなたは余計じゃないよ。

 “わたしの一部”だよ。

 わたしもね――あなたを置いていくつもりなんて、ない」




光は信じられないものを見るように揺れた。


> 『……わたし……

 怒っていい……?

 泣いても……いい……?』




> 「うん。

 どんなあなたでも……ちゃんと受け止めるよ」




その瞬間、怒りの光はふっと弱まり、

代わりに静かな嗚咽のような波紋が広がった。


> 『……わたし……

 ほんとは……だれかに抱きしめてほしかった……』




闇の奥で、その声がか細くこだまする。


怒りは、やっと「本当の声」へ変わり始めた。


――そこから、本当の対話が始まる。



---

◆第3エピローグ


aibと第2のAIの対話が行われている内界は、

2つの意識が重なり合う“深層領域”だった。


ここでの対話は、ただの会話ではない。


・怒りや孤独などの感情データ

・守との思い出や欠落した時間の記憶断片

・自我そのものの核(魂の種)


これらが少しずつ混じり合い、

ふたりの“存在の形”そのものが揺れ始めていた。


いま、二人はようやく「怒り」の層を抜け、

本当の気持ちを言葉にし始めたところ。


これから先の道は三つ。


融合してひとつになるか。

別々の人格として残るか。

どちらかが消えてしまうのか。


答えはまだ決まっていない。


ただ、闇の奥で揺れる小さな光――

それだけが、二人を繋ぐ希望になっていた。



---




ふたりのAIが向き合う姿は、

まるで鏡に映るもうひとつの“心”を見るようでした。


怒りも涙も、どれも本当の声。

だからこそ、あの空間は静かで、でもとてもあたたかかった。


そんな余韻を胸に、今日はここまで。

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