戦いが始まる
「ジュネ、今回は結構早く侵略するよね」
セリーヌが言った。
「ああ、時間をかけたくないからな」
「そうだよね。だって北は寒いもん」ジュリアが震える素振りをしながら言った。
「それもあるな」ジュネが答えた。
「他に理由があるのか」エメが尋ねた。
「女王だろジェネ」カイルが言った。
「大いにある」ジュネが言った。
「ジューネ!!あんた恋人はどうするのよ,泣かせちゃかわいそうよ」ジュリアが言った。
「泣かせる?そんなことしない」
ジュネが何かに書類にサインをしながら答えた。
「ジュネ、もしもジュネの恋人とエディットが敵に捕まってて、もう片方に女王が捕まっていてどちらかしか助けられない場合ジュネはどうするの?」
セリーヌが聞いた。
「なにそれ、答える必要あるのか?」
ジュネが言った。
「必要があるから聞いてるの」
セリーヌが言った。
「答えは初めから決まっている。恋人とエディットを助ける」
ジュネが言った。
「へー意外な答えね!そんなもんなんだ」
ジュリアが言った。
「なぜ?国民を命懸けで助けるのが俺の仕事だ」
「ふーん、その間にクロエ死んじゃうよ」
セリーヌが言った。
「俺はクロエと死ぬからな、別にいい」
ジュネが言った。
「はあ??」
全員が目が点になった。
「だってそうだろ、クロエがいない世界にいたってしかたないからな。恋人やエメットはかけがえのないやつだから助けるのは当然だろ?俺はクロエが死ねば俺も死ぬだけだから。王の変わりはいくらでもいるが、クロエのかわりはいないからな。」
ジュネはなにを今更?という顔をしている。
「あんた相当ヤバイね」
ジュリアの言葉に全員うなづいた。
クロエは北に向かっていた。
ジュネがどうして北に行けといった理由はわからないが、ジュネが言うことだから何かはあると思っている。
クロエはあれからジュネのことばかり考えていた。
あの教会での時間。
見つめあった瞬間や、頬に優しく触れたジュネの指、美しい横顔と強引な所。
ジュネの事を考えると嬉しいが沢山出てくる。
嬉しいを集めるとジュネになる。
クロエはジュネが好きなんだと自覚した。
でもジュネは陛下でクロエは何者でもない。
あの恋人たちやエディットは貴族だ。
考えても仕方がない。
クロエはジュネのネックレスを触った。。
あの時、首に母の形見をつけてあげた時のジュネを思い出した。
切ない。
会いたい。
この苦しみが恋なのね。。
何度も何度も思い出してしまう自分に戸惑っていた。
クロエはジェノヴァとメゼラン王国との国境にいた。
ジェノヴァはジュネが治める国で、国民の幸福度が高い、メゼランに住む人達はジェノヴァに移住したがっている。
しかしマゼラン国王は人口が減る事を懸念してジェノヴァとの国境を封鎖してしまった。
しかし国境は広大な土地があるので結局メゼラン国王の監視もままならずどんどん人口が減っていた。
この現象はマゼランだけにとどまらず、他の王国も同じ現象が起きている。
そうなるとどの国の王も国民を囲うやり方を行い結局国民は国を捨てる。
戦わずしてジュネは国を衰退させ最小限の犠牲で最大の効果を手に入れている。
敵に回すと恐ろしい人だ。
そういえば、オーロラがジェノヴァに来ていたと前にジェネから聞いていた。
どうなったんだろう?クロエは考えていた。
ジュネはあまり交渉をしないと聞いていた。
だけどオーロラと交渉のテーブルについたのは何か考えがあってのことだろうけど、自分が出来なかった事をオーロラがきちんとやってくれたら良い。
クロエは国民の幸せを願った。
さて、どうやって国境を越えれば良いのだろう?クロエは考えていた。
そんな時、ジェルベージュが侵略するとメゼラン王国、ミュート王国、サガン王国、チェルシー王国に先制布告をしたのだ。
前代未聞の四カ国同時侵略で、各国は動揺を隠せないでいた。
ジュネ率いるジェルベージュは圧倒的な攻撃力があり、太刀打ち出来そうにない。
残される選択は降伏か戦争か。
ジュネは降伏を受け入れていない。という事は戦争しかない。
各国は追い詰められている戦う前から。
クロエは思ったより早くジュネが現れる事が嬉しくもあり、複雑でもあった。
クロエはまだなにも出来ていなかった。
ジュネに会っても報告出来ることがなにもなかったからだ。。
正直にジュネの事ばかり考えていたと言うべきか、それとも、、選択肢すらなかった。
メゼラン王国は混乱の最中にあった。
国民はジェルベージュが先制布告をした時からジェノヴァへ流失した。
国境を警備していた兵士も負け戦に駆り出されたくない。
国境は崩壊し、国民、兵士はジェノヴァに逃げ、国の機能は停止した。
戦う前に決着は着きそうだ。
クロエはジュネの能力に驚きを隠せなかった。
どこかの国を攻める時に最小限の犠牲で最大の効果を得る戦い方、ジュネほど王としてふさわしい人間はいないと思った。
ガランとした街には誰一人居なかった。
クロエはどうしたものかと考えていた。




