女王違い
クロエは「村長が私が女王だったとご存知とは驚きました。」と言った。
村長は「あ、、いえ、その」と焦っている。
見ている妻や村人は不思議そうな顔をしている。
「私クロエは以前ある国の女王でして、罪人となり国を追われた時にジュネ様に助けて頂きました。」と話をした。
「まあ、あなた女王様の顔を知っていたのね」
村長は焦りながらいった。
「あ、ああ、女王様はゆ,有名だったからな」と言いながら冷や汗を拭いていた。
「と,ところでご用件は?何でございましょうか」とクロエに聞いてきた。
「村長の様子がおかしいと皆心配しております。体にあざができるほどのお遊びなどは程々にし、お仕事にご専念くださいませ。」
クロエは無表情で言った。
「は、はい!!!必ずや懸命に働く事をお約束致します!この命に変えても!!」と約束してくれた。
「恐らく村長は多くのプレッシャーもあって息抜きが必要だったのでしょう、皆さま許して上げて下さいね。」
クロエは妻と村人に言った。
皆は「女王様ってすごい!」と思ってくれたようだ。
村長も、クロエが本物の女王だったと知らなかったので色んな意味で驚いて、もう腰が抜けていた。
「ところで女王様はどちらへ行かれるのでしょうか?」と村長に聞かれた。
「陛下が作ったダムを見に行こうと思っています。」クロエは答えた。
村長は「私がお送りいたします」と言って荷台がついた馬を連れてきた。
村長の隣に座り、妻と村人に挨拶をしダムに向かった。
クロエは黙っていた。
この村長が馬に鞭をうっている姿を見ながら人には色々な趣味?があるのだと思っていた。
村長は無表情で隣に座る女王に震えていた。
この人を怒らせたら例の性癖がバラされると思うと不安になりながらも得体の知れぬ高揚感も感じていた。
この女王様が本物の女王様だったことも彼の気持ちを加速させた。
鞭を握る手が震えている。
クロエはその震える手を見ていた。
突然村長がクロエに鞭を渡し、
「ちょっと疲れてしまったので馬に鞭を入れていただいて構いませんか?」と頼んできた。
クロエはああ、それで手が震えていたのね、、と思い、馬に鞭を入れた。
村長は黙って見ていた。山の中腹に来た時に大きなダムが見えた。
ここからは歩いて行こう、そう思い村長にお礼を言って馬を降りた。
村長はクロエに土下座をして、
「最後の思い出に打ってくださいませ!!女王様」と言ってきた。
クロエはドン引きをした。
それでもクロエにしがみつき懇願する村長があまりにしつこいので鞭を持って「お下がりなさい!」と威嚇した。
その言葉を聞いた村長の顔をクロエは生涯忘れられないと思った。
この世の幸福が全て舞い降りたような顔だった。
クロエはさらにドン引きし、走って逃げた。
人間の奥深さを知った。
クロエは山を登ってダムの近くに来た。
ダムを警備する兵士が沢山いた。水源は全ての生き物の生命に直結する。
何者かが毒を入れたら恐ろしいことになる。だから水源は兵士が守っている。
クロエは兵士に話しかけた。
「いつもこの水源をお守りくださって感謝いたします。」
兵士は驚いた顔をしたがとても嬉しそうに「我らが陛下のために尽くすのみです」といって誇らしげに笑っていた。
ジュネは本当に良い王だと思った。
ダムの端に座って太陽に光る湖面を見ていた。
それはとても美しく穏やかでクロエの心を癒やしてくれる輝きだった。
ずっとこのダムを見ていたいと思った。
数日後、山を降りて陛下に手紙を書いた。麦畑のこと、鞭の村長の事、素晴らしいダムの事。
「ジュネ様クロエからお手紙が届いております」
ジュネはクロエが手紙を書いてくれた事を喜んだ。
その手紙を読んで死ぬほど笑った。
こんなに面白い手紙はなかなか無いと思い、ジュリア,エメ,カイル、セリーヌにも見せた。
全員がぶっ飛んだ。
あの鞭の村長との最後のやりとりに至っては完璧だと思わざるを得なかった。
「あーー女王が恋しい!!!!」
ジュリアはこのぶっ飛んだ女王に会いたくなった。
「確かに、会いたいな」エメが言った。
「事件が起きるぞ」カイルが言った。
「事件を望んでしまうわね」セリーヌも言った。
「ジュネは?」ジュリアが言った。
「我ら愛しい女王に会いにいくか!会いに行くついでに国も一つもらうか!」
「イイね!」
全員の意見が一致してジェルベージュは戦いに向けて準備を始めた。




