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とある生徒会長の本音は日誌だけが知っている  作者: 『黒狗』の優樹
紅壱たちは、危険度が一つ上がるエリアに向かう。
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第四百六十六話 教頼(He can ask me to teach him.) 輔一は、ゴブリンたちにも、自分が使えない技を教えて欲しい、と頼める。

川原で遭遇したハイブルーリザードマン族と戦う事になった紅壱と輔一。

もっとも、実力は圧倒的に、紅壱らの方が上だったので、それは戦闘と呼べるものではなく、紅壱らからすれば、新技を試してみるのに、ちょうど良い相手と機会だった。

得意としている流水属性の魔術を、簡単に封殺され、屈辱的な敗北を喫したハイブルーリザードウーマン。

体力と魔力を回復して貰った彼女は、紅壱に謝罪する事を決意する。

一方で、輔一とハイブルーリザードマンの戦いも、すでに決着が付いていた。

 上位ハイ青皮ブルー雌蜥蜴魔リザードウーマンが、上位ハイ陰邪ダーク妖精フェアリーたちに付き添われながら、自分たちにゆっくりと近づいて来るのを感じながら、紅壱は輔一を労う。


 「お疲れさん、輔一」


 「Thank you very mach,My king.(ありがとうございます、我が王)」


 プスプスと、青い鱗に覆われている全身から、焦げ臭い白煙を立ち昇らせている上位ハイ青皮ブルー蜥蜴頭魔リザードマンを地面へ放り投げた輔一は、紅壱がかけてくれた言葉に対し、誇らしげに頭を下げる。

 そうして、頭を上げた輔一は、あちらで、気持ちを落ち着かせる為か、上位ハイ陰邪ダーク妖精フェアリーから受け取ったスポーツドリンクを喉を鳴らしながら飲んでいる上位ハイ青皮ブルー雌蜥蜴魔リザードウーマンを一瞥する。

 それは、全力を尽くし切った敗者の姿だ、と判断した輔一は再び、頭を下げ、今度は自分から紅壱の勝利に祝いの言葉を口にする。


 「Congratulations on your victory.(勝利、おめでとうございます)」


 「おぅ、ありがとさん」


 くすぐったそうに笑った後、紅壱は輔一との戦いに惨敗したらしい上位ハイ青皮ブルー蜥蜴頭魔リザードマンを見つめる。


 「殺しちゃいないみたいだな」


 輔一の電撃は、思いっきり喰らったようで小刻みに痙攣しているが、息はちゃんとあった。

 もちろん、この上位ハイ青皮ブルー蜥蜴頭魔リザードマンが輔一の電撃に耐えられるほど強いのではなく、単に輔一が手加減したから死んでいないだけなのを、紅壱はちゃんと見抜いている。


 「It’s hassle to kill.(殺せば面倒ですから)」


 輔一の意見に、紅壱らは苦笑いを漏らしながらも、同意するように頷き返す。

 強大グレーター雌大鬼オーガナの一団に属している雌大鬼オーガナ大鬼オーガ達を助けたのに、ここで、上位ハイ青皮ブルー蜥蜴頭魔リザードマン達を殺してしまうと、強大グレーター雌大鬼オーガナの味方をするつもりか、と勘違いされかねない。

 喧嘩を売ってきたのなら、どちらの陣営だろうと、遠慮なく叩き潰して、二度と歯向かえなくなるようにするが、わざわざ、自分たちから平穏な日常を壊すような愚行は犯したくない。

 奥歯を折るほどの平手打ちを返すのは、相手がこちらの頬を打つ素振りを見せてからだ、と紅壱が決めているので、吾武一らも、基本的な行動指針として取り入れていた。

 「で、このアオトカゲは強かったのか、輔一」と奥一に聞かれた輔一はやや言葉を選ぶように悩んだ後、「sosoまぁまぁでした.」と無難な答えを返す。

 紅壱に副村長を任されている輔一に、まぁまぁの強さ、と評価されるのであれば、このエリアで生きていけるだけの実力者である事が証明される。

 なので、今回は、ただただ、喧嘩を売った相手が悪すぎた、としかフォローのしようがない。


 「どのような戦いになったのですか?」


 興味津々な弧慕一に聞かれ、輔一は詳細を語りだそうとしたが、それに「待った」をかけたのは紅壱だった。


 「輔一」


 「What?(何でしょうか?)」


 「お前さえ良けりゃ、新しい術を試したいんだが」


 「Please give it a try(どうぞ、試してください)」


 輔一が快諾してくれたので、紅壱はイメージをマナミに伝え、明光属性の魔術として構築してもらう。


 「記憶メモリー投影プロジェクション


 紅壱が、その場に傅いた輔一の頭部へ左手を翳し、魔術を使うと、前に出した右手から光が発せられ、空中に広がった真っ白な靄に輔一の記憶が鮮明な映像となって投影される。

 丁度、輔一がこの場を離れ、上位ハイ青皮ブルー蜥蜴頭魔リザードマンが彼を追い、対峙した頃らしい。

 「おぉ」と、吾武一らは驚きの声を発する。


 「輔一と、そのハイブルーリザードマンの戦いの記憶だけを読み取った。

 これなら、輔一も自分の戦いをしっかり、客観的に振り返れるだろ」


 「Thank you very mach.(ありがとうございます)」


 「じゃ、見るか」


 紅壱の言葉に頷き返した吾武一らはライバルの戦いから多くを学ぼうと気概を滾らせ、輔一自身も反省点を見つけよう、と映像に集中する。



 「おい、スケルトン、俺と一対一で闘おうとするなんて、見所があるじゃねぇか」


 輔一としては、紅壱の戦いを邪魔させないように、上位ハイ青皮ブルー蜥蜴頭魔リザードマンをあの場から離しただけだったのだが、妙な勘違いを訂正するのも面倒だったので、スルーしておく事にした。

 上位ハイ青皮ブルー蜥蜴頭魔リザードマンは、輔一が無反応なのにムッとしながらも、ここで平常心を乱していたら、勝てる戦いも勝てない、と焦る己を落ち着かせる。

 いつもであれば、血気盛んな上位ハイ青皮ブルー蜥蜴頭魔リザードマンは頭に血が上り、勢い任せの攻撃に出ていただろう。

 並大抵の相手ならば、その勢いで流れを自分の方に引き寄せ、そのまま勝てる。

 先ほどの豚頭魔オーク相手の無双も、ほぼ勢いで押し切ったようなものだった。

 そんな彼だからこそ、輔一相手には冷静さを失ったら勝てない、と判断を下せた。

 当魔は戦いの真っ最中だから、全く気付いていないだろうが、彼の性格と戦闘スタイルを知っている仲間達が見たら、ビックリするに違いない。

 肌がひりつくほどの戦闘だからこそ、男を一気に脱皮させるものだ。

 輔一は、上位ハイ青皮ブルー蜥蜴頭魔リザードマンが自分に戦いのペースを渡すまい、と出方を窺っている事を察し、思案する。

 自分から攻めてもいいが、今回は戦いを変えてみよう、と輔一は決め、以前から、対紅壱で温めて置いた技を、今、目の前にいる上位ハイ青皮ブルー蜥蜴頭魔リザードマン相手に試す事にした。

 初対面の相手を練習相手に遠慮なくする辺りは、主従だなぁ、と呆れるべきだろうか。

 傍目からは解かり辛かったが、強者であるがゆえに、上位ハイ青皮ブルー蜥蜴頭魔リザードマンは輔一の雰囲気に変化が生じたのに気付けた。


 (いや、あえて、気取らせたのか?)


 その疑いを抱けるのであれば、やはり、彼の実力は低くないようだ。

 上位ハイ青皮ブルー蜥蜴頭魔リザードマンは輔一の本来の職業ジョブが、騎馬兵ライダーである事も勘付いていた。

 だからと言って、油断もしていなかった。

 愛馬に乗っていないから勝てる、と驕ったら、自分の敗色は濃厚になる、と直感した上位ハイ青皮ブルー蜥蜴頭魔リザードマンは観察に徹する。

 騎馬兵ライダー職業ジョブを獲得しているのであれば、槍兵ランサー職業ジョブを持っていても不思議じゃない、と考えたのは、青皮ブルー蜥蜴頭魔リザードマン族にも騎馬兵ライダーがおり、その者が槍兵ランサー職業ジョブも持っていたからだ。

 と言っても、青皮ブルー蜥蜴頭魔リザードマン族の騎馬兵ライダーが騎乗するのは、馬は馬でも、水棲悪馬ケルピーで、なおかつ、装備している武器も、槍ではなく、銛だ。


 (ケルピーに乗っていなくても、副長の銛捌きはエゲつないからな)


 騎馬兵ライダー職業ジョブを持っている強者を馬から下ろしても、そう簡単には有利にならない事を経験から知っていた上位ハイ青皮ブルー蜥蜴頭魔リザードマンは、ジッと輔一の動きを注視する。

 輔一も、上位ハイ青皮ブルー蜥蜴頭魔リザードマンの一挙一動に集中しつつ、左手首に装備している、槍と同じく真っ白い小円サークル軽盾シールドを軽く上下させた。

 絶対、と断言するのは危険だが、突進槍ランスの扱いからして、槍兵ランサー職業ジョブは確実に持っている。

 同職の相手だからやり辛い、なんて事は決してないにしろ、実力が計り知れない相手である以上は迂闊に攻められない。

 そう考えていたにも関わらず、上位ハイ青皮ブルー蜥蜴頭魔リザードマンは何故か、自分から攻撃を仕掛けてしまった。


 「!?」


 輔一が動くのを焦れずに待つ、と決めていたにも関わらず、何故、自分は今、動いてしまっているのか、と上位ハイ青皮ブルー蜥蜴頭魔リザードマンは輔一に突っ込んでいきながら、心中では激しく混乱していた。


 (コイツ、「敵意誘発プロヴォーキング」を使えるのか!?)


 どうして、自分が先に攻撃に出てしまったのか、上位ハイ青皮ブルー蜥蜴頭魔リザードマンは輔一の間合いに足を踏み込んだ瞬間に、その答えを理解する。

 もし、彼が口に出して、「『敵意誘発プロヴォーキング』を俺に使ったのか!?」と聞いていたら、きっと、輔一は「That’s right.(その通りです)」と返した事だろう。

 「敵意誘発プロヴォーキング」もしくは「挑発プロヴォーク」は盾兵シールダーの基本スキルだ。

 自らが装備している盾に魔力を込めながら動かす、または、表面を叩く事で、相手に自分を攻撃させる効果が発動する。

 そんなスキルに、何の意味があるのか、と思う者もいるだろう。

 意味はちゃんとある。

 むしろ、戦闘を有利に運ぶ上で、このスキルの熟練度が大事になってくる、と断言したっていいくらいだ。

 「挑発プロヴォーク」を受けた相手の感情は荒ぶる。

 つまり、冷静ではいられなくなるのだ。

 冷静でいてこそ、日頃から研鑽している技の精度は維持でき、最高の攻撃力を発揮できる。

 なので、「挑発プロヴォーク」を受けてしまった敵が繰り出す攻撃は、最高のものではない。

 もちろん、感情の乱れは力のリミッターを外す事でもあるから、破壊力が上がってはいる。

 その攻撃を真正面から受け止められる体幹の強さ、また、攻撃を巧みに逸らす盾の扱いが、盾兵シールダーには求められていた。

 だが、盾兵シールダーに何よりも大事なのは、ハートだ。

 「挑発プロヴォーク」は、自分を強制的に憎ませ、敵意の乗った攻撃を己だけに集中させる魔術だ。

 言うまでもないが、怖い。

 そんな状態でも、決して怯まない心の強さがあってこそ、相手の攻撃を盾で受け続け、仲間に攻撃のチャンスを掴ませる事が出来る。

 献身の精神、それが盾兵シールダーに大事な要素なのだ。

 輔一は、この「敵意誘発プロヴォーキング」を、盾兵シールダー職業ジョブを獲得した小鬼ゴブリン豚頭魔オークから教わっていたのである。

 訓練の最中に、副村長の輔一から、「Would you please tell me?(教えていただけますか?)」と頼まれた小鬼ゴブリン達は相当に緊張しただろう。

 吾武一には技の練度、奥一には単純なパワー、弧慕一には魔力量で、自分は劣っている事を正確に実感していた輔一は職業ジョブを獲得する事で習得できる様々なスキルを増やす事で、他の三匹と肩を並べよう、と決めていた。

 言うは易く行うは難しだが、輔一は努力で、この戦闘スタイルを紅壱と質の高い模擬戦を繰り広げられるほどのレベルまで形にしている。

 吾武一らは、輔一のそんな貪欲な姿勢と努力家の一面を心から尊敬し、己にも厳しい鍛錬を課していた。

 副村長達の切磋琢磨っぷりに、村魔たちも刺激を受け、トレーニングに手を抜かず、個魔の能力を上げ、連携にも磨きをかけていく。

 紅壱、と言うより、マナミの目論見通り、アルシエルは着実に強大さを備えつつあった。

 専門職には及ばないにしろ、輔一の「敵意誘発プロヴォーキング」も十分な熟練度に達しているので、大抵の相手には、通用するようになっていた。

 何より、この上位ハイ青皮ブルー蜥蜴頭魔リザードマンが元々、直情的な戦士である事も大きかったのだろう。

 自分では待ちに徹するつもりでいても、闘争心の根底には、自分からガンガン攻めたい気持ちが疼いていた。

 当魔も気付かない内に我慢の限界を迎えそうになっていたところに、輔一が「敵意誘発プロヴォーキング」を使ったのだ、攻撃を仕掛けてしまうのも無理はなかった。

 むしろ、「敵意誘発プロヴォーキング」を使われた、と気付けるくらいの冷静さを取り戻せただけ、大したものだろう。

 ここまで、自分から接近してしまった以上、動きを止めるのも、後ろに下がるのも、危険だ、と直感する上位ハイ青皮ブルー蜥蜴頭魔リザードマン

 となれば、もう、このまま、攻撃するしかない。


 (そもそも、ジッと待つなんて俺の性に合ってなかったぜ!!)


 まだ、「敵意誘発プロヴォーキング」の影響を受けているようだったが、上位ハイ青皮ブルー蜥蜴頭魔リザードマンは気にもしない。

 いつものように、自分らしく、相手を負かすまで攻撃すればいい、そんな単純さが彼の強みだ。

 上位ハイ青皮ブルー蜥蜴頭魔リザードマンが繰り出したのは、槍兵ランサーの攻撃スキルの一つである、「乱れ突き」だった。

 連続突きと比べると正確さに欠ける技だが、元々、大雑把な彼には、こちらの方が向いていた。

 実際、彼が「乱れ突き」と「連続突き」の両方を順番に使うと、「乱れ突き」の方が明らかに破壊力があった。

惨敗しただけでなく、命まで救われてしまっては、もはや、必死に謝って助命を請うしかない、とハイブルーリザードウーマンは腹を括っていた。

彼女が決死の表情で、こちらに近付いてきている事を察しつつ、紅壱はハイブルーリザードマンを倒してきた輔一を労い、勝利を讃える。

喜びを隠さず、礼を告げる輔一だが、やはり、力の差がありすぎる相手だったからか、満足感は少ないようだった。

そんな輔一の記憶を映像化し、紅壱らは、彼とハイブルーリザードマンの戦いを見直す事にする。

名無しの相手にも、技を教えて欲しい、と頭を下げられる輔一は、いかにして、ハイブルーリザードマンをぶっ倒したのか?

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