23話:平和は一瞬
私が恐怖で立ち尽くしていると、親御さんの子供がなっちゃんと一緒に複数人やってきた。
「お母さんどうしたの??」
「え、いや、その……」
「んー??遙ちゃん、何があったか知ってる??」
「あ……彩芽が、また、噂を流そうと……」
そういうと親御さんの子供たちは一瞬で強張った顔になる。私は終わったと思い、思わず俯く。そしてポロポロと涙がこぼれ落ちる。
するとなっちゃんが私の方に手を置いて、喋り出した。
「彩芽ちゃん、いいかげん、やめたら??」
「な、なんのこと??」
「はるちゃんに、すごく迷惑、はるちゃん、困ってる、本当はもう、わかってるでしょ」
彩芽はとても焦っている様子。それとは対照的になっちゃんは落ちつている。私はどうしていいかわからず、彩芽となっちゃんの間で立ち尽くしている。しばらくなっちゃんに追い詰められた彩芽は、突然私の方を向く。
「遥あたし言ったよね!?協力してって!!」
そう言って彩芽は私のことを勢いよく突き飛ばす。そのせいで私は後ろに倒れ尻餅をついた。その光景を見たクラスメイトたちは、ヒソヒソと話し出す。
「彩芽ちゃんが遙ちゃんに暴力振るってるって本当だったんだ……」
「それならやっぱり、前の噂も彩芽ちゃんが流した嘘ってこと……??」
彩芽の顔が蒼白になっていく。私は状況が理解できず、なっちゃんに聞いた。するとなっちゃんはニヤリと笑う。
「私、証拠写真をたくさん、集めてた。それをみんなに見せた、それだけ」
なっちゃん曰く、転校生という立場でどっちの味方でもない状況を使い、彩芽の情報を集めることで、クラスメイトに彩芽の悪行を信じ込ませ、彩芽に倍返しするということだった。結構前からこの作戦を紫苑と一緒に実行していたらしく、隣のクラスの人たちは、紫苑の影響で彩芽がやばいやつだということを知っているとのこと。なっちゃんと私がそう話をしている中、クラスメイトたちは彩芽を責め立てていた。
「前の噂も彩芽ちゃんが流した嘘だってこと、知ってるんだからね!!」
「あれは、その……ちょっとムカついたから……」
「普通ムカついたからってそんな酷いことしないだろ」
「……でも!!あたしと遙は親友だから!!」
「親友だからって、そんなことしていいの??」
彩芽はどんどん追い込まれていく。私はその光景をただただ見ていた。ふと隣を見るとなっちゃんはニヤリと笑っていた。おそらく仕返し完了とでも思っているのだろう。すると彩芽は泣き顔で私の方を見てきた。
「遙、助けて!!あたしたち親友でしょ!?」
私はその言葉と必死さに思わず怖気付いてしまい、後退りする。そしてその場から逃げ出そうと、クルッと向きを変えたその時。
「……この役立たず!!」
そう言って彩芽が私に殴りかかろうとした。しかし次の瞬間、彩芽は肩を掴まれ止められた。止めたのは彩芽のお母さんだった。
「マ、ママ……??」
彩芽は彩芽のお母さんの顔を見つめている。すると彩芽のお母さんは腕を高く上げ、彩芽の頬を思いっきりビンタした。バチーンと叩いた音が教室中に響き渡り、教室はシーンとしていた。
「せっかく、せっかく見にきてやったというのに!!恥をかかせないでよ!!この出来損ない!!」
そう言って彩芽のお母さんは彩芽の上に覆い被さってビンタし続ける。しかしそれを見かねた先生や他の子の両親に押さえつけられていた。
その後、普通に授業が行われたが、彩芽と彩芽のお母さんの姿は見当たらなかった。
1月28日、今日は私の誕生日だ。教室に入った瞬間、クラスメイトたちがたくさんの手紙やプレゼントをくれた。私は数ヶ月前じゃ絶対にありえないことだと思いながら、みんなに感謝を伝える。そして荷物を置こうと自分の机のところに向かう。するとなっちゃんが寄ってきた。
「おはよ、はるちゃん」
「なっちゃんおはよう」
「これ、プレゼント」
「え??あ、ありがとう」
荷物を置いて早速なっちゃんからのプレゼントを開ける。すると中には可愛い白い狐のキーホルダーが3つ入っていた。3つそれぞれは表情が違い、目と体の模様の色もそれぞれだった。
「それ、私と、はるちゃんと、紫苑でお揃いにしたい」
「もちろん!!」
そう言って私となっちゃんは紫苑のいる隣の教室に向かう。紫苑は出てくるなりわたしに抱きつき、ぴょんぴょんと飛び跳ねる。
「遙!!彩芽に倍返しできたんだって!?」
「まあ、ほとんどなっちゃんが助けてくれたけどね」
「奈月にお礼言った??」
「あ、言ってない……ありがとう、なっちゃん」
「全然、気にしないで」
そんな会話をして授業準備開始のチャイムがなる。私は紫苑にキーホルダーの一つを渡して、軽く説明し、なっちゃんと一緒に教室に戻った。
中休み、今日は彩芽が休んでいるため、とても平和だ。私はなっちゃんと紫苑と一緒に遊ぶ話をする。
「今日は、せっかく遙の誕生日なのに外は大雨だね、全く、天気は空気読めないなぁ」
「まあ、そういうことも、ある」
「今日は外は大雨だから校庭では遊べないね」
「そうだなー、体育館でも行って紫苑たち3人でバドミントンする??」
そんな話をしていた時、廊下から悲鳴が聞こえる。何事かと思って廊下を見ると、そこには信じられないほどずぶ濡れになった彩芽がこちらに向かってきていた。紫苑となっちゃんは私の前に立ち、私を守ってくれようとした。
「何の用??今遙は忙しいけど」
「今日は、休みだって、聞いたけど」
そんな二人を無視して掻き分け、彩芽は私の目の前で止まった。
「あ、彩芽……??」
「……」
すると彩芽はずぶ濡れの手で私の腕をすごい力で掴み、勢いよく走り出した。
〜24話の宣伝〜
どもども、ろったりかです♪
奈月ナイス!遙の心は君によって守られた!
にしても最後……過去一不穏では?
ぜひその目でご覧ください!




